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刑事コロンボ#10-2 黒のエチュード/ ÉTUDE IN BLACK 1972年 あらすじとネタバレ(後半) しつこ過ぎるコロンボストーカー

刑事コロンボ

CMをたくさん流したいという大人の事情のため、75分の作品に無理やり20分足して96分の尺になってしまった「黒のエチュード」。

足されたシーンでは、コロンボが捜査に関係のない部分でしつこさを発揮しただけでした。

そのため、南カリフォルニア交響楽団の指揮者アレックス・ベネディクトのストーカーみたいになってしまいうんざりです。

コロンボがやっと本来の捜査に入り始めた、後半のあらすじとネタバレです。

前半のあらすじはコチラから。

刑事コロンボ#10-1 黒のエチュード/ ÉTUDE IN BLACK 1972年 あらすじとネタバレ(前半) シリーズで最も美しいサレ妻

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黒のエチュード/ ÉTUDE IN BLACK 1972年

コロンボの捜査開始

コロンボの疑惑-4 車の修理

ただただアレックスのお宅拝見とサインをねだるだけに、お屋敷を訪れたかに思えるコロンボ。

その後アレックスが修理工場に昨日預けた車を取りに行くと…、もちのろん、コロンボがおりました。

修理工場のマイクによるとコロンボはアレックスの友達って名乗ったそうですよ。

今朝、自分の家まで訪ねてきてサインをねだり、車を取りに修理工場に行けば、友達だと名乗って車に乗り込んでる。

そんな人がいたら怖すぎます!

 

コロンボ
コロンボ

すごいですねぇ!

これこそ本当の車です。

 

こうしてるだけで王侯貴族の気分だ。

アタシね昔からこんな車がほしかったんです。

と熱く語るコロンボは、もうアレックスの熱烈なストーカーにしか見えません!

しかしコロンボはちゃんと捜査を始めています。

車のどこが故障していたのかをアレックスに尋ねるのです。

車はアリバイ作りのために預けただけなのでアレックスは

「会社はデリケートなのでちょっとした調整でもマイクのような名人が必要なんです。」

とテキトーなことを言います。

そしてコロンボはまたまたストーカーのように

コロンボ
コロンボ

ズバリ言っちゃえば先生とお話がしたくて伺った訳でして。

と言うので、気味が悪いわっと思いましたが、続けて

コロンボ
コロンボ

どうもジェニファーさんの死が引っ掛かりましてね。

実はゆうべも一晩中、頭絞って考えたんですがどうも納得いかないんですよね。

と言ったので、ジェニファーの死について話しに来たようです。

よかった。コロンボ、ちゃんと仕事しに来たんですね。

アレックスの答え

コロンボはジェニファーのように美人で若くて将来を約束された人が自ら命を絶ったことに納得ができない様子です。

アレックスは芸術家はデリケートで変わっているので浮き沈みが激しいと説明します。

コロンボは明らかに納得できない様子です。

ホント、コロンボって案外露骨で面白いですよね。

コロンボ
コロンボ

あれが自殺じゃなかったとしたら?

とコロンボはさらにアレックスに食らいつきます。

アレックスは自殺でない可能性も考えたと一度はコロンボに同意します。

しかし自殺は他人から見れば不可解な場合も多く、毎日のように自殺者が出るし、遺書もあるので、やはり自殺だろうと、アレックスは答えるのです。

コロンボの疑惑-5 ジェニファーのたんこぶ

コロンボは続いて、ジェニファーの頭にひどいたんこぶがあったので、椅子から落ちて頭を打ったというよりも 殴られたように思えるとアレックスに言います。

アレックスは、「仮説にすぎないでしょう。」と答えます。

もう一つ-2 インコの死

さらにコロンボは

コロンボ
コロンボ

もう一つ引っ掛かるのはね

隣の子と話したんですが

その…それがどうにもモヤモヤしちゃいまして…。

と定番セリフ「もう一つ」を使ってお得意のほのめかしです。

かと思えば、修理工場の車の目が行ったのか

コロンボ
コロンボ

いいですねぇ。

昔の方が車らしい車造ってましたね。

このラインの美しさどうです。

と突然話題を変えます。

これではモヤモヤするのはコロンボではなく、アレックスですね。

かと思えばコロンボは

コロンボ
コロンボ

何の話でしたっけ?

と急に話題を戻して、アレックスをかく乱します。

コロンボ
コロンボ

そうそう。まあ車忘れましょう。どうせ高嶺の花です。

そう隣の子の話でした。

これコロンボ、絶対計算づくでやってますよね。

しかしこれぞコロンボ!

ストーカーのようで決してストーカーではなく、じりじりと本題を突いて殺人犯を追い詰めるのです。

コロンボはジェニファーの隣人オードリーから、ペットについて聞いたと言います。

コロンボ
コロンボ

とにかくインコを飼ってたんです。

そこが妙なんです。

コロンボ
コロンボ

そこが分からないんですよ。

コロンボは長年好きで飼っていたインコを、ジェニファーがガス栓をひねる前に助けなかったことを疑問に思っています。

アレックスは、錯乱状態で忘れたのでは?と疑問に答えます。

コロンボの疑惑-6 タイプで打った遺書

アレックスに遺書の存在を聞かれてコロンボは

コロンボ
コロンボ

その遺言書もちょっと変なんです。

と疑問を投げかけます。

自殺の書置きはたいてい手書きなのに、ジェニファーがタイプで打ったことに違和感を覚えています。

アレックスは、ジェニファーはあまりにも悪筆で、メモすらタイプで打っていたと説明します。

そしてタイプライターの指紋について、コロンボに確認します。

ジェニファーのタイプには、彼女の指紋しかありませんでした。

アレックスは、仕事だと言って車に乗り込み、引き揚げようとします。

コロンボはお得意のしつこさで車の窓から覗きこみ

コロンボ
コロンボ

先生。

相手して下さってありがとうございました。

刑事ってのは割と嫌われる職業でして相手してくださるだけでもうれしいもんです。

頭の整理もつきますしね。

とお礼を言います。

アレックスはそれとなく、もしコロンボの言うように他殺だったらどんな動機が考えられるかと尋ねます。

コロンボ
コロンボ

それなんですよ。

それが泣きどころで。

と答えるコロンボ。

本当はもう男がらみだと当たりをつけてるくせにね!

ジェニファーが殺害されたとして動機が不明であることに安心したのか、アレックスは車を出します。

さあ、アレックスを見送るコロンボの表情に注目です。

もう絶対アレックスがジェニファーを殺したと確信している顔ですよ、これは。

アレックスがジェニファーの死因を、自殺の方へ~自殺の方へ~と流したからでしょうか。

うちのカミさん-4 買い物用の車

ここからはコロンボの声が変わる追加されたシーンです。

コロンボは愛車を、修理工場のマイクに見てもらいます。

そしてそれとなくアレックスの車の故障について尋ねると、アイドリングが速過ぎたとのことです。

マイクはコロンボに車の買い替えを勧めます。

コロンボ
コロンボ

もう一台あるにはあるんだよ。

でもカミさんの車

買い物用のどうって事ない車だから。

と、うちのカミさん登場ですね。

それからコロンボは、修理工場では夜は預かった車は工場に入れて、売り物だけ外に出しておくことを確認します。

まあ…、この場面は追加されたシーンなんで、正直なくてもストーリーは繋がりますね。

美人妻の疑惑-3 ジェニファー・ウエルズの人物像

美人妻ジャニスが母親のリジー・フィールディングとランチしています。

ここも追加されたシーンなんで、本題にはあまり関係ないです。

マスコミ関係の知人と偶然出くわして、事件の話を交わします。

楽団理事長であるリジーは、ゴシップから目をそらすために、亡くなったジェニファーの名前がついた「ジェニファー・ウエルズ奨学金」を設立するようです。

また夫アレックスとジェニファーの仲が気になっているジャニスは、母親に彼女の人物像を聞いてみます。

「ショパンはよかったけど、でもコンサートになると腕はいまひとつだったわね。」

とリジーは語ります。

そして夫との仲を心配する娘を「おばかさんね。」と一蹴するのです。

コロンボの追い込み開始

コロンボの疑惑-7 タイプライターの文字がずれる

ハリウッドボウルの舞台に置かれたピアノを、コロンボが熱心に弾いています。

聞いたことのある音色だなと思ったら「チョップスティック」といって、指一本で弾くことのできる簡単な曲なんだそうです。

コロンボはジャニスに聞いて、アレックスがここへ来るのを待っていたのです。

コロンボは、亡くなったジェニファーの遺書ごと、タイプライターを持ってきています。

そして現れたアレックスに、この遺書の矛盾を伝えるのです。

簡単に言えば、遺書の上から再びタイプで文字を打つと、文字がずれてしまうという矛盾が見つかったのです。

これはタイプで文字を打った後、一度紙を取り出してもう一度差し込んだから起こってしまったずれなのだそうです。

コロンボ
コロンボ

なぜ自殺を決心した人が

書き置きをタイプして

一度外してまた入れ直したか。

 

 

コロンボ
コロンボ

この場合タイプしたのは本人じゃなく

ほかの人物だったらどうです?

と、コロンボはアレックスに問いかけます。

 

「そうとすれば誰だね?」と、質問に質問で返すアレックスにコロンボは

コロンボ
コロンボ

犯人ですよ。

と断言します。

 

笑い飛ばそうとするアレックスに

コロンボ
コロンボ

この件が他殺であるという可能性は

極めて大きいと思ってます。

と再び殺人を強調します。

 

そしてコロンボは、犯人はジェニファーと親しく、自由に家に出入りできる仲であることをほのめかします。

それならばジェニファーが留守の間に、家に入って事前にタイプで遺書を作成することができるのだと。

アレックスは、

「まあ、正しい解答が出たら真っ先に教えてくれたまえ。僕はこれで失礼する。昼寝の時間だ。」と立ち去ろうとします。

ひとつだけ-3 車の走行距離

立ち去ろうとするアレックスにコロンボはだいたんにも

コロンボ
コロンボ

もし先生だったら?

と、思い切ったことを言って呼び止めます。

 

コロンボ
コロンボ

もしお差し支えなければ先生を例にとって

アタシの推理を述べたいんですが。

というコロンボに、アレックスは

 

「どうぞご利用ください。」

と一見余裕のある返事をします。

ここですよね。刑事コロンボの最大の見どころ。

コロンボと犯人の頭脳戦、心理戦、駆け引き。

コロンボは、アレックスの事件当日の行動を見事にいい当てます。

まずはどこも故障していない車を修理工場に預けて、車がなかったというアリバイを作ります。

車がないとジェニファーの家には行けないし、タクシーを使うと日報でばれる、バスはなく、レンタカーは免許証を見せる必要があります。

ハリウッドボウルはアレックスのホームグランドであるし、抜け出すことは簡単で、車の修理工場まで徒歩3分半。

事前に開けておいた窓から修理工場に入って、車を出し、ジェニファーの家まで行く。

コロンボはどっかでこの事件見てたんじゃないの?というぐらい、ぴたりと当日のアレックスの行動を言い当てていますね。

アレックスが、その推理は車のところがちょっと弱いのではないかと、否定します。

するとコロンボは定番セリフ、一つだけを使って

コロンボ
コロンボ

ただ一つだけ走行距離があります。

と言います。

 

車を修理に出すと、工場では距離計をメモします。

事件当日アレックスの車の走行距離は、15キロでした。

そして工場からジェニファーの家までの往復もぴったり15キロです。

もうこれでほぼアレックスの犯罪が立証できるのではないかと思いますが、物語はまだまだ続きます。

アレックスは、物証もないし証言もあやふやだし、裁判に持ち込むのは難しいのでは?とコロンボの推理を笑い飛ばします。

そしてジェニファーを殺していないと言い切るのです。

もう一つ-4 ジェニファーは自殺ではなく他殺

コロンボはアレックスに、殺人ではないと言い切られ、

コロンボ
コロンボ

どうも。

度々お手間とらせました。

と、すごすご立ち去るかのように見えます。

 

しかし少し歩いたところで振り返って

コロンボ
コロンボ

そうそうもう一つありました。

と、定番セリフを続けます。
コロンボ
コロンボ

また笑われそうですがアタシの売込みが効いて

上司はこれを他殺だと信じてくれましてね。

正式に担当することになりました。

コロンボ
コロンボ

アタシこれが専門なんです。

殺しがね。

そう言って去っていくコロンボ、かっこいいですね~。

殺しの専門家。

こういうと殺し屋みたいですが、正確に言うと、殺しの犯罪を捜査する専門家ですね。

さあ、コロンボのアレックスにたいする宣戦布告ですよ。

ここまではコロンボに分があるように思えるのは、わたしだけでしょうか。

ジェニファーの男探し-1 ポール編

コロンボは、アレックスとジェニファーの関係を探るべく、彼女の死に取り乱していた男性ポール・リフキンを訪ねます。

ポールは遊びでジャズ喫茶でトランペットを演奏し、シンフォニーが本業だそうです。

ポールのトランペット演奏、とても素敵です。

コロンボは、隣の店で葉巻を買ったけど、マッチがないのでたまたま音楽が聞こえたこのクラブで、火を借りに来たと、ポールに言います。

すぐにポールに、隣の店はコインランドリーだと、コロンボの嘘を見抜かれてしまいますね。

コロンボは、火を借りるという口実で相手との距離をつめるのが捜査スタイルなので、わざとマッチやライターを持たないんでしょうね。

喫煙に厳しい現代ならば、コロンボはどんな口実で、相手に近づくのでしょうか。

コロンボはジェニファーの死に逆上し、自殺を否定したポールが、ジェニファーと深い仲だったと気がつき、探りを入れにきたのです。

コロンボの想像通り、ポールはジェニファーと付き合っていましたが、新しい男性の登場により、ふられてしまったのです。

コロンボ
コロンボ

ねえポール。

新しい男の名前聞いてない?

と尋ねるコロンボに、ポールは「聞かなかった。」と答えます。

コロンボ
コロンボ

そりゃそうだよな。

振られた上にそんなみっともないマネできないよね。

と、コロンボなかなかひどいこと言いますね。

コロンボは女性には優しいけど、男性には厳しいのでしょうか。

それともアレックスの名前を聞き出せなかった、八つ当たりかな?

美人妻の疑惑-4 ジェニファーの死因と男

続いてコロンボはアレックスのお屋敷を訪問します。

自宅のテニスコートで、コーチを呼んでテニスをする美人妻ジャニス。

前作の「パイルD-3の壁」でも、お金持ちの美人妻が自宅のテニスコートでテニスするシーンがありました。

当時のお金持ちのステイタスだったんでしょうかね。

上皇陛下夫妻も、1957年に軽井沢のテニスコートで出会い、1959年にご成婚なさったそうですよ。

テニスウェアを着ているジャニス夫人、当時は娘のグウィネス・パルトロウを妊娠中だったので、少しおなかが出ているのが分かります。

世界一美しい妊婦でしょう。

ジャニスは夫が指揮するとき、花を一輪襟に挿すのが好きなので、そのためにボーダーカーネーションを育てています。

売っている花より少し小さめで、花つきがよく、襟に指すのにぴったりなのですって。

コロンボのために、飲み物も用意してくれて、本当に美しく優しい理想の妻ですね。

「主人にどんなご用件でいらしたか伺っちゃいけませんかしら?」

と言うジャニスに、コロンボは亡くなったジェニファー・ウエルズの名前を口にします。

すると優しくて人当りの良かったジャニスの様子が、少し変わります。

コロンボがジェニファーは自殺ではなく他殺で、男性の影があると言うと、とうとうジャニスは怒り出して、去ってゆくのです。

そこへアレックスがやってきます。

コロンボは妻ジャニスを怒らせてしまったことを謝り、「退散しましょう。」と帰るそぶりを見せてからの~

コロンボ
コロンボ

あの実はですね…。

彼女(ジェニファー)に愛人がいたという情報が入ったんで、何かご存知ないかと思って伺ったんですが奥さんにぴしゃりとやられました。

 

おわびしといて下さい。

 

ぶしつけな事でした。

このセリフ。

ここで優しいジャニスが怒る理由なんて、夫とジェニファーの仲を勘繰っていたところを、コロンボが突いたからですよね。

そしてまたコロンボもジャニスが、夫の不貞を疑っていることにはっきりと気がつきました。

ですからもう、アレックスにジェニファーとの仲を確認する必要もなく、ほのめかしだけして、あっさりと帰ってゆきました。

コロンボにとっては、十分な収穫ありってところでしょうか。

ジャニスは美しくて優しいだけでなく、非常に聡明で感受性の強い女性ということになります。

彼女の青い瞳は美しすぎて、吸い込まれそうですよ。

ジェニファーの男探し-2 オードリー編

コロンボは、ジェニファーの隣人だった少女オードリーに会うために、バレエ教室を訪れます。

このオードリーもおしゃまで良いキャラクターです。

こんな少女に、隣人の死や男関係を聞き出すことに慎重になっているコロンボに

「ズバリ言ってよ。

ジェニファーのこと聞きたいんでしょ。

男の扱い方を教わったわ。」

なんて言って、翻弄します。

ジェニファーみたいに愛人に離婚をせまって殺されるような女に、男の扱い方なんて習ったところで、結婚できない女道を極めるだけですよね。

ホント、ジェニファー、幼い少女に何教えてるんだか。

恋愛勘違い女の説く恋愛道ほど、やっかいなものはありませんで。

そしてオードリーは、コロンボが一番知りたかったことを握っていました。

ジェニファーから、ボーイフレンドを紹介されたことはなかったけれども、何度かタキシードの男性を見かけたというのです。

ジェニファーが亡くなった日も、オードリーはタキシードの男性を目撃して、名前は知らないけれども見れば分かるというのです。

さあこれで目撃者が現われましたよ。

コロンボの逆転につぐ逆転

コロンボの誤算

コロンボはオードリーを連れて、ドキュメンタリー映画の劇伴のリハーサル中のアレックスの交響楽団を訪ねます。

アレックスも妻の疑惑を買うハメになったことから、コロンボのしつこさにうんざり。

「いい加減にしてくれ。」とご立腹。

コロンボはジェニファーが亡くなった夜に見かけたタキシードの男性を教えてくれるように、オードリーに頼みます。

オードリーが指示したのは、アレックス…

 

 

 

 

…ではなく、ポールでした。

これはコロンボにとっても大誤算。

ポールが殺人事件の容疑者として浮かび上がってしまったわけです。

アレックスのたくらみ

ポール・リフキンはジェニファー・ウエルズ殺人事件の容疑者となってしまったため、解雇するかを楽団の理事会で審議にかけられています。

そこへアレックスが乗り込んできて、才能豊かなポールを守り、楽団に傷がつかないように懇願します。

しかしここでアレックスは、ポールが女性への傷害事件で前科があることをばらしてしまうのです。

このアレックスの目的がよく分からないのですが、女性への暴力=女性への殺害と結びつけるように、誘導したかったのでしょうかね…。

ポールを真犯人に仕立てたかったとか?

アレックスがポールを心の底から助けたかったようには思えなかったので、腑に落ちないシーンでした。

コロンボの疑惑-8 楽団追放を恐れたアレックス

楽団理事長のリジー・フィールディングが、コロンボも同席の上で、ポールを尋問しています。

ポールは潔白だと主張し、コロンボもそれを信じています。

リジーは、ポールがジェニファー死亡当日に、彼女の家を訪れたことを隠していた理由を追求します。

ポールは、ジェニファーの死にかかわっていると疑われるだけでも、楽団を解雇されかねないと怖れ、黙っていたのだと説明しました。

リジーは、オーケストラは娘と同様大切な宝だから、それらを傷つける人は追放すると、言い放つのです。

これにコロンボが反応しました。

結局ポールは解雇は免れ、潔白が証明されるまでは給料ありの自宅待機となりました。

コロンボはリジーに、アレックスでも楽団や娘のジャニスを傷つけると追放するのかと確認します。

「それこそ許せませんね。」と言い切るリジー。

コロンボは、アレックスの愛人殺しの動機をつかみました。

アレックスは、不倫というスキャンダルで楽団と妻ジェニスを傷つけることで、追放されることを恐れ、口封じのためにジェニファーを殺したのです。

ちなみにリジーの緑色のセーラー服、これって当時は普通のファッションだったんでしょうかね。

コロンボの切り札

コロンボは、愛犬を獣医に診せています。

テレビからは見覚えのあるクラシックコンサートが流れていました。

ジェニファー死亡当日、アレックスが指揮したコンサートの再放送だったのです。

コロンボ
コロンボ

ビデオがあったんだ。

利口じゃないね。

ビデオを忘れていた。

どうやらコロンボは、願ってもない切り札を手に入れたようですね。

コロンボの王手

コロンボは、ハリウッドボウルでオケの練習中の楽団を訪ねます。

見学しているジャニスの隣に、コロンボはちゃっかりと腰を下ろします。

あの優しいジャニスも、さすがにいやそうですね。

それでもコロンボの質問に、優しく答えてくれます。

練習を終えたアレックスに

コロンボ
コロンボ

先生。

度々申し訳ないんですが面白いことが分かりましてね。

と声をかけるコロンボ。

 

アレックスもジャニスもコロンボを追い返そうとしますが

コロンボ
コロンボ

テレビ局までちょっと。

それで全部解決しますんで。

以後は二度とお邪魔しません。

お約束します。

と、コロンボが簡単に引き下がるはずもありません。

再びジャニスに断られますが

コロンボ
コロンボ

そこを何とか。

と、お得意のしつこさです。

 

ジャニスは、「じゃ本当にこれで決着をつけましょうね。」としぶしぶ承知します。

彼女ももやもやを解決したい気持ちがあったでしょうし、コロンボはそこをねらったとも考えられますね。

アレックスの襟の花の行方

コロンボは、アレックスとジャニス夫妻をテレビ局に案内します。

そしてアレックスが、いつも襟に花を挿すことを確認してから、ジェニファー死亡当日のオケのコンサートのビデオを見せます。

アレックスのアップになったところでビデオを止めて

コロンボ
コロンボ

いつも花を挿されるそうですが見えませんね。

と、アレックス夫妻に言います。

 

アレックスは、いつもとは限らないと言い、ジャニスは、ジェニファーの騒ぎで忘れたのでは?と返します。

コロンボ
コロンボ

でも現場で花拾われるのを見ましたよ。

ピアノの下に落としたそうで。

と続けるコロンボに、アレックスは、記憶にないと言い張ります。

するとコロンボは、もう一つ、ビデオを見せます。

ジェニファー死亡の知らせを聞いて駆け付けたアレックスが、彼女の家から出て、マスコミの取材に答える映像でした。

アレックスのアップで映像を止めて

コロンボ
コロンボ

花はついてます。

誰が見ても花です。

どこでつけたんでしょう?

と、王手をかけます。

アレックスは、指揮棒で花を襟につけた映像を指しながら言います。

「君はどうしても僕を犯人にする気か?そんなもので。」

コロンボ
コロンボ

はい。

花を手に入れるとしたらあのピアノの下から拾った時しかないんです。

つまり前に来たとき落としたやつです。

と追い込みます。

アレックスは、コンサートが終わったあと楽屋で別な花をつけて出たと言い訳をします。

ジャニスが毎日新しいのを届けてくれるんだそうです。

コロンボ
コロンボ

なぜ終わってからつけたんです?

なぜ演奏が済んだあとつけたんです?

とコロンボの疑問がつきることはありません。

アレックスは、混乱していたから分からないと答えます。

コロンボは矛先をジャニスに変えて

コロンボ
コロンボ

奥さん。

奥さんの記憶もそうですか?

と確認します。

「いいえ。終わったあとにはつけなかったわ。」

とこれで妻の証言がとれました。

「二人で話そう。」というアレックスにジャニスは

「ほかの事ならあなたのためにどんな事でもしたけれどでもこれだけは。」

と拒むのです。

これだけは、というのは、殺人という重大な罪を見て見ぬふりはできないということでしょうか。

それとも愛人がいたことが許せないってことなんでしょうかね。

これでアレックスは詰みましたね。

しかしジャニスを抱き寄せて

「僕は有罪だよ。だが今分かった。愛してたよ。

僕は君を愛していた。

証言のときそれを思い出してくれ。いいね。」

とささやきます。

本心なのか、妻を懐柔しようとしているのか、つかみきれない男です。

それから覚悟を決めたアレックスはコロンボを指揮棒で差しながら

「一言言わせてくれたまえ。

いい恥さらしだった。

しかし君は名刑事だ。

スタイルといい手法といい実にユニークだ。」

と敗北宣言をします。

何で指揮棒持ってきてるんでしょうね。

「さよなら名刑事。」と言って、ジャニスにはウインクして、他の皆にも「チャオ」と挨拶をして、アレックスは連行されてゆきます。

チャオはイタリア語の挨拶ですから、アレックスはコロンボと同じイタリア系ということになりますね。

ショックで沈み込むジャニスに、「お察しします。」と言って手を取るコロンボ。

ジャニスが帰った後のコロンボ最後のセリフです。

コロンボ
コロンボ

フランク。もう一度回してよ。今のコンサート。

アレックスが落としたのは妻の愛

 

今作品の監督ニコラス・コラサントは、アレックス・ベネディクトを演じたジョン・カサベテスの別名なのだとか。

つまりジョン・カサベテスは自分の監督作品のゲストスターも務めたということですね。

コロンボを演じるピーター・フォークとの親交も深いそうですよ。

しかしこのアレックスという男。

最初はイケメンだと思いましたが、濃い顔を終始ニヤニヤさせて嫌な感じでした。

妻が出来過ぎだったのも、アレックスが軽薄に見えた理由かもしれません。

とはいえ、最後コロンボに追い詰められたときのアレックスの鬼気迫る表情は、なかなかの顔面力でしたね。

コロンボ作品には、顔面力の強い達者な役者さんが多いのもみどころです。

さて、この「黒のエチュード」は、犯人を特定できるような証拠を現場に落とすというあまりに稚拙なミスが逮捕の決め手となりました。

完全犯罪が魅力のミステリー作品としては、弱い設定となってしまいました。

ですがこの落とした花は、妻が夫のために心をこめて育てた愛の証のようなものです。

それをよりにもよって愛人の元に落としてくるなんて、妻の愛を落としたという伏線だったのかもしれませんね。

そう考えると、それぞれの立場からの濃厚な人間ドラマが浮かび上がった、なかなか深い作品でしたよ。

殺人にからむ重厚な人間関係も、刑事コロンボの観察力が生きる最高の醍醐味ですからね。

ただ今回はコロンボがしつこ過ぎたのが、少々食傷気味でしたね。

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コロンボの王手

今回のコロンボの王手は、犯人が現場に落とした花、つまり証拠をおさえたってところですかね…。

ちょっと弱いですが、妻の証言も得ることができました。

定番のセリフ「うちのカミさん」「もう一つ・あと一つだけ」は、ともに4回登場しました。

ではまた、刑事コロンボでお会いしましょう。

 

ユーネクストで無料でコロンボを観ることができます。

コチラです↓↓

 

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