ASD 疑惑のあるタカピマ上司が赴任してきてから、こき使われて日に日にストレスをためる
プチ初老ころん。
そんなある日のこと。
グリーソン所長が、新商品の見学会に新入社員の、柴咲コウばりの目力を持つコウさんを連れていくことになった。
当社にはセクハラを防ぐため、なるべく男女ペアで出かけてはいけないというルールがある。
そこでグリーソンさんは、もう一人誰か行かないかなと、まずはりょうさんに声をかけてい
た。
りょうさんは、「私はタカピマ総務長の許可がないと出かけられません。」と、エラソーにタカピマの顔を立てていた。
この会社に 20 年近く勤務するりょうさんより、グリーソンさんは後から転勤してきた。
だからりょうさんは自分の方が先輩とばかりに、グリーソンさんには尊大な態度を取る。
グリーソンさんが所長にご出世されたときも
「グリーソンさんを所長なんて呼べへん。」
とりょうさんは繰り返していたが、ころんは面倒なので無視してやった。
今にして思えば
「なんで所長って呼べないんですか?ただの記号でしょ。」
とその心理を根掘り葉掘り聞いてやればよかった。
りょうさんが新商品の見学会に行かないと言ったもんだから、グリーソンさんは困ったようで
誰か行かないかな。
と同行者を探していた。
行きたい…。
グリーソンさんが運転する車に乗って、ASDタカピマのいないここではないどこかへ行きたい…。
底辺事務員であるころんが、営業でもないのに新商品の見学会に行ったところで業務に役立つわけでもなくおかしな話である。
でも行きたい。
新商品はどうでもいい。
グリーソンさんとお出かけしたい。
タカピマと同じ空間にいたくない。
たとえ仕事でも、ASD,つまり障害者のお守りなんてゴメンだ!
このチャンスを逃すと、二度とグリーソンさんとお出かけなんてできないかも…。
と思ったころんは、勇気を出してグリーソンさんに言った。
はい、わたし行きたいです!
グリーソンさんは、思いがけないころんの申し出に、少し驚いていたようではあった。
が、新入社員と二人きりのお出かけに若干の気遣い、緊張があったのか、ころんのお出かけ
を許してくれたのである。
やったー!
グリーソンさんの運転、初体験。
ころんはすっかりデート気分♪
そしてころんはこのお出かけの許可を、直属の上司であるタカピマには一切取らなかった。
脳みそパァの障害者の許可なんて取る必要ないっしょ。
グリーソンさんは、車を片付けてくると言って、先に出かけた。
後からわたしと新入社員のコウさんと、グリーソンさんの泊めている車のある駐車場に向かう。
ホントは助手席に乗りたくて乗りたくて仕方なかったけど、ここは新入社員に譲る。
さすがに営業でもないのに助手席になんて乗れないから、コウさん乗って。
でもコウさんは気を遣うからイヤだと言う。
まあ、入社して二か月月程度の新入社員が、所長の運転する車の助手席に乗るには、気がはばかれるわな。
それでどっちが助手席に乗るか、やいのやいの譲り合いながら所長の車にむかうと、なんと助手席には荷物が置いてあって乗ることができなかった。
わたしが
所長、気を使って二人で後部座席に乗るように仕向けてくれたのかな。
でも所長にタクシーの運転手みたいな扱いできないよね。
どうしよう…。
と困っていると、グリーソン所長がやってきた。
所長、今わたしたちどっちが助手席に乗るか取り合っていたところなんです。
でも所長の荷物があるから乗れない。
ところんが言うと
今日はタクシー方式で行こうかと思ってんねん。
グリーソンさんは、わたしと新入社員の二人で後部座席に乗るようにうながしてくださった。
優しいのぉ。
新入社員と派遣上りの底辺事務員に気をつかって、タクシーの運転手代わりをしてくれる所長なんてそうそういないよ。
わたしはグリーソンさんのこういうところがたまらなく好き。
ホント、好き。
尊大なタカピマと全然違う。
障害者と健常者の違いか…。
えー、せっかく所長の隣に乗りたかったのに…。
今どっちが乗るか喧嘩してるところだったのに…。
ところんがしつこく言うと
もうええわ!
と怒られちゃった。
怒られても幸せだもん。
さあ、今から愛のドライブに出発進行!!
仕事で行くのにころんったら浮かれ過ぎぃ~。
続く
ころんが最近買って、毎日職場で飲んでる黒酢。
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