オフィスのお昼休み、バブル姫の務める親企業と、わたしの務める子会社は、同じ和室でランチタイムを共有していた。
ところがバブル姫の所属する親会社メンバーが、和室が狭いということを理由に打ち合わせ室でお昼休憩を取るようになった。
和室にこだわるバブル姫は、一人、取り残されてしまったのである。
別企業であり、はるかに若い社員の多いわたしたち子会社と、話が噛み合わないバブル姫は、日に日に話題に入れなくなってゆく。
バブル姫は、一人ぽっちで携帯を見つめて過ごすことが多くなっていった。
わたしたち子会社もね、別にいじわるして仲間外れにしているわけじゃないんだ。
バブル姫が口にする話題って、ずれているというか、返答に困るようなことばかり言うんだもの。
例えば、今シーズンの女子フィギュアスケートは、4回転を飛ぶ若いロシア選手の活躍が目覚ましかった。
すると姫は、
「ロシアの女の子たち、太って四回転が飛べなくなればいいのに。」とか言うねん。
自分の娘どころか、孫ぐらいの、10代半ばの女の子が、血のにじむような思いで極めた高難易度の技術にたいして、そんな言いぐさってある?
皆ドン引きして答えに困ってる中、わたしだけが、
「ちょっとそういう言い方、ひどいんじゃないですかね。」と言ってやったわ。
他にも、バブル姫が何を言ってるのか、皆が理解できないため、誰も姫の話題を拾ったり、広げたりすることができない。
すると姫が話し終えた後、シーンという無言の間があたりに広がる。
この何とも気まずい空気といったら。
こんなことは頻繁に起こるあるオフィスのお昼休みの光景であった。
世間話すらまともにできない知能の低いバブル姫。
わたしはバブル姫は発達障害だと確信している。
あるいは知能指数が、わたしたちより20ほど低いか…。
知能指数(IQ)が20違うと、話が噛み合わなくてつらいって言うしね。
皆の輪に入れないのも無理はない。
ときどきわたしは、バブル姫は頭が悪すぎて、わたしたちの言っていることが理解できないのではないかと思うことがある。
例えばわたしたちは皆、英語をしゃべっている。
だけどバブル姫は、日本語しか分からないので、わたしたちの英語が理解できない。
だから、ここは日本なので、日本語でしゃべれ!とばかり、無理やりわたしたちの話題を変えさせようとするのである。
それならば、とても気の毒でかわいそうではあるが、わたしたち、別に高尚な話も難解な話もしてないしね。
何でレベルの低い人のつまらん話題に合わせなきゃならないんだ。
そんなある日の昼休みのことです。
一人ぽっちのバブル姫を見かねた慈悲深いザイさんが、
「わたしたち子会社は、この和室から出ましょうか。」
と、いきなり言い出したのです。
わたしたち子会社も、バブル姫も、最初ザイさんが何を言い出したのかよく理解できなかった。
バブル姫がいなくなった後でザイさんが言うことには、バブル姫はいつもとてもつまらなそうな顔をしている。
そこで、昼休み、バブル姫を置き去りにして、わたしたちに何の説明もなく出て行ったことについて、後輩さんに詰め寄ったんだったさ。
すると後輩さんは、
「え?もうあの和室、人がいっぱいだから。」と答えたという。
その言い訳が、ザイさんにとっては許しがたかったようで、それならわたしたち子会社が出ていきますので、バブル姫と一緒に和室を使ってくださいということになったらしい。
バブル姫はいつもお昼休み前に、後輩さんやとじこさんに
「今日は和室に来ないの?」と和室に誘うのだという。
でも誰も来ない。
そのことをあまりに気の毒に思ったザイさんの説得により、後輩さんととじこさんは、明日から和室に行くということになった。
介護士と呼ばれるザイさんの慈悲です。
そしてわたしたち子会社は、和室を出て行って、会議室でお昼休みを過ごそうということになったのです。
続く
本日のバブル姫のコーデ
本日もお得意のワンピONワンピコーデ。
最初、普通にワンピの下にニットでも着てるのかなと、スカートをめくってみたところ…
やっぱりワンピースにワンピースをかさねてた…。
真っ赤なワンピに、カジュアルなチェックワンピのコラボが、ばっちり決まってるぅ。
とても50歳の女性のファッションとは思えません。
ホワイトのダウンジャケットで、清潔感をプラスして。