バブル世代には映画好きが多いです。
消費をあおられたバブル時代にとって、映画はもっとも身近で手軽に非日常を味わえるエンターティメントでした。
特にバブル期と重なる1980年から1990年代は、「ET」や「インディ・ジョーンズ・」「ジュラシックパーク」などの監督で知られるスティーブン・スピルバーグが全盛期をむかえた頃でしょうか。
CG技術などの映画界のテクノロジーは、目まぐるしく発展し、映画はより多様な世界を描き出せるようになりました。
また1980年代にアクション映画は全盛期を迎えます。
シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスを始めとするアクション俳優たちは、鍛え上げられた肉体が、映画の中のヒーローそのものと同化しているようでした。
『ランボー』、『コマンドー』、『ターミネーター』、『ダイ・ハード』などが大ヒットした時代です。
今も第一線で活躍する世界的スター、トム・クルーズが注目されるようになったのもこのころですね。
派手なことが大好きで、もっと素敵な世界にたどりつけると信じていたバブル世代に、アクション、ファンタジー、ラブロマンス…、どの映画もさぞかし素晴らしい物語を与えたことでしょう。
自称映画通のバブル姫とんちんかん映画解釈3選
バブル姫(50歳・独身)は、自称映画好き。
何でも短大生の頃、映画館でアルバイトをしていて、全映画館共通の無料チケットを持っていたという。
無料が大好きな乞食姫、あ、間違えたバブル姫は、観ないと損とばかりにたいして興味のない子供映画まで観ていたという。
わたしだったらいくら無料でも、興味のない映画に時間を奪われる方がもったいないと思うけどね。
その損得勘定が著しく無料のものに飛びつく性質も、発達障害の特徴に当てはまるのだそう。
そのような事情から、バブル姫はアタシが知らない映画も映画俳優もないとばかりに、映画通を自称しているのだが…、
実はその通ぶりが、ひどく浅い。
今回はその浅すぎる審美眼を映画とともにまとめてみました。
ヒット映画を熱く語るくせに実は観ていない
カメラを止めるな (2017年日本映画)
2018年に大ヒットした、低予算映画「カメラを止めるな!」は記憶に新しいかと思う。
当時、無名の新人監督と俳優達が作ったというこの映画は、SNSの口コミで広がり、爆発的なヒットを遂げた。
この映画の解釈は少し難しいのだが、わたしの解釈では倒叙形式で描かれたドタバタコメディーだろうか。
どのジャンルに入れればよいか分からないというのも、この映画の一つの魅力であったと思う。
今にして思えば、少し三谷幸喜の影響を受けている映画監督なのかもしれない。
カメ止めを熱く語るバブル姫
「カメラを止めるな!」が、低予算にも関わらすじわじわとヒットを遂げかけた頃だろうか。
バブル姫はまだ観てないくせに、この映画が面白いらしいと、ウンチクを熱く語っていた。
基本映画館では洋画しか観ないと決めているわたしにとって、正直「カメ止め」は興味が持てない映画である。
だからバブル姫のウンチクを、適当に聞き流していた。
それでもわたしが思っていた以上に、この映画は評判が評判を呼んで大ヒットとなった。
そんなに皆が賞賛するなら映画館へ足を運ぼうかと思ったのだが、結局行かなかった。
でも行かなくとも、思ったより早くテレビ放映されたので、それで視聴した。
まあ確かに面白かったけど、そこまで絶賛されるほどの作品か?というのがわたしの感想です。
で、その映画を観たあと、そういえばバブル姫が熱くこの映画について語っていたことを思い出し、当然観たのだろうと、感想を聞いてみたのです。
すると何と驚いたことに、「観ていない」との答えだった。
うそーん。
あんなに熱く語っていたのに、観てないって…。
観る気もないのによくもあんなに熱く語って、通ぶったフリができるもんやで。
せめて観てから熱く語ってくれーい。
てゆうかそれほど熱く語って興味がある映画なら、せめて地上波放送時には観ようと思うよね。
何で観てもいない映画を熱く語れるかというと、話題になった映画を語ることで、映画通ぶりたかっただけだろな。
というより、熱く語ってみたものの、そのうち飽きたか忘れてしまったのだろう。
薄っぺらいおばさん。
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低予算映画と高額な映画の区別がつかない
シャイニング (1980年アメリカ映画)
映画「シャイニング」は、ホラー映画の金字塔とも言われるセンセーショナルな作品である。
舞台はコロラドにあるホテル・オーバールック。
豪雪のためシーズンオフになる冬の間だけ、管理人として夫婦と息子の三人の家族が住み込むことになる。
その閉じ込められたたった三人の空間で、徐々に狂気をおびてゆく夫。
見えるはずのないものを感じる霊能力(シャイニング)を持つ息子。
変わりゆく夫に身の危険を感じ始める妻。
やがて物語は、最悪の展開に突き進んでゆく。
鬼才スタンリック・キューブ監督の計算された映像は芸術面でも評価が高い。
また、オスカー俳優のジャック・ニコルソンの怪演が語り継がれる伝説的な映画である。
最新技術で撮影された有名映画作品を低予算だと思い込むバブル姫
2019年に伝説のホラー映画「シャイニング」の続編である「ドクター・スリープ」が公開された。
そのためBS放送ではあるが「シャイニング」が放送されることになった。
そこでわたしは、ジャック・ニコルソンの怪演をぜひ観るべきと、オフィスの昼休みに皆にすすめてみたのである。
バブル姫もこれに同意し
「ジャック・ニコルソンはめちゃくちゃ演技が上手いんや~。」と、ほぼわたしと同意見。
全くわたしたち、とっても気が合うことね。
とにかく有名な扉を破るシーンの、ジャック・ニコルソンの表情だけでも観てみたらと、皆、スマホで画像検索をする。
するとバブル姫がおかしなことを言い出した。
この映画はね、ありえないぐらいの低予算で作られたのにヒットしたすごい作品なのよ。
???
わたしの頭の中に?が浮かぶ。
印象に残っている、有名な双子の霊に、血の洪水が巻き起こるシーンや大きく豪奢なホテルのセットは、とても低予算映画とは思えない完成度。
さらに当時すでにオスカー俳優であったジャック・ニコルソンが、低予算映画なんて出演するかなぁ?
キムタクが低予算映画に出演するかって話だよ。
とはいえ、何十年も前に観た古い映画なので、絶対低予算ではないという確信も持てず、その場は黙っていた。
後から調べてみると、やっぱり相当なお金が費やされた映画だった。
製作費$12,000,000、1200ドル=日本円約12億4610万5919円でーす。
それは現在の貨幣価値なので、1980年当時だと、1ドル=203円、つまり24億3600万円でーす!!
また当時当時最先端であった「ステディカム」というカメラが取り入れられ、映像美としても評価の高い作品である。
監督のスタンリック・キューブリックは完璧主義で知られ、何度も撮りなおすので撮影に時間がかかり、当然予算もふくらむ。
それにくわえ、キューブリック監督には、前作がコケたため、「シャイニング」では絶対失敗できないという事情があった。
これらの事情を踏まえて、踏まえなくても映画を観れば、お金がかかってるかそうでないかぐらい、普通分かるよね。
わたしがここで貼ったツベの予告動画だけ見ても、お金かかってることが分かるはずです。
まがりなりにも自称映画好きならさ。
一体「シャイニング」のどのシーンを観て低予算映画だと勘違いしたのか。
何の映画と間違えて、低予算映画だと思っているのか。
まさかとは思うが前述の「カメラを止めるな!」と間違えているとか?
カメ止めの主演俳優である濱津 隆之の演技と、ジャック・ニコルソンの怪演を、勘違いしているとか?
とにもかくにも、バブル姫は映画を観る目がない、その映画にお金がかかっているかどうかも分からない、つまり質の良さを理解できる知能がないということは、火を見るよりも明らかなのである。
シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン [ ジャック・ニコルソン ] 価格:1,100円 |
主人公の解釈が浅い
ロッキー (1976年 アメリカ映画)
ロッキーは、アカデミー賞を3つも獲得した1976年のボクシング題材のスポーツ映画である。
無名のボクサーが、周囲に支えられ、厳しい訓練に耐えながら世界チャンピオンと戦って成り上がるいわばシンデレラストーリーだ。
ボクシング映画といえば、これを越えるものはないというほど誰もが知っている伝説的作品となった。
またビル・コンティが作曲したテーマ曲はあまりに有名で、この曲を聴くだけで誰もがロッキーになったた気分を味わえる情熱あふれる旋律である。
ロッキーはシリーズ化されており、スピンオフを含めると現在は7作品、公開されている。
ここで特にわたしが特筆するのは「ロッキー2」についてである。
前作「ロッキー1」の過酷な試合で目を傷めたロッキーは、ボクシングを続けることができなくなってしまう。
そしてロッキーは前作からの恋人エイドリアンにプロポーズし、二人は結婚する。
動物園でエイドリアンにプロポーズの承諾をもらって、はしゃぐロッキーはとてもかわいい。
ロッキーの魅力の一つは、妻であるエイドリアンを尊敬して、とても大切にするところ。
ボクシングを続けることができず、字も読めない教養がないロッキーは、過酷な肉体労働で稼いで、エイドリアンを守るしか方法がなかった。
「俺はバカだし、お前みたいに賢くないから…。」
とエイドリアンに文字を習うロッキーは、素直でひたむきでとてもいじましい。
世界チャンピオンのアポロと互角に戦ってみせることで、一度はスターダムに上り詰めた著名人であるロッキーが、黙々と底辺の肉体労働に甘んじる。
しかし再び、ロッキーにアポロに挑戦するチャンスがめぐってくる…。
真摯でひたむきなロッキーをバカだというバブル姫
数年前、BSでロッキーシリーズが一挙に放送されていた。
超有名な作品であるロッキーを、実は一度も観たことがなかったので、この機会に網羅することにしたのである。
それこそ1970年代に制作されたロッキーは、まだわたしが生まれていない40年以上も前の作品。
子供の頃は、シルベスター・スタローンなんてマッチョで暑苦しい男としか思わなかったけど、今見ると想像以上にかっこよかった。
顔立ちも濃すぎると思っていたが、若いころはやはりそれなりに端正である。
何よりわたしのセフレのフレディに似ている。
そして鍛えらた肉体の美しいこと。
そのようなことで、わたしはバブル姫に映画「ロッキー」の話をしたのである。
バブル姫さん、わたしロッキーを初めてちゃんと見たけど、シルベスター・スタローンって思ってたよりかっこいいですね。
そうやで。かっこいいで。
ロッキー、顔立ちもきれいだし
きれいやで。
それにロッキーってひたむきで可愛いですね。
そうやで、ロッキーはかわいいよ。
とまあ、わたしたち同じ映画を観て同じ感想で、とっても価値観が似てると思ったところに、バブル姫のこの発言。
やっぱりバカな人の方が、素直にがんばれるんやな。
………???
ロッキーをバカだとー!?
いや、確かにロッキーは字が読めず、教養がない。
しかしそれはバカだから字が読めないのではなく、たまたま教育の機会を逃して字が読めないだけで、自頭は悪くない。
バカとは、感謝を知らないことである。
バカとは、己を知らないことである。
バカとは、尊敬を知らないことである。
バカとは、恥を知らないことである。
バカとは、愛を知らないことである。
バカとは、神を知らないことである。
バカとは、謙虚さを知らないことである。
どれもロッキーには当てはまらないし、どれもバブル姫には当てはまる。
ここでわたしが言う「神を知らないこと」の神は、自分ではどうしようもない大きな力ととらえてね。
キリスト教の神でも日本の神にも当てはまる、大きな力。
ロッキーは、文字を読めない己を恥じて、妻のエイドリアンに文字を習う。
そうやって文字を習って自分を高めようとする人が、バカだって思う?
ロッキー2 ネタバレ
試合後、ロッキーは、全ての人に感謝を伝える。
支えてくれた妻、そしてこのようなチャンスを与えてくれた宿敵アポロ、そして神に感謝を捧げる。
このように己の無力を知りながら、できる限りの努力をし、命がけで勝利を勝ち取っても決しておごらず、謙虚さを忘れずに周囲に感謝できる人をバカと言うのなら、この世に聡明な人など存在しない。
ロッキーはバカなんかじゃない!
ちょいと教育の機会に恵まれなかったから学がないだけで、根本的には頭のいい人である、というのがわたしのロッキーの解釈です。
そりゃ、お調子者の一面はあるけどさ。
わたしとバブル姫は同じ映画を観て、同じ感想を持った。
しかし根本的なロッキーというヒーロー像への解釈が全く逆であった。
価格:10,297円 |
わたしにとって映画を観ることは、一つの教養を深める行為である。
例えば婚活では、洋画好きの女はインテリぶるといって敬遠される。
それは実はわたしのことだ。
しかしいくら良作される映画を観ても、一切教養が深まらない人間もいるんだね。
だったら映画を観る意味なんてないし、観たって面白いって思えないと思うのだが、今日もバブル姫は、面白い映画を求めて続けているようです。
観ても、その映画が本当に伝えたかったことが理解できないなら時間の無駄なのにね。
このブログでとりあげた映画は、全てこちらで観ることができます。
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