ドトールさんとお見合い中の
プチ初老ころん。
恐らく
女性経験が少ないであろう
ドトールさんは
わたしのような美女を前に
すっかり緊張している。
その姿を見て
可愛いなと思ってしまった
プチ初老ころん。
女神のような笑顔を
振りまいて
余裕たっぷりに
こちらからいろいろと
話題をふってやった。
もう一年も前のことなので
何を話したかは
さほど覚えてはいない。
確か無難に好きな音楽の話とか
したかも…。
ドトールさんはサザンが好きとか
言っておったので
「サザン、いいですよね~。」
とか何とか
ころんがテケトーに同意したような。
それから
やはりお見合いなんで
結婚に向けて
けっこう具体的な話題を
ドトールさんの方から
ふってきたわ。
女性との交際経験が
少ないゆえ
まずは世間話で
様子をうかがうという技術が
ないからだろうな。
「結婚したら
田舎に住みたいですか。
都会に住みたいですか。」
って聞かれたわ。
空気がきれいな田舎がいいけど
虫が苦手なので
虫が出すぎる田舎は困る。
ほどよく田舎で
ほどよく都会がいいですね、と
お答え申した。
そしたら
ドトールさんは
仕事で地下に潜ったとき
大きい蜘蛛が
もぞもぞしとったとか
そんな話をした。
それを聞いたころんは
わたし、虫苦手なんで
そんな仕事絶対いやです~
っと
ぶりぶり
キャッキャうふふ…と
しておいて
ヤツの緊張を
ほぐしてやったわ。
ころんとくれば
全くもって
よく気がきく女だのう。
何で40過ぎまで
結婚できないかな。
きっとわたしに見合う男が
なかなかおらんのだろうな。
ころんとお見合い中の
ドトールさんは
長男で現在実家暮らしだった。
しかし
紹介書の仲人からのメッセージの欄に
住まいは女性の希望に合わせて
転居可能って書かれていた。
何だか不思議な話だよね。
ころんとしては
女性が男性に合わせて
転居する方が多いという印象。
たとえ男性が女性に
合わせるとしてもだ。
わざわざ紹介書で
最初っからアピールしなくても
お付き合いが始まってから
ゆっくり話合うので
十分でござらんだろうか。
情報量に限りのある
紹介書で記載しておくべきことは
結婚において
どうしても譲れない条件である。
その条件が
飲めないのであれば
結婚が不可能になる場合は
あらかじめ伝えておく方が
お互い時間を無駄にせずにすむ。
例えば絶対婿養子を
希望するとか、
絶対タバコはNGとか
絶対的な希望は
最初の紹介書の時点に
記載しておく方が
親切というもの。
女性に合わせて
多少の転居可能なんて
わざわざ紹介書で
アピールするほどのことかぁ?
ころんの邪推としましては
このドトールさん、
モテなさ過ぎて
もう女性に合わせて
どこでも転居するぐらいしか
アピールポイントがないとか?
あるいは以前に
女性を転居させようとして
モメて
結婚ダメになった
経験があるとか?
そんなド田舎に住むの無理!
って結婚を断られたとか?
と
まあ、
いろいろ勘ぐってしまう
プチ初老ころんなのでした。
ころんにとって
ドトールさんは
面白いことを
言えるような男ではないが
これといって
イヤなところが
ある男でもなかった。
ドトールさんが
とても緊張していたのも
真面目さや朴訥さを
際立たせる結果となり
ころんにとっては
好印象でした。
無口な男性ではあるが
こちらが聞いたことにたいしては
きちんと答えてくれるし
つまらんおしゃべり男よりは
よほどマシと思える。
今まで三人の男性と
お見合いしたが
その中では一番良い
印象でした。
よって、ころんは
YES回答をしておきました。
ドトールさんも
当然YES回答だわな。
だって
目もくらまんばかりの
ころんの美しさに
すっかり
緊張しておったのだからな。
てなわけで、
お見合い三人目にして
初めて2回目に進むことに
あいなったのでございまーす。
※このコンテンツはフィクションです。
登場する人物、団体は実在のものとは一切関係ありません。
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