片付けられないため、発達障害疑惑のあるバブル姫が、わたしのロッカーの前にこーんなに服をつるしているので、意を決して注意した。
「バブル姫さん、すみません。
あんなにたくさん洋服かけられると、わたし、ロッカーが開けにくいんです。
それに、ロッカーを開けるとき、わたしの顔がバブル姫さんの洋服に当たりそうになるんです。
わたしのファンデーションが、バブル姫さんの服を汚してしまったら、申し訳ないですし…。」
とな。
すると一応バブル姫は、素直に謝って片付けてくれたものの、余計なひと言を言い返してきたのです。
わたしはデブいので、和室で足を曲げて座るのが苦手。
脂肪が邪魔で、足が組みにくいんじゃ。
だから母が作った、こんな手作り椅子のような手作りざぶとんのようなものを、いつも和室に置きっぱなしにしている。
ちなみに中身は牛乳パックでできています。
わたしはお昼休みはこれに座って、ごはんを食べるというわけ。
バブル姫は、それを指さして
「ころんがアタシの洋服をファンデで汚したら悪いと思うのと同じや。
アタシもいつもころんのコレを汚したら悪いなと、気に病んでるで。」
と言ったので、とうとうわたしはキレ散らかしてしまいました。
こっちが下手に出て、お前のマナー違反を穏便に解決できるように、気を使ってやってるのに、何じゃ、その言いぐさは!
だってさー、座布団と洋服って全然違うやん。
座布団は、汚れやすい床にベタ置きして、おしりや足など、体の比較的不衛生な部位をのせるもんやん。
だからそこまできれいに使う必要もないし、汚すことを恐れるようなシロモノでもない。
しかもこんな母の手作りの牛乳パックという廃棄品でできた座布団椅子なんやで。
じゃあ、バブル姫は、自分の服を、つねに床にベタ置きするんかって話やで。
自分の洋服におしりをのせて座布団にしたり、足をのせたりするんか。
洋服は、自分をきれいに見せるものであって、基本汚さないように気を使うものやん。
ファッションやん!
何で美しく装うため体にまとう洋服と、体を楽にさせるための機能アイテムであるざぶとんを同じに語るかね。
しかもわたしは、ロッカーを開けるうえで、必ず顔が当たる定位置に洋服があるから困るっていってるねんで。
こんな座布団、邪魔やったら、けっとばしてどっかによけておけばいいやん。
でも、つるされている洋服は、よけることころがないやん!
とにかく何か気に入らないことを言われたら、バブル姫はやり返さないと気がすまない性格。
正論で返すならまだしも、とんでもない難癖をつけてくるから、頭にきちゃった。
だからわたしは、バブル姫にわたしの座布団が邪魔と言われたことにイラッときて、衝動的にボロカスに言い返してやった。
画像のロッカーの上に置いているバブル姫のいっぱいの荷物を指さして
「あんな荷物いっぱいおいている人に、そんなことを責める権利なんかないわ。」
って言ってやったら、バブル姫は
「ころんは、言うなぁ。」
と答えた。
言うなぁ、じゃなくて、言われないと分からないお前の頭がどうかしてるぜ、と思ったので、さらに追い打ちをかけてやった。
「バブル姫さんは、自分は人と違うなって、思わないんですか?
みんな一つのロッカーでちゃんと荷物をおさめている。
みんなができていることが、バブル姫さんだけできない。
あれ?わたしって、人と違うな、おかしいなって、本当に分からないんですか?」
と、厳しい調子で問い詰めてやった。
するとバブル姫は、弱々しい声で
「分かってるよー。」
と答えたので、わたしは何だかバブル姫が哀れになって、攻撃の手をゆるめた。
意外なことに、バブル姫は自分が人より劣っていることに気がついていたということになるね。
あるいは、わたしに追い詰められて仕方なくそう答えたのかもしれない。
ときどきわたしは思う。
バブル姫に、きちんと整理整頓しろということは、足が不自由で車いすに乗っている人に、ちゃんと立って歩け、ということと、同じではないだろうか。
足が悪くて歩けないように、バブル姫は、整理整頓ができない障害なのかもしれない。
しかしわたしもしつこい性格なことこの上ない。
そのときは黙ったんだけど、化粧品を片付けようとロッカーを開けようとしたら、つりさげられているバブル姫の洋服が、やっぱり体に当たる!!
それでイライラして
「やっぱりバブル姫さんの洋服が体に当たります~。
もうこんな非常識なことはやめてください~。」
って言ってやったら、バブル姫に
「我慢し。」
って言われてしまった!?
我慢する?
自分が非常識なことをして、人を不快にさせておいて、その不快さを我慢させるって、どまでキチガイやねん。
とても50歳越えたまともな社会人のすることやありゃしまへんで。
で、わたしはさらにイライラして
「いやですー。
非常識な人はいやですー。
非常識はやめてくださいー。」
と言いながら、その部屋から出ようとした。
するとバブル姫の声が
「ころんの座布団も非常識や。」
と、追いかけてきたので、
「バブル姫さんにはかないません。
親会社一番の非常識女王。」
と言って、部屋を出た。
最後の「非常識女王」は聞こえているかどうか分からん。
聞こえているといいナ。
で、翌日か、翌々日か忘れたけど、バブル姫は、わたしのロッカーから位置をずらして服をかけた。
「これで許してな。」
と、わたしに言ってきた。
端に寄せたといってもね、この画像のようにピンクの帽子がかかっている金属の棚にマグネット型のフックで洋服をかけているわけ。
一番端までマグネットをずらしても、ピンクの帽子の位置までしか、洋服は動かせない。
どう見ても、完全に邪魔ですよね。
しかしわたしはもう、話の通じないバブル姫と議論するのがイヤだった。
こうやってみんな、バブル姫から逃げ散らかしていくんだろうな。
話が通じないならまだしも、とんでも理論を持ち出して、人を不愉快にさせるんだもの、口をきくのもイヤになる。
話し合うのがバカバカしくなってくるんだ。
で、本当は、洋服をぶらさげられるのがイヤだったけど
「分かりました。」
と言うしかなかった。
するとバブル姫は
「ありがとう。優しいなぁ~。」
と、急に機嫌を取るようなことを言ってきたので、余計イラついた。
「ああ、もう余計なこと言わなくていいです。」
とまあ、言ってしまったわ。
これでは大人げないのはわたしの方ですね。
で、この問題は、これで収束するかのように思えたのだが、また、新たな事情が出てきたのです。
続く