結婚相談所でお見合いし、交際が成立したアラフィフセーブタさんとアラフォープチ初老ころん。
わたしたちが登録している結婚相談所では、交際成立するとお互いの連絡先が公開され、まず男性が電話をかけるのがルールとなっている。
ルール通り、セーブタさんから電話がかかってきた。
もうあまり覚えてないけど、早口で一方的に喋られたような記憶がある。
結果、次回のデートは嵐山でどうかという提案があった。
嵐山…。
ご存じの通り、世界屈指の観光地である京都の高名な観光スポットである。
京都在中のころんはもう何度も訪れてるし、学生の頃遠足でも行った。
今さら嵐山って…、とは思ったけど、わたしはこの提案を受け入れました。
その昔昔。
ロングロングタイムアゴー。
ワンスアポンタイムイン京都。
わたしは京都嵐山のこれまた縁結びで名高い野宮神社で、ある男と愛を誓い合ったことがある。
そのときに、男に縁結びのお守りを買ってもらった。
野宮神社は1000年も前に書かれた紫式部の恋愛小説「源氏物語」にも登場する由緒ある神社である。
主人公の光源氏は、想い人である六条の御息所とこの野宮神社で別れを惜しみ合うのである。
しかしこの神社、全くご利益ナッシング。
だってわたし、いまだ独身やん!
その男ともすぐに終わってしまったし、お守りも全くご利益なし!
昔の男にもらったこんな腐りかけたお守りなんて後生大事に持ってるから、まずますご縁が遠のくのやで。
こんないわくつきのものは、とっとと返してしまうに限る!
持ってるだけで恋愛運下がるで!
ちょうどいい。
嵐山に行ってこのお守り、返してこよう。
と、わたしは嵐山行きを決めたのである。
昔の男にもらったお守りを返すために、交際成立した男と嵐山野宮神社に行く。
これもまた因縁めいたものを感じるじゃ、あーりませんか。
古い男を捨てて、新しい男と縁を結ぶ。
そのような希望あふれる一日になればよいのですが…。
さて、嵐山デート当日。
季節は初夏だったと記憶している。
京都嵐山を散策するのに、良いお天気に恵まれた、まさに行楽日和だった。
暑いぐらいだった。
嵐山駅に降り立って、セーブタさんとわたしは、まずはランチするお店に向かった。
今回もちゃーんとセーブタさんが、お店を予約してくださってました。
やるね!
こちらのお店。
レストラン嵐山、Trattoria Fiume。カジュアルな京風イタリアンらしい。
思ったより空いてました。
案外にボリュームのある食事で、このころんが、この食い意地のはった初老豚が、何と!パスタをちょっと残してしまったわ。
わたしが食事を残すってあんまりない。
思えばこのときから、ころんは体調が悪かったのかな。
その日、確か寝不足だったんやわ。
で、このとき何を話したかあんまり覚えてない。
食事を終えて、嵐山を散策しましょうかってことになる。
セーブタさんは、こういうコースで巡ります…、と最初に教えてくれたけど、わたしはあんまり聞いてなかった。
とりあえずわたしは野宮神社さえ行ければいいので、そこんとこよろしくってことでお願いしておいた。
全く縁を結ばない野宮神社で、全くご利益のない腐ったお守りを返す。
これが本日最大のミッションですからね。
これさえ達成できれば、後はどうでもいい。
セーブタさんの案内通りに、わたしは並んで歩いていく。
本当に良い天気で汗ばむほどの陽気であった。
わたしは確か日傘指していたけど、セーブタさんはハゲ頭むき出しだった。
その頭から、汗が流れ出ていたような気がします。
この人、帽子とかかぶらないのかな。
別にハゲ隠せっていう意味ではなくて、このような日差しの強い日は、帽子などのアイテムでむき出しの頭を守った方がいいのでは、と余計な世話心が芽生える。
しかもセーブタさんは、ただのハゲではなく、デブという婚活モテない二重苦を抱えているわけ。
婚活モテない二重苦はどうでもいいとして、デブだったら体重いから歩くのキツいやん。
暑い中、むきだしの頭と重い体を抱えて、日射病になったりしないのかなと心配だったのです。
さらにこの人、すごいO脚で歩き方がちょっとヘンなのである。
もしかしたら椎間板かどっか悪いのかなと感じたけど、そういうわけでもないみたい。
いたって健康らしい。イメージ図。
ガニ股というか、足を外から内へ円を描くように歩くというか…。
太り過ぎて股ずれでもできるから、こんな歩き方になるのかね。
でわたしが日傘をさしているわけだから、その話ついでに、帽子かぶって日差しを防いだりしないのか聞いてみた。
そしたら帽子かぶることはほとんどないんだと。
どうやら頭むき出しで日にさらされても、体力的な消耗は一切心配ないようです。
多分、コイツ、にぶちんやから、日差しでダメージ浴びてても感じてないだけやで。
そのような事情で、ハゲ頭を紫外線にさらしまくりの重量級セーブタさん。
一方日傘で日差しを守りながら歩くころん。
そしてころんの方が、セーブタさんより6歳も若い。
だから別にセーブタさんのペースについていけるだろうと思っていたが甘かったのです。
やはり女性より男性の方が体力があるのだろうか。
あるいはセーブタさんは、ウスノロのバカだから疲れを感じないのだろうか。
わたしは割と早い段階で、歩くのがつらくなってきた。
一体どこまで歩かされるんだろう…。
確か、ナントカに行くって言ってたな。
それはどこにあるんだろう…。
方向音痴で土地勘がないから全く分からん。
そんなころんの疲労など全く気付くことのないニブチンのセーブタさんは、どんどん歩く続ける。
「この川沿いを歩きましょう。」
と言って、ずーっと川べりを歩かされた。
途中日陰で涼んでいる美しい白人カップルがいた。
いいなー。
わたしも涼みたいわ。
でもセーブタさんはどんどん歩いていく。
どこへ向かっているのか。
誰も知らない。
で、かなり川べりを歩いたところで突然セーブタさんは、
「やっぱり引き返しましょうか。」
と言った。
ハァアァアアァア!?
アンタ、何か目的があって、そこに向かってたんとちゃうの?
何でや!
何で引き返すんや!
今来た道を引き返す?
こんなに歩いたのに?
じゃあ今まで何のために歩いてきたんや!
ここで一つ、デジャブ。
前回の記事を読み直してほしい。
この男、前回もわたしがメルパルクの喫茶店を提案しているのもかかわらず、どこか目的があるように、歩き出した。
で、途中でやっぱり引き返しましょうと言って、結局戻ったのである。
こういうことが、多々あるのです。
そのようなことで、すでにかなり体調不良のころん。
ころんは多分顔に出るタイプなので不服そうな顔はしていたと思う。
しかしこの男、多分表情とかで相手の気持ちが読めないニブチンなんだと思う。
もしかしたら発達障害が入ってるのかもしれない。
えんえん歩き続けるところとか、発達によくいるタイプらしい。
そのときはそんなことは分からなかったので、仕方なく、この男に従ってもと来た道を引き返した。
一体わたしはいつまで歩かされるんだ!
軍隊の行歩訓練のような散策はいつまで続くんだ!!
コイツ、ころんを殺す気か!!
続く
※このコンテンツはフィクションです。
登場する人物、団体は実在のものとは一切関係ありません。