母にふとんたたきでたたかれたことにたいする怒りはずっとわたしの中にくすぶり続け、一生消えることはない。
いまだにときどき母親を、キチガイババアって醜く罵ってやるんだ。
「ちっちゃい子供をふとんたたきでたたくとか、正気の沙汰じゃない。
あんたは、虐待で逮捕されている犯罪者と一緒や!
このキチガイが!」
って言ってやるんだ。
すると母親はわたしに
「キチガイの子供!」とか
「お前が言うこと聞かへんからや!」
って言い返してくるんだ。
ふーん。
言うことをきかない人には、暴力で言うことをきかせてもいいってことだよね。
そこでわたしがすっかり大きくなって、逆に母が年老いて小さくなったとき、つまり圧倒的にわたしが母親より強くなったときに、わたしは母に暴力を奮って何度かボコボコにしてやった。
モノを投げてぶつけたり、牛乳を頭からぶっかけたり、キャスター付の椅子に座っている母親を、椅子ごと押して、窓から落としてやったこともある。
そのあと窓を閉めて、そのままほったらかし。
わたしなんて服を脱がされて室外に放り出されたんだもの。
服をはぎとらなかっただけ、わたしの方がまだ優しいよね。
そしてこう言い放ってやった。
「言うことをきかない人間は、暴力で言うことをきかせてもいいんだよね。
あんたが私の言うこときかないから、教えてくれた通りのことを、してやったよ。」
とな。
それとか
「おなかを痛めて産んだ実の娘に、ボコボコにされるのってどんな気分?」
とヘラヘラと笑いながら聞いてやった。
キチガイおかんは、さらにキチガイ度をヒートアップさせて、何かわめきちらしてたけど、何言ってるか分からんわ。
「親に暴力を奮うか!!」
って怒っておったな。
で、わたしは
「産んでくれって頼んだ覚えないし…。
むしろ産んでもらって大迷惑!
おまえみたいなキチガイが母親とか、わたしからしたらバツゲームでしかないし!」
って言い返したのかなぁ。
それとか
「娘は母親の作品やで。
あんたの作品としては、わたしは上出来やで。」
とか
「お前は親になったらアカン人間やったんやな。」とかね。
それとか、わたしに孫を産んでほしいという母親に
「ふとんたたきでボコボコにたたいた娘に孫を産んでほしいとか、どんだけずうずうしいねん。
孫を産んだって、またあんたにふとんたたきでたたかれたら可哀そうやからな。
ふとんたたきでたたかれた娘は、その子供をまたふとんたたきでたたくようになる。
キチガイの血は、ここで終わらせた方がいいわ!」
って言ってやった。
こう言われると娘に二度と子供を孫がほしいなんて、言えなくなるわな。
とにかくわたしは自分を正当化するのに長けているのです。
それであるときとうとう母親に
「殺したろか!」
と言われたので、わたしは
「へぇ~。
殺してみーや。」
とへらへら笑いながら言って、台所から包丁を取ってきた。
で包丁を母親に差し出しながら、自分の首を指さして近づけて
「ほら、ここを切ったら死ぬで。
殺してみーや。」
と、ニヤニヤしながら言ってみた。
母親は大きく息をのみ、包丁を手に取って安全なところにおいてから、逃げていった。
ふん。
意気地なしが。
殺したろかっていうぐらいなら、殺せばいいのにね。
キチガイの娘として生まれた罰ゲームみたいな人生なんて、ここで終わったってかまいやしない。
母が言うには、弟や妹に迷惑をかけるから殺せないだけで、本当は殺したいんだってさ。
ま、わたしも母親がわたしを殺せないことが分かってるから、わざと包丁を差し出したりできるんだけどね。
続く