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塗られた本 ネタバレあり 松本清張原作の絶対に泣ける小説 沢口靖子 主演バージョンの感想

社会・テレビ・芸能評

※2008年に別のブログで書いた記事です。

わたしは13歳のときに、
松本清張の『塗られた本』に
号泣して以来ずっと、
自称清張フリークである。

 

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感想(2件)


昨年末にこの『塗られた本』が、
沢口靖子主演で
ドラマ化されていたものを観た。

 

ストーリーは、
心優しいが純粋すぎて、
社会に適応できない
自称詩人の夫を持つ
美しいヒロイン(沢口靖子)が、
夫の詩集を出すために
出版社を立ち上げる。

 

この出版社を成功させるために、
自分の体を使って、
流行作家に原稿を
依頼するというもの。

 

夫への愛ゆえに、
夫を裏切らなければならない
悲しいヒロインの物語である。

 

ここからはネタバレ

 

 

ラスト、
原作では妻の真実を知った夫が
樹海で自殺する。

 

そのシーンで、
わたしは号泣したのである。

 

何でこんないい人が、
死ななくっちゃいけないの?

 

二人はとっても
愛し合ってるのに、
なんで上手くいかなかったの?

 

 


まだ13歳のわたしには
この結末は衝撃的過ぎたのである。

 

感受性の強い
思春期でしたから
今まで読んで
一番泣いた小説ではなかろうか。

 

で、ドラマ版。
やはり原作が
しっかりしているからか、
けっこう楽しめた。

 

 

しかしラスト、
夫は自殺に失敗し、
ヒロインと静かに暮らすという
平和な終わり方であった。

 

でもこれって、
読者(視聴者)の望む
ハッピーエンドだよね。

 

そこに作家の
メッセージ性っていうのは
薄れるような気がする。

 

そりゃあ、わたしだって、
あの夫婦には
幸せになってほしかったけど、
やはり心に残るのは、
原作のほうである。

 

多分ドラマと同じ結末だったら
わたしは小説版を読んでも
号泣もしなかったし
そんな本を読んだことも
すっかり忘れていたかもしれない。

 

同じく松本清張の原作
『砂の器』もそうである。

 

映画版『砂の器』は、
生き別れた父子は、
結局会えずじまいで終わる。

 

しかし中居正広主演の
ドラマ版では、
父子が再会を果たすところで
終わっている。

 

そりゃ確かに、
あの父子を
会わせてあげたいというのは
視聴者全ての願いであろう。

 

悲劇的結末だからこそ、
心に残ることがある。

 

心を鬼にして、
悲しみを持って、
作家が伝えたかったことが
あるのですよ。

 

読者の望むラストを与えるのが、
優れた作品とはいえない。

別にわたしが、
ブラックエンドが
好きというわけでは
ありませんが。

 

 

ロミオとジュリエットの
駆け落ちが成功していたら、
これほど歴史に残る名作に
なり得たかという話です。

 

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