刑事コロンボ第二作品「死者の身代金/RANSOM FOR A DEAD MAN」の後半の解説です。
前半のあらすじとネタバレはこちらから
刑事コロンボ#2-1 死者の身代金/RANSOM FOR A DEAD MAN あらすじとネタバレ 美しく野心家の犯人のファッションが素敵♡
夫を殺して完全犯罪を成立させた美しき女弁護士レスリー・ウィリアムズ。
いよいよ刑事コロンボとの心理戦・頭脳戦が始まります。
そしてもう一つのみどころは、レスリーと義理の娘マーガレットの戦慄のバトルです。
この女の戦いがサイコで怖すぎです!
女のドロドロが好きな人にとっては、一番のみどころかもしれません。
#2 死者の身代金/RANSOM FOR A DEAD MAN (1971年)
コロンボと犯人の心理戦スタート
すでにコロンボはレスリーが犯人だと確信しています。
そしてレスリーの事務所を、約束の時間より早く訪れます。
コロンボが約束の時間より早く出向くのは、このシリーズのお約束ですね。
レスリーの助手の弁護士に
「わたしはどうもせっかちなんですかね。
いつも早すぎて先方に迷惑かけちまうんですよ。」
と言い訳します。
わたしはコロンボはいつも相手のふいをつくために、わざと約束より早い時間に訪問すると思っています。
でも単にせっかちなだけなんでしょうか。
まあ…、両方と解釈しておきましょう。
さらにコロンボは、レスリーの部下に
「よく務まるね~。
ボスは女でしょう。」
と皮肉を言います。
コロンボが女性差別者なのでしょうか。
あるいは、(夫を殺すような怖い)女の部下が、よく務まるね~という意味なのでしょうか。
1970年代の映画ですから、女性の地位はもしかしたら低かったのかもしれないですね。
うちの女房-3 電話のトリック
コロンボはレスリーの事務所にある珍しい装置のついた電話に目をつけます。
レスリーは、あらかじめ設定した時間にテープにとっておいた声を流すことのできる電話だとコロンボに説明します。
レスリーが、FBIやコロンボの前で夫からかかってきた電話を受けたのは、この装置を使ったトリックですね。
そのトリックをペラペラコロンボにしゃべるレスリーは、絶対にこの犯罪がばれないと確信しているのでしょうか。
コロンボはこの電話におおげさに感心しながら、「役所に入れたいので、機械とメーカーの名前をメモしていこうかな。」と言います。
もうコロンボはレスリーがこの電話を使って、自作自演したことに気がついていますね。
だから同じ電話を調べて、トリックが可能かどうかを暴くつもりなのでしょう。
ここでコロンボは筆記用具を探すのですが、見つからずレスリーに借ります。
「この間女房を野球につれていったんですがね。
電話で予約できるんですってね。入場券を。」
と、最近の電話の便利さに、おおげさに驚いています。
うちの女房-4 スッポン
一見事件とは関係のないおしゃべりをとめどなく続けるコロンボ。
しびれを切らしたレスリーは、コロンボに本題に入るよう遠回しに催促します。
コロンボはさらにとどめなく、自分の話を続けます。
「ただしあたしちょっとばかりしつこいたちでしてね。
よく嫌がられるんです。
ごくつまらないことが気になるたち。
つまりちょっぴりでも腑に落ちないと眠れないくちなんですな。
女房にいわせるとあたしはスッポンだそうです。」
このセリフ、コロンボからレスリーにたいする挑戦状、宣戦布告ともとれますね。
これからあんたをしつこく追い詰めるぞっていうね。
それにしてもスッポンって面白いですね。
噛みついたら離さない、まさにコロンボですね。
レスリーは
「そういえば顔も似ているかもしれないわね。」と返事します。
エスプリの利いた切り返しですが、ちょっとひどいですね。
顔がスッポンに似てるなんて言われたら、気の弱い人だったら軽く自殺しちゃいますよね。
コロンボの疑惑7 バッグだけ残された理由
コロンボはまず、身代金を入れたバッグが気になると切り出します。
思わずレスリーは
「どっちの?(バッグ)」と聞き返します。
同じバッグを二つ用意してすりかえたことを、うっかり口にしてしまうんですね。
コロンボは、
「あれ?あなた『どっち』って言いました?」と突っ込みますが、レスリーは言ってないと言い張ります。
コロンボは、急いでいた犯人がなぜ、バッグごと身代金を持っていかなかったのかと疑問を口にします。
わざわざバッグから身代金を取り出して、バッグだけを置いて逃げていくのは確かに辻褄があいませんね。
レスリーは、
「私には経験がないから分かりませんけど、人間は極度に緊張すると理性をなくして思いがけない行動をするもんじゃありません?」
と犯人の行動を推理します。
するとコロンボは、今回の犯人は相当なしたたか者だから、理性をなくすようなことはないと暗に伝えます。
レスリーは、お金が入っているかどうかを確かめるために身代金をバッグから出したのでは?と推測します。
コロンボは、一応納得します。
まあ、納得したフリでしょうけどね。
そして続けます。
「どういうわけかこの間からそのことが気になってしかたがないんですよ。
自分でも情けなくなることがあるけどもこうなると一種の病気ですな。
頭にこびりついて離れないんですよ。
確かそんな病気ありましたな。あれ…。」
とまあ、しつこいことこの上ないですね!
このある疑問が解けるまで気になって仕方がないというのは、本当にコロンボの性格なのか、犯人を追い詰めるための策略なのか、分からないのもコロンボの恐ろしいところです。
まあ、両方なんでしょうね。
気になることをとことんまで突き詰めてあらゆる方向から考えることによって、答えを導き出す。
これがコロンボの捜査スタイルなのかもしれません。
ころんチェック コロンボの声が変わる?
この後のセリフから、コロンボの吹き替えの声が変わったような気がするんです。
レスリーの声も変わったような気がするんです。
この後は、コロンボの病気の名前が「強迫神経症」ではないかという会話が続きます。
第一話の「殺人処方箋」でも途中コロンボの声が変わったような気がするんですね。
実は刑事コロンボが日本で最初に放送されたとき、カットされた部分があったそうです。
で、あるとき完全版を作るに当たって、カットされた部分だけ別の声優さんが吹き替えたそうですよ。
ですからコロンボ吹き替え版シリーズは、途中でコロンボの声が変わるということが頻繁に起こるそうです。
コロンボの疑惑8 銃と弾の角度
バッグの疑問が解けたコロンボは帰ろうとします。
帰ろうとしますが、
「あ…。どうかしてるな 全く。
弾の角度のことを忘れてました。」
と再びコロンボは話を始めます。
コロンボはポールの命を奪った銃弾は、下から上へ撃たれたものだと説明します。
つまり座っていた犯人が、立っているポールに向けて銃を撃ったのです。
ボヤーっと突っ立ったまま、座っている犯人にやられるなんて、あまりに無防備ですね。
まあ、身内の犯行ですから無防備にもなりますよね、ということをコロンボは言いたいのです。
一つだけ-1 22口径の銃
さらにコロンボは、「実は奇妙な点がもう一つ。」と、おなじみの「一つだけ。」「もう一つ。」のセリフを切り出します。
コロンボの一つは、一つじゃないということを、もうわたしたちは知っています。
ポールは、22口径の銃で撃たれており、犯罪者はたいてい32か38の銃を使うのだとか。
わたしたち銃が日常にない日本人には分からないことですが、22口径の小さい銃を使うことで弾丸が突き抜けず、体に残るのですって。
すると体を突き抜けてしまった弾丸が壁に当たったり、どこに飛んだか探す必要がなくなりますよね。
殺害現場に犯罪の証拠が残りません。
これは暗に、自宅が殺害現場だと証拠を残したくないのも当然ですよね、とコロンボは言いたいのです。
コロンボの追い込み 誘拐事件ではなく殺人事件だと断言する
こうして小さな違和感を集めてみると、ポールは計画的に殺された可能性が高いようです。
そこでコロンボははっきりと、犯人の目的は身代金ではなく、殺人だったと断言します。
以下のセリフは、コロンボが細部にこだわりながらも、決して全体像を見ることを忘れない深い洞察力を持った捜査スタイルがあらわれています。
「一つ一つはそれこそ絵空事だけれどもそれを全部組み合わせて全体として見ればヒントが出るんです。
ホシの狙いは、はなからご主人の命だけど誘拐事件に見せかけたというわけです。
誘拐の線で必死に捜査してるのをホシは意外に近くからニヤニヤ笑って見物してるんじゃないですかな?」
レスリーも怖い女ですが、コロンボも怖いですね~。
はっきりと、「おまえ、ニヤニヤ笑いながらあたしたちを見てただろ。」って言ってますね~。
確かにレスリー、完全犯罪の成功に感極まって鼻歌歌いながら踊ってましたからね。
レスリーのファッションチェック9 赤のツーピース
このシーンでは、レスリーは赤いツーピースをまとってます。
素敵ですね。
そしてコロンボは自分の勘にこんな自信を見せます。
「長いこと刑事をやってると誰でも鼻がきくようになるもんでしてね。
当人がきづいていない話の中から糸口を引き出すのがあたしの商売でしてね。」
コロンボの聞き込みを最も大切にしている捜査スタイルへの矜持ですね。
コロンボは、殺されたポールの人間関係について詳しく教えてくれるようにレスリーに頼みます。
コロンボは飛行機が苦手?
ここでちょっとブレイクタイムなのでしょうか。
レスリーは、週に二度小型飛行機を操縦して空を飛ぶのがストレス解消のようです。
レスリーはコロンボを誘って、飛行機に乗り込みます。
広い山々の風景は爽快です。
ロサンゼルスにあんな場所、あるんでしょうか。
しかし飛行機に乗るコロンボは落ち着きがありません。
この「死者の身代金」ではコロンボが飛行機に乗るシーンが二回ありますが、どうやらコロンボは飛行機が苦手のようです。
だけどコロンボはレスリーに、飛行機の操縦をさせられてしまいます。
さて、このシーンの本題は、コロンボがレスリーの夫であるポールの人物像にせまることです。
レスリーが言うには、ポールは人格円満で尊敬され、5回連続で州の弁護士会長に選ばれたと語ります。
相当優秀な弁護士だったんですねぇ。
また倫理観の強い人格者で、女性関係も潔白だったとレスリーは夫について語るのです。
うちの女房ではなく、いとこ-5
飛行機から降りたコロンボとレスリー。
コロンボが「うちのカミさん…。」や「うちの女房」というのは定番のセリフですが、ここではいとこの名前を口にします。
「あたしにはラルフって名前のいとこがあるんですが…。」とコロンボは話始めます。
いとこのラルフは頭がよく男前で全てそろった人物であり、コロンボとは「月とすっぽん」と言われるのだと。
コロンボはそのしつこい性格から、妻にすっぽんと言われていますが、ここでもすっぽんと言われています。
日本語吹き替えで観てるのですがが、英語でも月とすっぽんなんて言葉、あるんでしょうか。
コロンボはラルフが完璧過ぎてやけてきて、殺したくなることがある、レスリーの完璧な夫ポールの話を聞いてラルフを思い出したと語ります。
暗にレスリーが夫の人望に嫉妬して殺したと言いたいのでしょうか。
このシーンの意味、ちょっと分かりませんでしたね。
わたしからみれば、レスリーは嫉妬というより、ただのお金目当てに思えましたからね。
レスリーの動機が明らかに
コロンボはビリヤードが上手?
コロンボがビリヤード台のあるお店で、ビリヤードをするシーンが出てきます。
めちゃくちゃ上手ですね。
コロンボの大好物はチリー
ビリヤードを終えた後、コロンボは食事をします。
コロンボの大好物はチリー。
チリは、チリコンカーン、日本語ではチリコンカン、またはチリコンカルネというアメリカでメジャーな料理だそうですよ。
コロンボシリーズでよく食べている姿が見られるのだとか。
義娘マーガレットの証言
さてコロンボがチリーを食べているお店に、レスリーの義娘であるマーガレットが訪ねてきます。
ここでレスリーの夫殺しの動機が何となく、明らかになります。
以下がマーガレットが語るレスリー像です。
レスリーの結婚は名声のためだった
レスリーは野心家で、ポールの名声を利用したかったので出世のため愛のない結婚を選んだ。
レスリーは結婚を後悔していた
レスリーは直接夫ポールに「こんな年寄りと結婚して損した。退屈で退屈で死にそうだ。」と不満をブチまげていた。
ポールは離婚準備に入っていた
偽の結婚生活に耐えられなくなったポールは離婚を切り出していた。
しかしレスリーにとって離婚は損であったので拒んだ。
するとポールは別居して、弁護士事務所を締めようとした。
コロンボの疑惑9 ポールの車のシートとキー
マーガレットの話だけでは、レスリーの犯行を証明するのは難しいとコロンボは言います。
しかし、夫ポールの車を調べたときにおかしな点が二つあるとマーガレットに伝えます。
車のシートが前に出ていた
殺されたポールは身長が190㎝もあるのに、車のシートは前に出されていた。
つまり最後に車を運転したのは、シートを前に出す必要のある背の低い女性ではないのか?
車のキー
ポールの遺体から車のキーは見つからなかったし、車にもなく行方不明のまま。
最後に運転した人物が持っているのではないのか。
マーガレットのトラップ1
マーガレットは、父親ポールの車のキーをレスリーの部屋で見つけたとコロンボを自宅に呼び出します。
しかし実はレスリーを罠にはめるために、マーガレットは合鍵を作って証拠をでっち上げたのです。
コロンボはこのことを指摘して、
「今度だけは初めてだし大目に見てやろう。
だが二度とやるんじゃないよ。
証拠のでっち上げは罪だからね。」
とマーガレットをこっぴどく叱ります。
意地になって興奮し、コロンボをひっぱたこうとするマーガレットに
バカな娘だ。二度とやったら承知しないよ。
とコロンボはきつく言います。
レスリーも怖いですが、マーガレットもたいがい気が強いですねぇ。
コロンボがマーガレットを叱ってくれたことに安心したレスリーは
「娘の思い違いを正してくれてありがとう。」
とお礼を言います。
しかしコロンボは
でたらめな証拠であなたを起訴したら笑われるだけですからね。
と、レスリーに言い放つのです。
レスリーよりもマーガレットよりも、コロンボが一番怖いですね!
レスリーのファッションチェック10 ブルーのガウンスタイル
このシーンのレスリーのガウン風のブルーの室内着もおしゃれですね。
この後のレスリーとマーガレットの口論シーンも怖いです。
レスリーはマーガレットは病気だからお医者さんに診てもらうよう勧めます。
さらにスイスに帰るようにうながします。
しかしマーガレットとしては、父の死の真相が分かるまで、帰るわけにはいかないですね。
そんなマーガレットにレスリーは、
「今度もし私を陥れようとしたら一文無しでこの屋敷からたたき出してやるからね。
公園でも橋の下へでも行ってものもらいをするがいいわ。
この世の中は力のある者が勝つのよ。
追い出されてから泣いたって遅いからね。」
と勝利宣言をするのです。
レスリーはマーガレットを父親のいない娘にしただけでなく、乞食になれば?なんて言ってます。
小公女セーラのミンチン先生よりひどい女ですね!
コロンボの本性がむき出しに
電話のトリックを実演
レスリーの仕事場にコロンボから電話がかかってきます。
その電話の声と同時に、コロンボが姿をあらわします。
あらかじめ声を録音しておいて、設定した時間に電話がかかって声が流れるという、レスリーが使ったトリックを実演してみせたのです。
携帯電話なんてない時代です。
コロンボは、ポールから身代金受け渡しの電話がかかってきた声は、この事務所からテープで送られたのかもしれないと指摘します。
この電話がかかってきたとき、ポールはすでに死んでいた可能性があると。
レスリーのコロンボ分析
このコロンボのやり方を見て、レスリーは言います。
「恐ろしい人ね。
そのしょぼくれたなりも態度もみんな見せかけ。
敵の油断を見透かしていきなり罠をぶつけてものにしようって腹でしょ。
そう。どれもこれも罠よ。
おつむが空っぽみたいな振りをするのも奥さんやいとこのうちわ話も。
どう図星でしょ?
とにかくたいした役者だわ。
うわべはモタモタしてるけど、おつむの中身は目まぐるしく回ってる。 」
さすがレスリー、コロンボの全てを見抜いてますね。
わたしもこれがコロンボの本性だと思います。
そしてレスリーは、証拠もないのに起訴するようなことをすれば、逆にコロンボを名誉棄損で訴えてる、と言い放ちます。
弁護士に訴えてやるって言われると重みが違いますね。
しかしコロンボは、担当代えになったので、別れの挨拶に来たのだと言って去っていきます。
どうやらコロンボは、レスリーを追い込むだけの証拠をつかみきれなかったようですね。
レスリーとマーガレットの戦慄のバトル
帰宅したレスリーを待ち構えていたのは、あの日、夫を殺したときの彼女と同じ様子で、椅子に座って銃をかまえるマーガレットでした。
マーガレットは、父ポールが殺された日を再現し、レスリーを追い込もうとしたのです。
この二人の戦慄のバトル、サイコホラーのようでとても怖いです。
もしかしたら物語最大の見せ場かもしれません。
堪忍袋の緒が切れたレスリーは、とうとうマーガレットを追い出そうとします。
しかしここで負けるマーガレットではありません。
マーガレットは自分の年金、25000ドルをキャッシュで要求します。
マーガレットがスイスへ戻ることを条件に、レスリーはこの要求を呑むのです。
レスリーのファッションチェック11
目の覚めるようなえんじ色のワンピースです。
後ろからみるとうでのところが開いていて、肌がちらっと見えます。
大人セクシーで、このドレスがわたしの一番のお気に入りです。
クライマックス ネタバレ おなじみのコロンボ
スイスへ戻るマーガレットを空港まで送るレスリー。
何とコロンボと出くわします。
邪魔なマーガレットがやっといなくなって上機嫌のレスリーは、食事をおごるとコロンボを誘います。
お店でコロンボがグレープジュースを注文するのがおもしろいですね。
ここでコロンボは、消えた身代金についてレスリーに話します。
レスリーが身代金を使わざる状況になるように、コロンボはマーガレットに頼んだのです。
レスリーからマーガレットに渡された身代金の一部は、今マーガレットからコロンボの手に渡りました。
このキャッシュこそが、誘拐事件のれっきとした証拠です。
コロンボは、レスリーの欲深で自信家である性格につけこんだのです。
レスリーは、マーガレットがお金さえもらえれば父親を殺された恨みを忘れてくれると確信したのです。
なぜならばレスリーがそいういう性格だからです。
コロンボは言います。
「人間にはいくら金を積まれても売り渡せないものがあるってことをあんた知らなかった。
あんたは自分の欲の深さに裏切られたんだ。」
この物語、レスリーの明確な動機がはっきりと分からなかったのですが、やはり最大の目的はお金だったようですね。
美貌と才能に恵まれながら、お金が全ての人生ってなんだかかわいそうですね。
レスリーのファッションチェック12 黒のコートに赤のパンツ
最後のレスリーのファッションです。
黒いコートでよく見えませんが、サテンのブラウスに赤いパンツでしょうか。
わたしの記憶が確かならば、何と90分のドラマの中で12回も着替えてます。
40年も前の作品ですが、どのファッションも今みてもすてきでした。
おなじみのラストシーン
レスリーが逮捕され、お店を去った後、コロンボは支払いをします。
しかし現金を持ってないため、ツケにするようです。
多額の身代金を前にしながら、ほんの3ドル50セントが払えないというほっこりとしたシーンです。
そしてツケのためにサインをしようとするのですが、やはりコロンボは筆記用具を持ってないのです。
緊迫した逮捕シーンの後は、ほっこりなごませるのもコロンボ流です。
「殺人処方箋」と「死者の身代金」の類似点
コロンボシリーズ第二作となるこの「死者の身代金」。
第一作の「殺人処方箋」と、人物構成がそっくりだと思いませんか?
「殺人処方箋」では夫レイ・フレミングが、邪魔になった妻キャロルを殺害します。
「死者の身代金」では、夫と妻を入れ替えただけ。
妻のレスリー・ウィリアムズが、邪魔になった夫ポールを殺害するのです。
そして二人の殺人犯は、完全犯罪を成功させたのに、身近な人を侮ったことから足元を救われます。
レイは共犯者である愛人を侮り、レスリーは殺した夫の娘、マーガレットを侮って、犯罪の証拠をつかまれるのです。
要は、人間の情を無視したことから、完全犯罪がくずれてしまいます。
レイもレスリーも非常に知能が高いのですが、冷酷で情の薄い、いわゆるサイコパスかと思われます。
サイコパスとは愛という感情を理解せず、人をモノのように使い捨てするのに抵抗がない人間を言うのですって。
ちなみにわたしもにちゃんねるか何かで、サイコパスって書かれたことがあります。
こんなに刑事コロンボに愛情をそそいでいるのにね!
こうしてみると、知能が高いが愛を持たないサイコパスな犯人にたいして、コロンボが人間らしい情を使って追い詰めるというのも、ひとつのこの作品に流れるのテーマのように思えますね。
コロンボもたいがい冷酷な一面がありますが、非常に人間らしい部分もたくさん持っています。
わたしたちはそのコロンボの人間らしい一面に、心惹かれるのでしょうね。
コロンボの王手 ネタバレ
さて、今回のコロンボの王手は、消えた身代金を犯人に使わせて、動かぬ証拠をつかむ、でした。
つまり証拠を見つけ出したわけです。
「うちのカミさん」というセリフは5回、「一つだけ」は1回でした。
そしてリー・グラント演じる弁護レスリー・ウィリアムズは、何と12回も衣装を変えてました。
コロンボなんて、一回も衣装を変えてないのにね!
ではまた、刑事コロンボでお会いしましょう。
毎週水曜日21時より、BSプレミアムで絶賛放送中ですよ。