作品情報
刑事コロンボ:ピーター・フォーク(小池朝雄)
殺人犯:フットボールチームのゼネラルマネージャー
ポール・ハンロン/ロバート・カルプ(梅野泰靖)
被害者:ワーグナースポーツ社長 エリック・ワーグナー/ディーン・ストックウェル(森功至)
ワグナーの専属弁護士: ウォルター・キャネル/ディーン・ジャガー(真木恭介)
フットボールチームのコーチ:リゾ/ジェームズ・グレゴリー(富田耕生)
ワグナーの秘書:イブ・バブコック/バレリー・ハーパー(荒砂ゆき)
被害者の妻:シャーリー・ワーグナー/スーザン・ハワード(武藤礼子)
演出:ジェレミー・ケーガン
脚本:ジョン・T・デュガン
殺害の動機:会社のトップに立つため
殺害のトリックと人間関係
今回のゲストスターは、「指輪の爪あと」のロバート・カルプ
今回のゲストスターは、わたしがコロンボを大好きになった思い出の作品「指輪の爪あと」のロバート・カルプが再登場です。
個人的には、作品のリアリティが薄れるので、同じゲストスターを使い回すのは止めてほしいですね。
だけどロバート・カルプは、シリーズで三回殺人犯を演じた、コロンボの宿命のライバルだそうです。
指輪の爪あとのときの画像がコチラ。
今回はおひげを生やして、イメージを変えてますね。
アリバイはロサンゼルス・メモリアムコロシアムのボックス席
舞台は、ロサンゼルス・メモリアムコロシアム、1932年のロサンゼルスオリンピックのメイン会場となったコロシアムですね。
普段はアメリカンフットボールに使用されているそうです。
今回の殺人犯は、フットボールチーム「ロケット」のゼネラルマネージャーであるポール・ハンロンです。
チームの試合のため、コロシアムのボックス席で待機します。
このボックス席が、ハンロンの半職場のようです。
人払いをした後、まずは、このフットボールチームを経営する社長であるエリック・ワーグナーに電話をかけます。
人がいないことを確認
ハンロンは、電話に出たエリックの周りに人がいないことを確認します。
エリックに女性をあっせん
エリックはハンロンが手配してくれた女性とお楽しみだったようで、ベッドでだらだらしています。
プールに入ることをすすめる
ハンロンは、目を覚ますためにエリックにプールで泳ぐことをすすめます。
エリックは経営に無関心
エリックはどうやら会社経営に無関心な、典型的な二代目社長、放蕩息子のようですね。
経営に熱心なハンロンにせかされて、「クビにするぞ!」なんて冗談を言ってます。
一方でハンロンは、会社経営に熱心で、エリックの父の夢であった、「世界最大のスポーツ王国」を実現させたいようです。
エリックをモントリオールに誘う
ハンロンは、カナダのホッケーチームのフランチャイズと契約するために、一緒にモントリオールに行くよう、エリックに頼みます。
社長であるエリックの署名がないと、契約が成立しないからです。
すでに行きつけの旅行会社で飛行機のチケットは用意してあるそうです。
ハンロンによると、このチームとの契約で、年に200万ドルの増収が見込めるのですって。
1972年当時1ドル=301円で、6億200万円ぐらいでしょうかね。
しかしすでにお金持ちのエリックは、さほど関心がないようです。
リゾコーチにハーフタイムにボックス席に来るよう指示
続いてハンロンは、試合直前のチーム「ロケット」のコーチをつとめるリゾに電話をかけます。
チームにあれこれ口を出して、ハーフタイムにボックス席に上がってくるように指示をします。
リゾコーチ、試合直前に電話をかけてくるなんて非常識だって怒ってます。
そして部下らしき人にタオルを渡して、「こいつで電話をくるんどけ!」なんて言ってます。
このリゾコーチ、どこかで観たことがあると思っていたら「死の方程式」に登場した、被害者役のバックナー社長ですね。
一度観たら忘れられない重厚な顔です。
このバックナー社長、ではなく、リゾコーチにタオルを渡された部下らしき人は、もしかしたら、「指輪の爪あと」に登場した、ロバート・カルプの部下役のアーチャー探偵ではないでしょうか。
確かめるすべもありませんが、似てますね。
犯行の方法とアリバイ
アリバイはラジオの試合中継
ボックス席の時計が午後2時の鐘を鳴らし、フットボールの試合開始です。
なのにハンロンは、アイスクリーム屋の制服に着替え、アイスクリーム屋の車に乗って、コロシアムを後にします。
フットボールの試合は、ラジオの生中継で確認します。
ハンロンは途中、車を停めて公衆電話からエリックに連絡しますが、話中でつながりません。
エリックが電話でお酒を注文していたからです。
ハンロンが時間をおいて、再度エリックに電話をかけるとやっと繋がりました。
ハンロンは、ラジオのフットボールの中継を電話口に流しながら、さもコロシアムの会場にいるように装います。
そしてカナダへ発つために、エリックを夕方にむかえに行くと約束するのです。
凶器は氷
ハンロンはアイスクリームを買い求める女性を無視して、再度、アイスクリーム車を走らせます。
エリックの屋敷に着くと、車の冷凍庫から大きな氷を出します。
氷を持つ手が冷たそうと思いますが、まあ、手袋をしてますからね。
でもわたしだったら冷たくて長い時間は持てないなぁ。
そしてハンロンの姿を見つけ、プールから上がろうとしたエリックの頭を、氷で殴りつけます。
エリックはそのまま気を失い、プールに落ちてしまって、溺死ですね。
氷はそのままプールに放り込んで、時間が経つと溶けてなくなってしまうでしょう。
足跡を消すために水をまく
帰ろうとしたハンロンですが、靴がプールの水を吸ったため、足跡が残ってしまいます。
そこで足跡を消すために、プールサイドにホースを使って水をまきます。
ハーフタイムにリゾコーチを呼びつける
試合のハーフタイムに、約束通り、リゾコーチがボックス席にやってきます。
ハンロンは何とかハーフタイムまでに、ボックス席に戻ることができました。
電話ではリゾコーチにキレまくっていたハンロンですが、態度が一変。
柔和な様子で、リゾコーチの思うようにしてほしいと、言います。
ただのアリバイ作りのために、リゾコーチを呼びつけたことが分かるシーンです。
アメリカンフットボールの試合時間
これは余談かもしれませんが、ハンロンがどのぐらいの時間を計算したのか知りたくて、フットボールの試合時間を調べてみました。
通常アメリカンフットボールは、1クォーターが12分か15分で、4クォーターあるそうです。
アメリカリーグだと1クォーターが15分、前半が1クォーターと2クォーター、ハーフタイムをはさんで、後半の3クォーターと4クォーターです。
試合時間だけでいうと60分ですが、たくさんのスポンサーがつく大きな試合では、ハーフタイムが30分になることもあるそうですよ。
その30分の間に、スポンサーのCMを流したり、ハーフタイムショーが開催されたりするようです。
アメリカンフットボールの最高の大会であるNFL(National Football League)の優勝決定戦であるスーパーボウルのハーフタイムショーは有名ですね。
マドンナやマイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニーなど、豪華な顔ぶれが毎年ショーを行っています。
ということは、前半の試合が約30分として、ハンロンはそのぐらいで殺人を終えて戻ってきたということでしょうかね。
物語開始18分 コロンボ登場
物語開始約18分で、愛車プジョー403コンバーチブルのカーラジオでフットボールの試合中継を聞くコロンボ登場です。
部下の警官に呼ばれても、「ここだけ聞かせてくれよ。」と、試合中継に夢中です。
コロンボの許可がないとエリックの遺体が動かせないと部下に言われて、しぶしぶコロンボは現場に向かいます。
うちのカミさん-1 ボウリングに行った
現場でコロンボを待ちわびていた検視官が、ゴルフにでも行っていたのかと問いかけます。
いや~。カミさんがボウリングに行ったんでアタシは新しいハンモックの寝心地試しながらラジオなんかね。
と、うちのカミさん一度目の登場です。
同じくコロンボを待ちわびていた、遺体を運ぶ係の人…、警官か医療関係か分かりませんが、彼もまた熱心にフットボールの試合中継をラジオで聞いています。
検視官と話ながら、コロンボが時々そのラジオに耳を傾けて、一喜一憂しているのがコミカルで楽しいシーンです。
しかし検視官の許可が出たので、ラジオの持ち主はエリックの遺体を運ぶために去ってゆきました…。
エリックの死因
エリックの死亡時刻は、2時30分頃で遺体は酒屋に2時50分頃発見されました。
ということは、ハンロンは2時頃コロシアム専用ボックス席を出発し、2時30分にはエリック邸について殺害を行ったということですね。
その後ハーフタイムまでには、コロシアムに戻ってますから、車で10分から20分程度の距離にエリック邸があるということです。
検視官は、エリックは飛びイタの上でスリップして頭を打って気絶して溺死した事故死だと語ります。
コロンボの疑惑-1 水びだしの降り口
コロンボはプールへの降り口が水びだしであることが気になって、プールに近づきます。
するとうっかりプールに片足をつけて濡らしてしまい、その拍子にコートも濡れてしまいました。
コミカルなシーンかと思えば、そこでコロンボはあることに気がつきます。
プールサイドの水と、プールの中の水の、味とにおいが違うことです。
ここでコロンボは、後から水が巻かれたことに気がついてますね。
誰が水をまいたのか、掃除でもしたのかとコロンボは庭師を探します。
コロンボの疑惑-2 エリック邸は留守だった
クレメンス刑事がやってきて、エリックが昨夜、妻の旅行中に使用人を休ませて、乱交パーティーを楽しんだのだと説明します。
そしてコロンボは、亡くなったエリック・ワーグナーが、たった今ラジオで聞いていたフットボールチームの二代目社長であることを知ります。
そしてそのゼネラルマネージャーであるポール・ハンロンもとても有名人のようです。
クレメンス刑事はエリックは事故死だと思っているようですが、コロンボは近所の人や酒屋の供述を取るように指示します。
そしてプールや屋敷中の指紋を取る捜査指揮をクレメンス刑事にまかせて、エリック邸を後にします。
すでにコロンボは事故ではなく、事件を疑ってますね。
クレメンス刑事が、コロンボにどちらへ行くのかと尋ねると
フットボールへ行ってくるよ。
と答えました。
クレメンス刑事は、コロンボが捜査を放り出して遊びにでも行くのかと、微妙な表情をしていますね。
違うんだな~。コロンボは手がかりを探しに行くのに。
コロンボの捜査開始
コロンボは、亡くなったエリック・ワーグナー社長のフットボールチームの試合が開催されたロサンゼルス・メモリアムコロシアムへと到着します。
エリック邸のプールに片足を突っ込んで濡れてしまっているので、ズボンのすそをまくりあげているのが何ともコミカルです。
コロンボの疑惑-3 ラジオを消す
コロンボはまずは、ゼネラルマネージャーであるポール・ハンロンに話を聞くためにボックス席へと向かいます。
コロンボがボックス席に入るとハンロンは、「ここは専用ボックスだ、今忙しいんだ。何のようだ。」と冷たい態度。
ラジオでは、今開催されているフットボールチームの試合中継が流れ続けており、得点を決めたロケットに、コロンボは「やった~。」とガッツポーズを決めます。
刑事であることを名乗ったことで、ハンロンはやっとコロンボと話をする気になったようです。
コロンボは、エリック・ワーグナーの死体がプールで発見されたことをハンロンに伝えます。
驚きの表情を浮かべたハンロンは、コロンボの話がよく聞こえるように、ラジオの音量を下げます。
悲しみに暮れた様子を見せるハンロン。
ハンロンはさきほどエリックと電話で二回話したこと、エリックは泳ぎは得意だったことなどをコロンボに伝えます。
コロンボが、エリック・ワーグナーの妻を探していると言うと、ハンロンは
「シャーリーは慈善事業の関係でアカプルコへ行ってますよ。」と答えます。
そしてエリックと家族同様の関係だったハンロンは、今後のことは全て自分が面倒を見ることにしたようです。
これですかねぇ。エリック殺害の動機。
今作品は動機がイマイチはっきりしないのですが、エリックを殺害して会社を乗っ取ることなんでしょうかね~。
コロンボは、エリックの妻、シャーリー・ワーグナーには、
まだうるさく質問するようなことはしませんよ。
と、ハンロンに伝えてから、立ち去ろうとします。
しかし去ろうとして、一度戻ってくるのがコロンボなので、戻ってきてからの
あなたにもです。
と、含みを持たせたこのセリフ。
「質問というと?」とハンロンが訊ねると、コロンボはエリックが昨夜パーティーをしたこと、そしてプール掃除を請け負っている会社のことなどを、口にします。
ハンロンが、
「日曜にプール掃除に来ているのを見た事がないが、なぜです?」
というので、コロンボは
なに 降り口に水が流してあったものでね。
カルキの入ったプールの水じゃない。
と疑問を口にしたところで、時間を告げる時計の鐘が鳴ります。
するとハンロンは、コロンボの声が聞き取りにくかったのか、ラジオの電源を消してしまいます。
ここですね。
プールの話になったとたん、ラジオを消したハンロンをコロンボが最初に疑った瞬間です。
ハンロンがコロンボに、事故ではないのか言ったのでコロンボは
誰かがホーズで水まいて何かの後を消したか、飛び込みの偽装をしたかもしれんのです。
と、殺人の可能性をほのめかします。
そして「今はこれ以上、お邪魔しません。」と去ってゆきます。
ハンロンは、すでに事故に見せかけた殺人であることが見抜かれて、何とも言えない表情をしています。
コロンボの疑惑-4 ハンロンの不自然な気分の変化
コロンボは続いて、同じコロシアムにいるリゾコーチに話を聞きます。
エリックの父の親友だったリゾコーチは、突然の訃報にひどく沈んだ様子です。
エリックは父と違って、お酒と女におぼれた放蕩息子だったようです。
コロンボが本当はハンロンに話を聞きたかったが、忙しそうだったとリゾに伝えると
「忙しいしカーカーしてる。直撃弾をくらっちまった。」とリゾは答えます。
リゾは、ゲームが始まる前にハンロンから電話で怒鳴られたことを、コロンボに愚痴ります。
そのためリゾコーチはハーフタイムに、ハンロンのボックス席へ向かったのですが、ハンロンの機嫌はすっかりなおっていました。
おかしいなぁ。前半いいとこなかったのに。
チームが負けているにも関わらず、ハンロンの機嫌が治っていることにコロンボは疑問を呈します。
リゾによると、ハンロンとチームは古い付き合いで元々広報係として入社しました。
前社長の死後、頼りない二代目エリックに変わって、会社の指揮を執り、成功に導いたのがハンロンでした。
相当やり手のゼネラルマネージャーで、エリックとの関係は良好だったとリゾは言います。
エリックは殺されるような人間ではなかったとも。
コロンボは、ふんふんとうなづきながらも、腑に落ちない表情を浮かべています。
次々と登場する怪しい人物
物語の中盤です。
一気に登場人物が増えるので、整理しながら進めましょう。
コロンボの疑惑-5 電話の雑音
殺害されたエリック・ワグナー邸に、専任弁護士ウォルター・キャネルが駆けつけます。
エリックの父とは親友だったようですが、どうやらポール・ハンロンとは仲が悪いようですね。
ハンロンがエリックの死を知らせてくれなかったことに、キャネルは怒っています。
エリック邸には、新しく雇われたばかりのハンロンの秘書が、ひっきりなしにかかってくる電話対応に追われています。
以前の秘書、イブ・バブコックが三日で辞めてしまったため、引継ぎができていないようです。
そこに我らがコロンボが登場。
いつものごとく、刑事とは思われず、秘書に葬儀用のお花を運ぶ業者と間違われてしまいます。
コロンボは、エリックの妻、ワーグナー夫人を探してに来たのです。
コロンボは、弁護士キャネルに、
その靴いくらでした?
と尋ねています。
確か60ドルかな、と答えるキャネルに
うっかり水に入って靴駄目にしちゃったんですが、そんな感じのやつ20ドルぐらいで売ってるところ知りませんかね。
などという無茶ぶり。
そこへポール・ハンロンも顔を出します。
そのタイミングで、ロゴージーという女性から、急用だと何度目かの電話がかかってきます。
ハンロンは、「今日は電話を受けないと言ったろ。」と忙しさを理由に、その電話を断ります。
続いてコロンボ宛に、警察から電話がかかってきます。
コロンボは、明日もう一度、鑑識がエリック邸を調べる許可をハンロンに取ります。
ハンロンは葬儀の打ち合わせで忙しいと去ってゆきます。
そして弁護士ウォルター・キャネルも、鑑識が入ることでエリックが殺害された可能性があることを知ります。
コロンボは電話がかかってくるたびに、ラジオに雑音が入ることが気になっているようです。
このシーン、主要な人物が一気に登場する重要な場面です。
エリックの父の旧友で専属弁護士ウォルター・キャネル
秘書を辞めたイヴ・バブコック
何度も電話をかけてきたロゴージー
しっかり押さえておかないと、その後の話が混乱します。
コロンボの疑惑-6 空港から電話をかけるハンロン
ポール・ハンロンは空港に向かったので、コロンボはそのまま追いかけます。
空港の電話ボックスで誰かと連絡を取っているところを、コロンボに見つかったハンロンは
「今は駄目だ。じゃあまた。」と慌てて電話を切ります。
そしてコロンボが後をつけてきたことに怒りをあらわにします。
コロンボはしれっとした様子で
葬式の打ち合わせをするには変わった場所ですな。
と、ハンロンの怒りなど意に介しません。
ハンロンはそのままコロンボを無視して、歩いてゆきます。
コロンボはさらに追いかけて
ハンロンさん。
アタシはいささかびっくりしましたよ。
さっき電話に出る暇がないって言ってた人がこんな所で電話してんだから。
とまあ、ハンロンの矛盾を攻撃するのに容赦も抜け目もありません。
そんなコロンボが好きでたまらない。
コロンボはすでに、ハンロンが聞かれたくなかった電話をこっそり空港でかけていたことを見抜いていますね。
この電話の相手は誰でしょうか。
ハンロンは、明日のモントリオールの会議のキャンセルの電話をかけ忘れていたからだと言い訳します。
そりゃあ降って湧いたような大騒ぎだから無理もありませんよね。
とにかくあなたの車が空港に入るのを見たんで。
と、コロンボのしつこいことがこの上ないので、とうとうハンロンは観念します。
「よし言おう!コロンボ君。私はエリック夫人を向かえにきたんだ。間もなく着く。」
と、空港に来た理由を説明します。
コロンボが、夫人がアカプルコからこんなにも早く帰れる理由が分からないと言うと、ハンロンは、特別機をチャーターさせたと説明します。
なぁる。実にテキパキしたもんだ。
と感心するコロンボ。
「なぁる。」って、「なるほど」の略かと思われますが、当時の流行り言葉だったのか、コロンボ語なのか、よく分かりません。
コロンボは時々、こういう省略したあいづちをよく打ちます。
ただでさえ英語は日本語より早口。
さらに刑事コロンボを演じるピーター・フォークは、早口でまくし立てるように喋ります。
ですから日本語に吹き替えるとき、小略語を使わないと、収まり切れないのでしょうかね…。
エリックとシャーリーの夫婦仲
ハンロンは、エリックの妻であるシャーリーが帰国することを、コロンボに伝えるべきだったと言いますが、弁護士キャネルのネチネチしたお悔みを聞かせたくなかったと説明します。
それこそ思いやりというもんだ。
さらにブン屋に知られないようにして、シャーリーをゆっくり休ませたいと言うハンロンに
ごもっともですとも。
とまあ、コロンボの適当なお世辞がじわじわ来ますね。
コロンボは、シャーリーの代わりにハンロンに2~3質問したいと言って、エリックとの夫婦仲を尋ねます。
エリックが昨夜、乱痴気パーティーを開いていたことをコロンボは口にします。
ハンロンは、エリックを弟のように思ってはいたが、いつまでたっても赤ん坊のようで、シャーリーもそれを理解していたと語ります。
夫婦はタイプの違う性格をしていましたが、妻シャーリーは別れる気にはならなかったそうです。
立派な奥さんですな。
財産はどうなるんで?
遺産は奥さんが相続されるんでしょう?
と探りを入れるコロンボ。
コロンボの疑惑-7 エリックの解剖結果を聞かない
ハンロンは、コロンボがなぜ自分をつけてきたかを問いただします。
コロンボは、エリックの解剖結果など、新しい情報が入ったからだと説明します。
そういや解剖の結果をお尋ねになりませんな。
きっとお忘れなんでしょう?
と、嫌味を言うコロンボ。
ハンロンは、エリックは事故死だと確信しているので、解剖結果を聞く必要はないと言います。
ただいかれたヒッピーの女の子と付き合っていたことを気にしているハンロンにコロンボは、
あ~そうそう。
それもお話したかったんですよ。
と、乱痴気パーティーに出ていた女の子は突き止めたけれども、皆アリバイがあったことをハンロンに伝えます。
そうなるとやっぱりほかを探さないことにはねぇ…。
と、あくまで殺人を疑うコロンボ。
「それはどういう意味だ。」とハンロンは怒りと焦りを隠しきれません。
うちのカミさん-2 カミさんに感謝
コロンボは、エリック死亡時刻の2時30頃、近所でアイスクリームを運ぶ車の目撃があったことを伝えます。
アタシはカミさんに感謝しましたね。
ふだんから怒りっぽい女でね。
アイスクリームにまで腹立てるんです。
「なぜいつも昼飯前や晩飯前に回ってきて子供の食欲をなくさせるのか」ってよくブーブー言ってましてね。
週に3度は聞かされる。
つまり月に12度ですな。
コロンボがアイスクリーム屋に電話したところ、エリック邸の近所には一台も車は回っていないとのことでした。
ですから、エリック殺害の第一容疑者は、近所で目撃されたアイスクリーム屋ということになります。
ハンロンがアイスクリーム屋に変装してエリック殺害を行ったことまで、もうコロンボはほぼたどり着いていますね。
もう一つ-1 ハンロンのアリバイ
コロンボはさらに、定番セリフのもう一つを使ってハンロンに確認します。
もう一つ分かって頂きたいんですがあなたが事件当時あの専用ボックスにおられたということの裏付けを取りたいんですがね。
ハンロンは、関係者全員を疑うのが仕事だろうからと言って、承知します。
ありがとうございます。
いや~肩の荷が下りました。
と言って、リゾコーチに確認すると言います。
そしてリゾコーチの話では、試合中負けていた前半からは、一度もハンロンから電話がなく、試合開始前はとても不機嫌だったことを確認します。
ハンロンはすでにとても追い詰められているようで、イライラしていますね。
コロンボの言葉を打ち消すように、試合開始前と前半の真ん中当たりにエリックに電話をかけたことを説明します。
コロンボが、あいにくダイヤル即時にエリックに電話をかけた記録がないと言うと
「私のしったこっちゃないね。」とハンロンは反論します。
おっしゃるとおり。アタシの仕事で。
それにエリックを殺す動機を持った人物を見つけるのもアタシの仕事なんで。
と言い放ったコロンボ。
これはハンロンへの宣戦布告と取りましょうか。
そこへちょうど亡きエリックの未亡人、シャーリーが空港に着きます。
ハンロンの胸で泣き崩れるシャーリー。
ちょっとこの二人仲が良すぎやあしませんかね、とは、わたしではなく刑事コロンボの声でしょう。
ここでハンロンのエリック殺害の動機ですが、シャーリーを手に入れるためだったのか、という疑惑も湧いてくるのです。
うちのカミさん-3 ドライヤーを使うとテレビがカチャカチャ
エリックが亡くなった日の深夜、こっそりとお屋敷に侵入しようとする黒ずくめ男が一人。
電話機を解体しようとしたところで、待ち構えていたコロンボが
捜し物かい?
と声をかけられ、警官に取り押さえられてしまいます。
ヘマしたなぁ。
ラジオに文句言うこった。
と言うコロンボ。
無線の盗聴器を仕掛けた影響で、電話がかかる度にラジオに雑音が入ってしまうのです。
その雑音を聞いたコロンボが、盗聴器の存在に気がつき、待ち構えていたというわけです。
カミさんがドライヤー使うとテレビがチャカチャカするんだよ。
それで電気屋に聞いてやっとわかった訳さ。
と、三回目の「うちのカミさん」登場ですね。
今回のカミさんの活躍ときたら、まるで裏でコロンボを操っているかのように、核心をつくヒントをくれます。
明日鑑識に見つかる前に盗聴器を外しに来た男は、ラルフ・ダブスといい、私立探偵の免許も持っています。
コロンボがダブスに依頼人が誰かと聞くと
「私立探偵は依頼人の名を伏せることを法律で許されている。」
と答えを拒みます。
アタシにはお前さんを逮捕する権利があるよ。
家宅侵入と不法盗聴でね。
コロンボはダブスの依頼人は、ポール・ハンロンだと思っています。
悪くすりゃお前さん 殺人の共犯だ。
と、ダブスを脅かすのです。
すでにコロンボがハンロンが殺人犯だと確信しているセリフですね。
さて、私立探偵ラルフ・ダブスを雇ったのは、本当にハンロンなのでしょうか。
後半に続く
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