男性であるフレディが、なぜか女の子風の「まどか」という名前のラインアカウントを作成したことは、前回述べた。
で、その「まどか」というアカウント作成以前に、わたしとのラインに使っていたアカウントも、そのまま残り続けていた。
その古いアカウントの名前を、分かりやすいように「旧フレディ」とでもしようか。
わたしはてっきり、携帯を変えたとか、ラインパスワードを紛失したとかで、その「旧フレディ」アカウントが使えなくなったのだと思い込んでいた。
しかしあるとき、その「旧フレディ」アカウントが、「らら☆」という名前に変わっており、写真も変更されていたのである。
わたしはその「らら☆」アカウントを見たとき、まさか「旧フレディ」だとは思わなかった。
ただ「らら☆」という謎のアカウントが、突然現れたように感じて過去トークを見て、誰だったかを探ってみる。
すると、過去のやりとりからフレディの以前のアカウントだということが、分かったのである。
このフレディの旧アカウント、死んだわけでなく、絶賛使用中だったんだ…。
ならなぜ、わたしに新しいラインアカウントを知らせてきたんだろう…。
わたしとはそのまま古いアカウントでやりとりすれば、いいだけなのに。
それに「旧フレディ」アカウントも、女の子風の「らら☆」という名前に変えられている。
いわゆる複数アカウントというヤツですね。
40歳を過ぎた子供もいるバツ2の男が、なぜ女の子風のアカウントを二つも作っているのだろう、とその謎はつきない。
刑事コロンボにこの謎を解いてほしいぐらい。
いわゆる「ネカマ」というヤツで、女の子のふりして、若い女でもひっかけるナンパアカウントとして使うつもりだろうか…。
ネカマって、ネット上で女の子のふりをするオカマのこと、つまりネットオカマって意味ね。
そのようなフレディの謎の行動の中、コロナが武漢からやってきた。
誰もが知っている上場企業社員であるわたしは当然、外出を控えるようにお達しがくる。
またフレディもそれなりに社会的地位のある仕事をしているので、この状況でフラフラ出歩くことなどできはしない。
思えばコロナは、社会的底辺に一層激しくダメージを与える災いとも言える。
民度の高い人々は自粛するし、上場企業ならそれなりの防疫休も支給され守られる。
しかし民度の低いバカはフラフラ出歩き、コロナをまき散らす。
さらに不安定な非正規社員は仕事を失なったり、テレワークができないような古典的な職場で、コロナの危険にさらされるのである。
まさにコロナは富める層と貧しい層の差を、一層濃く浮かび上がらせたと言える。
そのような不満が、アメリカのデモにもつながってるんだろうね。
そんなわけで、わたしとフレディはコロナがため、濃厚接触を禁じられ、会うことができなくなってしまいました。
そしてフレディから連絡が途絶えた。
もうこのままフレディから連絡がないかもしれないな~と、わたしは今までに何度思ったことだろう。
あるときふとラインをいじっていたら、フレディが「まどか」アカウントでライン日記を書いているのを見つけてしまった。
その日記が…、何というか、女の子として、多分主婦としてだろうか、女性が書いたようによそおってあるのである。
ねえ、アンタ、いったい何やってんの?
脳みそがコロナに感染して、おかしくなったとか?
あんなに自宅待機して、わたしとの濃厚接触すら禁じてきたのに、コロナに感染しちゃったとか?
では、フレディが「まどか」という女の子になり切って書いた日記を紹介しよう。
まどかの日記一日目 リラックマのぬいぐるみ
最初の日記は、リラックマのぬいぐるみの写真に、「りらくま、集めてる」と、綴られていた。
リラクマ、集めてる
で、最初についたコメントが、「らら☆」からの、「きゃわたん♡」だった。
きゃわたん♡
ねえ、「らら☆」もフレディのアカウントだよね。
つまりフレディは、「まどか」アカウントで日記を書き、「らら☆」アカウントで別人をよそおって、自分の日記にコメントをつける。
ねえ、アンタ、何やってんの?
自分で書いた日記に他人をよそおってコメントつけて、何が楽しいのさ!
一体何やってるんだ!!
しかも「らら☆」のコメント、「きゃわたん♡」って…。
「きゃわたん」って、かわいいって意味をブリブリさせた表現だよね。
40歳を越えたおっさんが、きゃわたん…!?
よくこんな言葉、知ってたなぁ。
「らら☆」は女子高生という設定なのだろうか。
その日記にはさらに主婦っぽい「りの」という女性から
りらくま可愛い過ぎるー♡
とコメントがついていた。
なぜ「りの」が主婦だと分かったかというと、二人の子供と一緒に写した写真をプロフィール画像に使っていたから。
この写真のイメージで。
何だこの「りの」は?
前の嫁か?
いや、わたしはフレディの前の嫁の顔を知っている。
こんな顔じゃあ、ない。
もしかしたら二番目の嫁かも。
でも、確か二番目の嫁の子供は、一人だったはず。
じゃあ誰なんだ、「りの」は?
近所の奥様か、その他のつながりか、ラインで知り合った女性か…。
続く