作品情報
刑事コロンボ:ピーター・フォーク(小池朝雄)
殺人犯:化粧品会社社長 ビベカ・スコット/ヴェラ・マイルズ(伊藤幸子)
被害者:化粧品開発スタッフ カール・レッシング/マーティン・シーン(伊武雅之)
ビベカのライバル会社社長:デビッド・ラング/ビンセント・プライス(三田松五郎)
ビベカのスパイ兼秘書:シャーリー・ブレイン/シアン・バーバラ・アレン(芝田清子)
マーチソン博士:フレッド・ドレイパー(高桐真)
演出:ジュノー・シュウォーク
脚本:ジャクソン・ギリス
殺害の動機:怒りによる衝動的殺人
殺害の動機と人物関係
物語冒頭、赤い無影灯(手術室などで用いられる影ができないように光を反射させる照明)が大きく照らし出され、続いて女性の顔面のアップが、印象的に映し出されます。
これは奇跡のしわ取りクリーム、最終テストのシーン。
物語の鍵を握る人物が一気に登場しますので、順番に見ていきましょう。
開発主任者マーチンソン博士
悲壮な面持ちが印象的な熟年男性は、奇跡のしわ取りクリームの開発主任者、マーチンソン博士です。
社運をかけた新商品へのプレッシャーからか、テスト中は汗を浮かべ、震える手で思わず女性の顔を傷つけてしまいました。
その様子を見かねた若き開発スタッフのカール・レッシングが、実験を代わります。
マーチンソン博士は緊迫した様子で実験室を後にし、部屋にこもって酒をあおります。
そして赤い八角形の容器に入ったクリームを手にして、壁に貼られた美しい女性の写真に語りかけます。
「奇跡が…作り出せたら。
わしらの希望はそれだけだ。ねえ。女王陛下。」
この女王陛下と呼ばれる写真の女性が、今回の主役、化粧品会社ビューティー・マークの社長ビベカ・スコットですね。
女社長ビベカ・スコット
シーンが変わって、化粧品会社ビューティー・マークの社長ビベカ・スコットは、華やかなファッションショーを見つめています。
ビベカに声をかけるのが、ライバル化粧品会社社長、デビッド・ラングです。
「つけまつげの行商にでも来たのかね。」と、嫌味を言うラング社長に
「そのかつらはどちらの製品?お宅ではそれほどのものはできないしね。」
と嫌味で返すけんか腰のビベカ。
二人のただならぬライバル関係が、一瞬で分かるシーンです。
ビベカのファッションチェック-1 白いドレス
ビベカ初登場のシーンは、華やかな化粧品業界の女社長らしく、白のターバンにワンピース。
とても洗練されていますが、どこか女性らしい可愛らしさもあって素敵ですね。
ビベカのライバル社長デビッド・ラング
化粧品業界のライバルであるビベカとラングですが、現在はラングの方が有利なようです。
このファッションショーで使われているアイシャドーは、ラングの会社のものですが、ビベカは自社製品から盗まれたと言います。
一方でビベカの会社の株は下がり、2年前にラングの会社から盗んだ口紅以来、ヒット商品がないのだとか。
お互いの商品を盗みあうのが当たり前の業界なのでしょうか。
うちの方が格上だというビベカに、君の評価を変えさせるとほんのり脅迫するラング社長。
「あなたったらかわいい事言って。あんまりびっくりさせないでよ。」
と返すビベカは、女性ならではのしたたかさ。
ラング社長も顔をしかめます。
わたしも何か気に入らないことを言われたら、
「かわいいこと言って。」と返す、大人の女性の余裕を見せるようにしましょう。
険悪な二人に割って入って、ビベカに声をかけたのが、ラング社長の秘書シャーリー・ブレインでした。
ラング社長の秘書シャーリー・ブレイン
ラングの秘書シャーリーは、ビベカに「プログラムが落ちていましたわ。」と声をかけます。
ビベカはシャーリーからプログラムを受け取りますが、実際は落としてなどおらず、きちんと手に持っています。
このシャーリー、美人なんでしょうけど、童顔なのか老け顔なのかよく分からない何とも言えない顔立ちが印象的です。
恐らく全ての顔のパーツ、目も鼻も口も大きいから圧が強い顔に感じるんでしょうね。
ビベカはラングに「お葬式にはお花をお送りしますわ。」と捨てゼリフを言って、会社に戻ります。
奇跡のしわ取りクリームは失敗?
奇跡のしわ取りクリーム「ミラクル」の成功に酔いしれ、販売戦略を練るベビカ。
しかしマーチソン博士がやってきて、しわ取りクリーム最終テストの失敗をビベカに伝えるのです。
その後、ビベカはシャーリーから受け取ったプログラムのメモを見て、彼女とレストランで落ち合います。
ラング社長の秘書シャーリー・ブレインは、ビベカのスパイでした。
はにかんだ顔でビベカを見つめるシャーリーは、彼女に心酔しているよう。
シャーリーは、ラングがハリー・スミスという偽名の男に、払おうとしている20万ドルの小切手をビベカに渡します。
ハリー・スミスは、奇跡のしわ取りクリームのサンプルを持って、その分子式を売り込みに来たのです。
シャーリーはスパイとしてとても優秀で、そのしわ取りクリームのサンプルをちゃっかり持ち出すことに成功しています。
しわ取りクリームの確かな効果をシャーリーに見せられて、ビベカはマーチンソン博士が開発したものであると確信しました。
そして、シャーリーにハリー・スミスの容貌を確認します。
ハリー・スミスは、濃い茶色の髪で35歳ぐらいの男性。
その正体は、マーチンソン博士が開発したしわ取りクリームのスタッフの一人、カール・レッシングでした。
カール・レッシング
ビベカは、人事部の書類棚からカール・レッシングの身上調査ファイルを取り出して、弁護士を通して連絡を取ろうとします。
なかなかカールと連絡がつかないことにしびれを切らしたビベカは、ファイルを乱暴に戻し、強硬手段に出ます。
カールの家に直接乗り込むのです。
カールはビベカの元恋人
カール宅の鍵の隠し場所を知っているビベカ。
つまり二人はかつて恋人関係にあったことが分かりますね。
奇跡のしわ取りクリーム最終テストが失敗に終わったのは、カールが偽の成分を紛れ込ませたためでした。
そしてカールは本物のしわ取りクリームを盗み出し、ラングの会社に高く売りつけるという算段でした。
ビベカはカールが小麦粉が入っていた缶に、しわ取りクリームを隠していたことを見事見つけ出します。
この画像のカールが持っている赤い容器が、しわ取りクリームミラクルの試作品です。
「あんたはずる賢い蛇よ。」と罵るビベカに、
「そりゃあないだろ。昔は君の大事なクマちゃん(テディベア)だった。」と答えるカール。
このシーン、テディベアをわざわざクマちゃんと和訳するより、そのままの方がニュアンスが伝わりやすい気がしますが…。
1970年代前半の日本では、テディベアはあまり知られていなかったのでしょうね。
カールがしわ取りクリームを盗んだ証拠がないからなのか、あるいは昔親密だった男だからでしょうか。
ビベカは警察に訴えるのをやめて、お金で解決することにしたようです。
カールの復讐
カールは、しわ取りクリームを作るのに必要な分子式は、自分の頭にのみ入っていると伝えます。
テレビ雑誌に、金額を書きつけてカールと交渉しようとするビベカ。
しかしカールはなかなか首をたてにふらず、暗にビベカとヨリを戻したい様子をほのめかします。
これはビベカにとって好都合。
自分に好意のある男を丸め込むなどたやすいと踏んだのか、急に上機嫌です。
「あんたの事は好きだったわ。ただ世間がうるさいから。」と、ベタベタカールに触るビベカ。
しかしカールはさらに、共同経営者にするようビベカに要求します。
仕方なくこの要求を受け入れたビベカ。
しかしカールは乱暴にビベカの後ろ首をつかみ、
「お断りするよ。僕はマーチソンみたいな甘ちゃんと違うんでね。」
と突き放すのです。
カールはその昔は、ビベカのために命を捧げるほど愛していましたが、結局捨てられて屈辱でいっぱいでした。
いつかベビカに復讐しようと、今日この日を待っていたようです。
衝動的殺人
カールに突き放されたビベカは思わずカッとなって、近くにあった顕微鏡で彼を殴ってしまいました。
倒れ込んだカールに声をかけるビベカ。
そのときに顕微鏡の割れたスライドのガラスで、ベビカは指を切ってしまいます。
カールが亡くなってしまったことに気がついたビベカは、顕微鏡等についた自分の指紋を慌てて拭き取ります。
そして赤い八角形の容器に入った奇跡のシワ取りクリームの試作品を持って、その場を後にするのでした。
年下男を翻弄したビベカの魅力
今回の殺人は明確な動機があったわけでなく、思わずカッとなってしまった衝動的なうっかり殺人でした。
痴情のもつれとも取れるかもしれません。
年下男にここまで復讐を思いつめさせるビベカの魅力は、かっこいいですよね。
この物語の中では、頻繁に年下男性に手を付け、あっさりと捨てる恋多き女として描かれています。
しかし本当に遊び慣れた女性というのは、最後は恨まれず上手に男と手を切るもの。
それができずに逆に人生を狂わされてしまったのは、わきが甘いというかビベカの傲慢さゆえですね。
ちなみにビベカを演じたヴェラ・マイルズは当時44歳で、カールを演じたマーティン・シーンは33歳でした。
物語の中で二人の年齢は明らかではありませんが、実年齢だと約11歳差のカップルですね。
マーティン・シーンはこの作品当時はさほど売れてなかったようですが、「地獄の黙示録」や「ザ・ホワイトハウス」で有名な役者です。
また息子も有名なチャーリー・シーンという役者で、いまやすっかりセレブな俳優一家です。
ちなみに現在マーティン・シーンは現在81歳、ヴェラ・マイルズは92歳だそうですよ。
鬼籍役者が多いコロンボ作品を伝える役者が、まだまだ健在なのは嬉しい限りですね。
ビベカのファッションチェック-2 ラメのスーツ
ビベカ二回目の衣装チェンジは、先ほどの白いドレスと打って変わって、黒のスーツ風スタイルです。
シックなデザインですがキラキラのラメがゴージャスで、セレブな雰囲気を演出。
殺害のシーンなので、黒い衣装にしたのでしょうかね。
物語開始約18分コロンボ登場
物語開始約18分で刑事コロンボの登場です。
明け方に呼び出されたのか眠そうで、朝食も取れなかったようですよ。
コロンボは朝食が取れないときは、どうもゆで卵を持ち歩いて食べるようです。
カールの家のポストで卵を割って、ついでにポストの中身も確認しています。
それからゴミ箱にたまごのむいた殻を捨てました。
運ばれてゆくカール・レッシングの遺体は見ようとしません。
コロンボは遺体を見るのが苦手ですからね。
コロンボの疑惑-1 安月給の研究員が贅沢旅行へ
カール・レッシングの遺体を発見したのは旅行会社の若い社員でした。
後にこの旅行会社のボスが訪れて、カールがファーストクラスを使って、フランスへ贅沢旅行に出かけようとしていたことが分かります。
しかし科学者でビューティー・マークの研究員であるカールは安月給で、通帳にも300ドル程度しか残っていません。
また給料が安いからか内職をしていのか、給料明細のほかに銀行通帳を持っていました。
旅行会社のボスによると、今朝カールは3,500ドルの小切手を持ってくる予定だったとのことです。
つまりお金のないはずのカールに、大金が入る当てがあったということですね。
コロンボの疑惑-2 雑誌に書きつけられたメモ
カール殺害の現場のテーブルに、メモの書きつけられた雑誌がありました。
ビベカとカールが、しわ取りクリームの金額交渉をしたときのメモです。
こんな大事なものをおきっぱにするとは、ビベカも脇が甘いですね。
だから男に復讐なんてされるんですよ。
コロンボはこのメモを見て、普通の鉛筆で書いたものではないと気がつきます。
コロンボの疑惑-3 凶器の顕微鏡と割れたガラス
カール殺害の凶器は血痕があったことから、顕微鏡だと分かりましたが指紋は出ませんでした。
死因は顕微鏡で殴られたことによる頭蓋骨骨折です。
コロンボは床に置かれた顕微鏡をよく見ようとしたところに、散らばったガラスの破片で手を切ってしまいます。
これは気をつけた方がいいよ。
どうもガラスのかけらが落ちているらしい。
コロンボの部下は、グラスが割れたと説明します。
コロンボの疑惑-4 小麦粉の缶に残る八角形の跡
コロンボはゆでたまごにかける塩を探して、キッチンへ入ります。
そこで四角い小麦粉の缶に、八角形の跡が残っているのを見つけます。
ビベカが持ち出したしわ取りクリームの容器の跡でした。
うちのカミさん-1 ビューティー・マークの化粧品を使っている
コロンボはゆでたまごを食べながら、壁にダーツの的としてかけられたビベカ・スコットの写真を見つけます。
美人だね。この人。
と部下に声をかけます。
ビベカを知らなかった部下にコロンボは、化粧品会社ビューティー・マークの女社長であることを説明します。
うちじゃね
風呂場に入るたんびにご対面なんだ。
いやいやホント。
所帯を持って以来ずっとさ。
カミさんの化粧品に全部ついている。
一回目のうちのカミさん登場です。
ビベカの写真がシンボルであるビューティー・マークの化粧品でそろえているコロンボのカミさんは、それなりにスキンケアに時間やお金が使えるということでしょうか。
結局シリーズには一度も登場しないコロンボの奥さんですが、どんな人か気になりますよね。
コロンボの疑惑-5 ダーツの的にされたビベカの写真
コロンボは、ダーツの的として貼られたビベカの写真をじっと見つめます。
ここじゃないですかね。
コロンボが最初にビベカを疑ったのは。
被害者カールが、ビベカの写真をダーツの的にしていたことから、二人にただならぬ因縁があったこと、コロンボは気がついたんじゃないでしょうか。
コロンボの調査開始
コロンボの疑惑-6 逆さまだったカールのファイル
ビベカ・スコットの会社ビューティー・マークを訪れた刑事コロンボ。
ビベカは、口紅のポスター撮影に立ち会っているところでした。
目聡くビベカを見つけたコロンボは
ひげをそるたんびにね
お会いしてます。
といつものごとく、愛嬌たっぷりに声をかけます。
コロンボはビベカに、カール・レッシングが殺害されたことを伝え、彼の研究室への入室許可を願い出ます。
実はカールやマーチンソン博士は、しわ取りクリーム開発の失敗により、本日クビになる予定でした。
新製品開発室は、プロジェクトのたびにメンバーを入れ替え、企業秘密を持ち出されないよう厳重に管理されているのです。
ビベカは、コロンボが捜査のため会社に自由に出入りできる許可を出すように手配します。
この行動にコロンボは感謝し
いやどうも。
当てにしてきたんです。
思ったとおりのお方だ。
打ち明けてお話しちゃいますがね。
お宅とは古いつきあいみたいな気がするんです。
いや~むしろ身内の一人かな?
懐かしくゆかしい方です。
とまあ、歯の浮くようなお世辞が止まらない止まらない。
恐らくこの時点でコロンボは高い確率で、ビベカが殺人容疑者の一人であるとにらんでいます。
ぞの前提でこんなことが言えるんだから、たいしたタマですよ。
コロンボがビベカをすでに疑っている証拠に、人事部長に会ってカールの身上調査のファイルを見せてもらったことを話します。
そしてそのカールのファイルだけが、逆さに突っ込んであり、誰かが最近見たことをほのめかすのです。
ビベカは、自分を含め何人かが機密書類が保管されている鍵を持っていたことを認めます。
コロンボの疑惑-7 カミさん-2 犯人は女性
研究室に入る許可をもらえたコロンボは、一度は「お邪魔しました。」と立ち去ってゆきました。
ビベカは受付のドーラという女性に電話をかけ、コロンボが研究室へ向かったことを伝えようとしますが…
ひょっこり戻ってきたコロンボがいつの間にかビベカの後ろに立っていて
これはお話しとく方がいいと思うんです。
犯人というと男を連想しがちですが、この場合は女でしてね。
と声をかけます。
コロンボは、カールの家に昨日発売された最新号のテレビ雑誌があって、その裏に数字やドルが書かれ、金額交渉した跡があることをビベカに伝えます。
その数字は、黒い眉墨のペンシルで書かれていました。
うちのカミさんが買い物リストを書く時いつも(眉墨ペンシル)を使うんです。
バッグの中かかき回しても出てくるのは眉墨のペンシルだけなんでね。
とまあ、コロンボは本当に仕事が早い。
ビベカが有力な容疑者だと確信しているコロンボは、彼女をゆさぶっているんですね。
ビベカは、黒い眉墨ペンシルは、ブルネットというダークな髪色の人が使うもので、赤毛の自分には必要ないものだと、その場をまぬがれます。
もう一つだけ-1 もう一分だけ-2
コロンボはビューティー・マークの研究室で、しわ取りクリームプロジェクトを処分中の従業員に聞き込みをしています。
殺されたカール・レッシングの女性関係を探るコロンボ。
従業員はカールは人づき合いが悪く、女性よりも仕事の野心に燃えているようなタイプであったと説明します。
あらゆるものを片づけてゆく従業員にコロンボは
もう一つだけ聞くんだがあんたこいつをどうするつもり?
と、定番セリフ「もう一つ」を使って尋ねます。
従業員は、新しい開発計画が失敗に終わったときは、商売敵に知られないために、書類や試作品は全て焼却処分にすると説明します。
秘密兵器でも作っているようだというコロンボ。
従業員は、アメリカ中の女が化けるために使う金は大変なものだって言うからね、と答えます。
すまないけどもう一分だけ。これ捨てちゃうの?
と、さらに食い下がるコロンボ。
目聡いコロンボは、奇跡のしわ取りクリームの赤い八角形の容器をすでに見つけだしてしまいました。
この容器に入っていた新開発のクリームが、今回の殺人に大きくからんでいることにもう気がついています。
コロンボは従業員に頼んで、この容器を手に入れるのでした。
もう一つ-3 マーチンソン博士の行方
ビベカがオフィスの自室に戻ろうとしたところ、聞き込みを終えたコロンボがやってきます。
研究室を見せてくれたお礼をビベカに伝えるコロンボは、
やれ、つけまつげはミンクの毛で作ってるやら
3階は男性専用香水を作ってるやら、
どうでもいい見学の感想を伝えます。
適当に流して自室に入ろうとしたビベカにコロンボは
そうそうもう一つお聞きしたかったのはね。
と、定番の無駄話からの~、核心をつくときのセリフ「もう一つ」を使います。
コロンボは、ビベカにカールの上司であったマーチンソン博士の行方を尋ねます。
マーチンソン博士の行方を聞きながらふと話題を変えて、壁に貼られたビベカの写真を指差して
毎日十年もこの写真見てますがおきれいですなぁ。
と言ったのはお得意の伏線です。
コロンボの疑惑-8 ビベカのほくろ
マーチンソン博士はバーにいるのではと言って、切り上げようとするビベカにコロンボは
ああスコットさん。
立ち入った質問なんですが…。
と切り出します。
コロンボはビベカの総ての写真にあるほくろが、目の前にいる彼女にはないと言います。
お酒と一緒で午前中はほくろをつけないと説明して、自室に引っ込もうとするビベカ。
しかしコロンボは、ほくろがないことを聞きたかったのではなく、どうやってつけているのかと、質問をかさねます。
引きつった表情を浮かべるビベカに
いやお忙しいのにつまらない質問をしました。
なに誰かに聞きますから。
というコロンボ。
観念したのかビベカは、黒いアイブロウペンシルでほくろを書いていると笑顔で答えます。
もうこれ、自白も同然ですよね。
いや~、今回のコロンボ、事件解決まで30分強しかかかりませんでした。
ホント、コロンボは優秀過ぎます。
が、まだお話は続くみたい。
ビベカの手の謎のかゆみ
コロンボが完全に帰ったのを確認したビベカは、奇跡のしわ取りクリームをバッグから取り出します。
少し左手につけてみるビベカ。
その後、大切に隠し金庫にクリームをしまいます。
そして声色を使ってライバルであるラングの会社に電話をかけます。
しかしお目当てのビベカのスパイである秘書シャーリー・ブラウンは、まだ出社していないということでした。
左手の指がかゆいのか、ビベカは右手でかくのでした。
ビベカのファッションチェック-3 ブルーのツーピース
このシーンのビベカの衣装は淡いブルーのツーピースに大きな水玉模様のシャツ。
この大きな水玉模様、まさに70年代ファッションできちんと感の中にポップな遊び心が垣間見えます。
野心の強いもう一人の女
ヘビースモーカーのシャーリー
ビベカは何度もスパイであるシャーリー・ブラウンに連絡をとろうと、ライバル企業デビッド・ラングに電話をかけます。
しかし有能過ぎる刑事コロンボは、すでにラングの会社にたどり着いていて、勝手に電話を取ります。
コロンボの声を聞いて、すでに先回りされていることをビベカは知ることになるのです。
そこへ一仕事終えた秘書のシャーリーがやってきました。
ヘビースモーカーであるシャーリーの灰皿にたまった吸い殻の多さは、煙草を吸うコロンボでさえ注意するほどでした。
若いきれいなお嬢さんがこんなふうにスパスパやっておられるのを見るとね
体に悪いんじゃないかって
コロンボが葉巻を置いていた灰皿の吸い殻を、シャーリーが捨てようとしました。
コロンボは引き留めて、葉巻を取り返します。
安い葉巻を大切に吸うコロンボと、スパスパ煙草を吸うシャーリーの対比が、面白いシーンです。
カールとラングのつながりの手がかり
コロンボは、シャーリーの机に置かれた新聞のカール・レッシングが殺害された記事について、彼女に話しかけます。
まだ新聞を読んでいないと答えるシャーリー。
続いてコロンボは、社長であるデビッド・ラングに同じく新聞のカール・レッシングの記事について、聞き込みをします。
ラングもまた、カール・レッシングについて、ビベカの会社ですれ違ったことぐらいはあるかもしれないが、知らない相手だとコロンボに説明するのです。
コロンボの疑惑-9 ラングの秘密の電話番号
コロンボはラングが二か月前に引いたばかりの秘密の電話について、電話会社に問い合わせたのだと言います。
その秘密の電話番号がメモされた紙が、カールの紙入れから出てきたのでした。
カールがなぜラングの秘密の電話番号を知っていたのかがコロンボの疑惑ですね。
突っ込まれてラングは、
「それならそうと最初からそうとはっきりと言うもんだ。」
と怒りを見せます。
コロンボは
いや間違いだったら申し訳ないんで。
電話会社だって間違う事もありますしね。
と、本当はカマをかけているのに、とぼけるのが上手い上手い。
仕方なくラングは再度新聞に目を落とし、カールについてよく確認するフリをします。
ラングの企業は業界最高のサラリーなので、就職希望の若い研究者が頻繁に訪ねてくると言って、ラングは暗にいちいち覚えてられないことをにおわせます。
そしてラングは秘書のシャーリーを呼び出します。
コロンボの疑惑-10 カールの大金の見込み
カールには、大金が入る当てがあったと、ラングに説明するコロンボ。
ラングはシャーリーに、新聞のカールの写真を見せます。
そして、ラングは話す暇がなかったけど、一度来たことのある青年に似ていないかとシャーリーに確認を取ります。
その青年はカール・レッシングという名前ではなく、「ジョンソンとかジェファーソンとか…」と言うラング。
カールが名乗ったのは、「ハリー・スミス」ですから、ラングがその名前にたどり着かれたくないということが分かるシーンです。
シャーリーは見覚えはないけれども、ファイルの必要もないと言われた人物かもしれないと答えます。
忙しいから細かいことまでいちいち覚えていられないと、空気を読んでコロンボを追い返そうとするシャーリーは、本当に有能ですよね。
コロンボの疑惑-11 カールの偽名
コロンボは、カールが偽名を使ったことに疑問を呈じます。
ラングは、ビベカは若いハンサムな青年に忠誠を求めるからだろうと説明します。
さらにコロンボは、カールが秘密の電話番号をどこで知ったのだろうと、疑惑を口にします。
ラングは、コロンボと同じく、ここで見たのだろうと説明するのです。
「参考にならんで気の毒だな。」とコロンボを慰めるラング。
がっかりですよ。
彼(カール)は確かに何かをたくらんでいた。
でも化粧品業界ってやつはどうも複雑でね。
極秘の開発計画が進んでいたりお互い新製品のスパイやったり。
全くとっから手をつけていいのやら。
というコロンボは、実はがっかりなんてしてませし、どこから手をつければいいかなんて思ってませんね。
もうコロンボが知りたいことは、だいたい分かったのではないでしょうか。
このセリフは暗に
カールがビベカの新商品をラングに売ろうとしていた、と言ってますからね。
ラングは
「それは君 企業の自由競争を基本とするアメリカの体制に対する挑戦だよ。
だが当社ではスパイの必要など更に認めないがね。」
とコロンボの言葉を否定します。
おとなしく立ち去るコロンボですが、だいたい知りたかったことは分かったのではないでしょうか。
コロンボは手がかゆいのかポリポリとかいてます。
ビベカと同じですね。
シャーリーの疑惑 カール殺害犯
シャーリーの気付き-1 ラングは殺人に関与していない
ビベカは、スパイでありラングの秘書であるシャーリーと、行きつけのブティックで落ち合います。
シャーリーは、ラングが、口止め料として自分を10ドル昇格させたと語ります。
ビベカが他に何か喋ったのかと聞くと、シャーリーは
「変な刑事に?」と答えます。
若いシャーリーのようなお嬢さんからしたら、コロンボは「変な刑事」以外の何者でもないんでしょうね。
このシャーリーの答え、じわじわ笑えます。
シャーリーはラング社長が、殺人などという極めて人間的な事件に関係するとは思えないと語ります。
殺人を、極めて人間的な事件と評するシャーリーって、独特の感性で解釈が難しい。
わたしの解釈としては、殺人が人間的ならば、ラングは人間的でないということになります。
人間的でないという評価は、例えば拝金主義者で合理的主義、サイコパスとか、とういったとらえ方でしょうか。
モノは盗んでも、人は殺さないのがシャーリーのラング像のようです。
一方でビベカは、ラングに売り込みに来たハリー・スミスがカールならば、金額の折り合いがつかず、けんかの上殺人に発展するケースもあると言います。
それは自分のことなんですね。
シャーリーの気付き-2 預金を戻したラング
シャーリーは、今朝カール殺害の事件を新聞で知ったラングが、失神しそうなほど驚いていたと、ビベカに語ります。
ラングはその後銀行に行き、ハリー・スミスに払うはずだった20万ドルの小切手を、元通りに預金しました。
ハリー・スミス、つまりカール・レッシングが亡くなったことを新聞で知ったため、払う必要がなくなったからですね。
シャーリーはこのことを、銀行にいる友人に聞いて知ったのでした。
広い人脈を持つシャーリーは、本当に優秀ですね。
シャーリーの気付き-3 カール殺人犯
シャーリーはブティックでお気に入りの洋服を見つけ、暗にビベカに買ってほしいと、おねだりします。
それに気がついたビベカは、帰ろうとします。
するとシャーリーは、ラングがカールを殺したのでなければ、
「誰が殺したのかしらね。」と、思わせぶりな口調でビベカをほのめかします。
有能過ぎるシャーリーは、すでにカールを殺したのがビベカだと確信しているわけですね。
そしてそれをネタに、ビベカをゆすろうとしているのです。
シャーリー、なかなかの野心の強さで、かっこいいです。
シャーリーの望みに気がついたビベカは、その話をするために、別荘近くの秘密の待ち合わせ場所で、3時に落ち合う約束をするのです。
希望に表情を輝かせるシャーリーでした。
第二の殺人計画
シャーリー殺害フラグ
ビベカは別荘に行き、煙草に何か仕掛けをしています。
これはヘビースモーカーである、シャーリーをねらったものですね。
シャーリー殺害フラグが立ってしまいました。
車のエンジン音がするので、ビベカが窓から覗くと、予想通りこの別荘を嗅ぎつけてコロンボがやってきましたよ。
うちのカミさん-3、4 太くなって
間もなくシャーリーと会う約束の3時なのに、コロンボに邪魔されないよう先手を打つべく、ビベカは自ら出迎えに行きます。
別荘というには規模が大きく、何かの施設のようなこの場所。
ビベカはコロンボに、肥満体専門のセンターであり、体の活力を高めたり全身美容ができる施設だと説明します。
なある
うちのカミさんが見たら飛び上がるでしょうな。
近頃だいぶ太くなって…。
と、三度目のうちのカミさん登場です。
ビベカがこのセンターは一日たった200ドルと説明し、コロンボに要件を訪ねるのですが
うちのカミさんにゃあ…。
ちょっと高すぎるようで。
と4度目のカミさんを口にして、ビベカに質問に全く答えやしない。
ビベカが、質問がないなら失礼すると、やんわり追い返そうとすると
ああお構いなく。
どんどんお仕事なすって下さい。
アタシは適当にくっついていきますから。
と、ビベカに付きまとう気まんまんです。
ラングを使ったほのめかし
まずはコロンボは、ビベカがラングと不仲なことを知りながら、
今日ラングって人に会ってきましたが、あなたのこと褒めてましたよ。
と、お得意のおべっかを言います。
そしてコロンボは、ラングはカールが何をたくらんで売ろうとしていたかを、もっと知っていそうだとほのめかします。
カールがビベカのしわ取りクリームを売ろうとしていたことが明らかになると、彼女に動機ができてしまいます。
コロンボはそれを分かってほのめかしていますから、ビベカは
「ラングはこの50年間真実を語った事のない人物ですわ。」
と、ラングが知っていそうなことを否定するしかありませんわな。
そうじゃないかと思ったんですよ。
あたなとはまるで違うんですなぁ。
とお得意の調子のよさで、ビベカに合わせるコロンボ。
さらにコロンボは、ビベカはマーチンソン博士やカールを首にしたことから、嫌いなものは嫌いというはっきりした性格であると称します。
コロンボのネチネチしつこい攻撃に、「お話はまたにしていただきます。」とビベカははっきりと何度もNOを突き付けてます。
門を開けてビベカが逃げ込もうとした場所を見て、コロンボは思わず目をそむけます。
はっきりと描写はされていないのですが、女性たちが半裸で日光浴をしているっぽい様子が一瞬見えました。
ビベカの女性ならではのしたたかさと、なんだかんだ言っても紳士のコロンボが一瞬で分かる良いシーンですね。
それでも食い下がるコロンボに、ビベカは、マーチンソン博士がこの別荘にいることを思い出し、そちらへ行くように仕向けるのです。
第二の殺人
ビベカが約束の3時に来ないことに、しびれを切らしたシャーリーは、別荘へと向かいます。
同じくシャーリーの元へ向かっているベビカと、無事会うことができました。
別荘の近くで一緒にいるところを見られたら変に思われると、ビベカを脅かすシャーリー。
ビベカはわざとシャーリーのバッグを落として、中身をばらまきます。
そして拾うふりをして、こっそり折りたたんだ紙を入れ、煙草を抜き去ります。
人気のない海辺で、シャーリーはビベカに「あんたみたいになりたい。」とその望みを語ります。
シャーリーがベビカのスパイをしていたのは、彼女に憧れていたからでしょうか。
その憧れをベビカは利用していたのかもしれません。
ビベカがシャーリーを、自分の会社にむかえるつもりだと言うと
「重役クラスにしてくれる?」
と、シャーリーはなかなかのしたたか者ですね。
ここで重役クラスになれないと、将来が望めないというシャーリー。
シャーリーぐらい優秀だったら、自分の力だけで成りあがれそうだとわたしは思うんですがね。
バッグで煙草を探すシャーリーに、ビベカは自分が用意していた煙草を差し出します。
何の疑いもなく、その煙草を吸うシャーリー。
ベビカは、シャーリーをヨーロッパに行かせ、その間に自分の隣の部屋にオフィスを用意しておくと約束します。
真っ赤な瞳をしてビベカに抱き着き感謝のキスをするシャーリー。
目が真っ赤なのは演出なのか、潮風にやられたのか、煙草のせいか、涙ぐんで喜んでいるのか、よく分かりません。
シャーリーは自分の車に乗って、その場を後にします。
ビベカの出世を約束されてニッコニコのシャーリーですが、おそらく煙草に睡眠薬が入っていたのか、気を失って事故死してしまいます。
シャーリーは有能だし、ベビカにとってもよい相棒になりそうでしたが、残念ですね。
好きなキャラでした。
ですが有能な女性の方が自分の地位を脅かすかもしれないので、ビベカにとっては正しい選択なのかもしれません。
すでに女性は世界を征服していた
コロンボは全身マッサージを受けているマーチンソン博士と面会を果たします。
マーチンソン博士は、うつぶせになりながら大柄な女性に無理やりマッサージされて痛いようで
「助けて~。どなたか知らぬがわしを開放して下され。」
「男性のために戦え!」
「(マッサージ)をやらせちゃいかん!」
と、コロンボに助けを求めています。
マーチンソン博士が
「立て!立って戦え!
女は世界制覇を目指しとる~。」
と叫ぶと、マッサージをしているスェーデンという女性が
「今さら何言うの?
もう征服済みよ。」
と言うセリフは、なかなかしゃれていますしかっこいいです。
フェミニストである上野千鶴子や田嶋陽子に聞かせてやりたいなぁ。
女性がゲストスターであるこの作品「毒のある花」にぴったりのセリフですね。
マーチンソン博士の愛
コロンボの登場により、やっと地獄のマッサージから解放されたマーチンソン博士。
マーチンソン博士は飲みすぎのようです。
マーチンソン博士はビベカからコロンボのことを聞いていました。
クビになったのでは?とマーチンソン博士に聞くコロンボ。
マーチンソン博士によると、ビベカは博士の愛と良き理解者として信頼を置いているそうです。
ビベカを美の女神だと、絶対的な忠誠心を見せるマーチンソン博士に、コロンボは黙ってうなづくだけなのでした。
コロンボの疑惑-12 カールが盗まれたもの
ビベカの帰りを別荘で待ち受けていたコロンボ。
コロンボはビベカに、カールが殺された晩、盗まれたものについて話をしようとします。
安月給だったカールが、ヨーロッパへの大名旅行を計画していたのは、大金が入る当てがあったのだと、コロンボは言います。
ビベカは、痛いところを突かれたからか、コロンボの相手をするのが面倒になったからか、皆を待たせていると言って、刑事を拒むのです。
コロンボの疑惑-13 ビベカとカールの関係
それでもコロンボは、さらにベビカに付きまといます。
たまらずベビカは
「あなたみたいな方を執念深いっていうんでしょうね。」
と嫌悪感をあらわにします。
ええ、そうですよ。
コロンボは殺人犯を逮捕するためなら、並々ならぬ執念深さを見せますよ。
自分がカールの死に関係しているからつけ回すのかと、とうとう疑われていることを認めたビベカ。
コロンボは、カールがビベカの写真を戸棚に貼って、投げ矢の的にしていたことを伝えます。
カールがビベカを恨んでいたことにコロンボがとっくに気がついていることを、突き付けましたね。
動揺するビベカに
いやご心配なく。
何て事はないです。
サラリーマンなら誰でもやる事でしょう。
と言ってコロンボは、昔気の合わない主任にそっくりな友人の喉を締めあげた覚えがあると、殺人を連想させるようなことを言うんですね。
いや~、本当にコロンボは性格が悪いし、質(タチ)が悪いし、やらしいですよね~。
やらしい、やらしい、ああ、こんな男いやだわ。
でもわたしは、このやらしさも含めてコロンボになりたい。
当然ベビカは、「つまらない冗談だこと!」と言って怒ります。
そして再びコロンボから立ち去ろうとして、指がかゆいのか、書いてますね。
それをコロンボはじっと見ています。
コロンボの疑惑-14 犯人がカールの家に入れた理由
さらにさらにコロンボは、ビベカを追いかけて付きまといます。
ここまでしつこいコロンボって今までありましたかね。
コロンボは、ビベカがカールの家に行ったことがないかと尋ねます。
もちろんベビカは否定します。
コロンボは、殺人犯がカールの家に侵入した方法が分からないと言います。
ですから、カールの家の鍵のありかを知っている女友達でもいたんじゃないかと、ビベカに言うのです。
コロンボの疑惑-15 カールは秘密の試作品を持っていた
コロンボは、カールの家に侵入した女の子は、ビベカの試作品が入った赤い八角形の容器を盗んでいったのだと、ビベカに伝えます。
もう女の子と言い切っているところで、ビベカに、お前が犯人だと言ってるも同然ですね。
そしてカールは、マーチンソン博士も知らない試作品を持っていたのではないかと、ビベカに言います。
ほぼ、コロンボの捜査は終わったも同然なんですよね。
アタシはあちこちで聞いたデマの決着をつけたいんだ。
これが最後の質問です。
と言って、コロンボはビベカとカールの関係について確かめます。
ビベカとカールが付き合っていたのは、うわさにも上がっていたようで、彼女はもう認めるしかありませんね。
ビベカは2年前にカールと付き合っていたけど、その後、何十人と相手は変わっていると説明します。
若い男の子が好きだというビベカは、コロンボに
「あなたの古めかしい倫理観に反するとしても仕方ないでしょ。」
と言い放ちます。
コロンボはそういうことを聞いてるんじゃなくて、ビベカとカールに深い付き合いがあったかが知りたいだけなんですが、余計な事言っちゃってますね。
コロンボの疑惑-16 指のかぶれ
コロンボが知りたかった、ビベカとカールの仲は分かったし、さすがにコロンボストーカー、これで立ち去るのかと思ったら…。
いつものごとく、数歩歩いていってからの~、振り返ってからの~、指さしてからの~
ああそうそう。
毒ヅタの葉っぱのかぶれ見たことないでしょう。
ひどいんですよ。
と、再びビベカの元に戻ってきました。
ビベカもさすがに疲れたのか、怒る気力も突き放す気力もないようで、ただただうんざりしています。
ビベカ可哀相…。
でも殺人犯だから、仕方がありません。
うちのカミさん-5 コロンボのおい
コロンボは、かぶれた指をビベカに見せながら、かゆいと言って嘆きます。
アタシのおいで大学病院の皮膚科にいるやつの説じゃ毒ヅタにかぶれたんだろうっていうんですがね。
コロンボは、家族の話をよくすると言うことで、ここではおいの話も、うちのカミさんとして数えています。
しかしコロンボの本部にカイスターというドイツ系の刑事がいるそうで、彼がいうには、この当たりは湿気が少ないので毒ヅタはないのですって。
まだコロンボの話が長々と続きそうなので、ビベカは
「何だってそうしつこく付きまとうんです?
我慢にも限界がありますわ。」
と、突き放します。
おとなしく引き上げるコロンボ。
そしてビベカは、自分の指のかゆみもまた、毒ヅタによるものかもしれないと、手を見つめるのです。
ビベカのファッションチェック-4 白いジャージスタイル
ビベカの保養施設をかねた別荘でのスタイルは、リラックスできそうな柔らかなジャージスタイルですね。
えりがあり腰をリボンで結ぶタイプになっていて、ただのジャージでなく洗練された大人可愛い運動着です。
コロンボの追い込み
コロンボの疑惑-17 シャーリーの死
翌朝、ビベカが出社すると、オフィスにまんまと入り込んだコロンボの姿がありました。
コロンボの後ろ姿は、ボサボサの髪と、まあるいフォルム、ヨレヨレレインコートで、一目瞭然で、ヤツだと分かりますね。
コロンボは、ビベカに昨日の失礼のお詫びに来たのだと用件を伝えます。
嘘ばっかり。
コロンボは昨日はいいところまでビベカを追い詰めたぞと内心ほくそ笑んでるに決まってます。
そしてコロンボは、自動車事故で亡くなったシャーリー・ブレインの新聞記事をビベカに見せます。
ビベカは、シャーリーとは一度会ったぐらいだと説明します。
コロンボはシャーリーの死に不審な点があるので、協力を願いに来たのだとビベカに言うのです。
シャーリーの事故の理由は立証は難しいのですが、麻薬や毒を盛られた可能性もあると言うコロンボ。
そして化粧品を作るときも、ベラドンナやトリカブトなどの毒を使うケースを、聞きかじったとコロンボは、言います。
コロンボの疑惑-18 ラングのハリー・スミスの小切手
コロンボは、亡くなったシャーリーのバッグに、ラングが切ったハリー・スミス宛の小切手の写しがあったとビベカに伝えます。
ビベカがシャーリーのバッグに忍び込ませた紙が、この小切手の写しですね。
つまりビベカは、シャーリーとカールの殺害をラングの仕業に見せかけようとしているのですね。
コロンボはカール殺害当日に、ラングはこの小切手を引き出し、翌日銀行に戻していると説明します。
ビベカは、ラングはあくどいやり口を重ねてきているし、以前は化学の専門家だったから、薬にもくわしいと、暗にラング犯人説の可能性をほのめかします。
ビベカの思惑通り、コロンボは
へえ。
(ラングは)化学をやってたんで?
そいつは参考になりますな。
どうも。
これはいい線だ。
どうも助かりましたよ。
と、ラング犯人説を信じたふりをして、立ち去って行くのかな…?
うちのカミさん-6 おいっこが検査
コロンボは再びラングに当たることにしたのか、退散して、ドアがバタンと閉まる音がします。
ビベカがほっとしたのもつかの間、ドアから出ていったはずのコロンボが
そうそうこいつを忘れてましたよ。
と、再びせまってくるのです。
思わず表情を引きつらせるビベカ。
こうなってくると、コロンボは殺しても殺しても蘇ってくるゾンビみたいですね。
ゾンビストーカーコロンボ。
もはやビベカが犯人だと確信して、ちょっとおちょくって楽しんでいるのではないかしら。
コロンボは指のかぶれをビベカに見せて
ひどいもんでしょ。
かゆいのは止まったんですがね。
原因やっぱり毒ヅタでしたよ。
おいっ子が検査してくれたんです。
と、家族の話をしたので、うちのカミさんとして数えます。
コロンボの疑惑-19 指がかぶれた場所
コロンボは、指がかぶれた場所が問題であり、それはカールの家だとビベカに伝えます。
そしてカール殺害時の現場写真を、ビベカに見せます。
いやなのはどけといて。
と、残酷な写真は見ないようにして、コロンボが示したのは、ラテン語で書かれた専門用語です。
この専門用語は、毒ヅタの成分を抽出したウルシオールでした。
つまりカールは、時々医学研究所の内職をしていて、毒ヅタについて調べていたようなのです。
ネタバレボックスに記載したビベカがカールを殺害するシーンで、黒板に書かれていたのがこの毒ヅタの専門用語ですね。
つまりカールの家のどこかに、毒ヅタがあった可能性が高く、コロンボは徹底的に捜査させているところなのでした。
それからコロンボは用があるらしく、帰るそぶりをします。
ビベカの手袋で隠したかぶれた手を意味ありげにしっかり握手して、お礼を伝え、今度こそ本当に退散するのでした。
遺されたビベカは自分の指のかぶれが、奇跡のしわ取りクリームに触ったときのものだと思い込みます。
そのことを調査するべく、金庫からクリームの容器を取り出して、慌てて別荘に向かうのでした。
マーチンソン博士の忠誠
ビベカは別荘で休養中のマーチンソン博士に、奇跡のしわ取りクリームの分析を頼みます。
どうしても知りたいことができたというビベカに
「もちろん愛してるよ。」
と答えるマーチンソン博士。
かわいいおじいちゃんですよね。
分析するクリームは、「アルコール分86%かな。」と聞くマーチンソン博士のお酒好きが発揮されるセリフですね。
誰にも言わないでと口止めするビベカに
「言ったことあるかね。」と答えるマーチンソン博士。
素晴らしいビベカのパートナーですが、彼女は若い男の子をとっかえひっかえする方が好きなんですよね。
愚かですね。
奇跡が今、幻へ
ビベカは実験室で、奇跡のシワとりクリームの試作品を、試験管に取り出そうとします。
しかしそのとき車のクラクションが鳴り、警察が訪れたことをビベカは知るのです。
試作品が警察に見つかると、カール殺しがばれてしまうと恐れたビベカは、必死に隠し場所を探します。
追い詰められたビベカは、とうとう奇跡のしわ取りクリームを窓から海へと投げ捨てて、証拠を隠滅させました。
間もなく警察官たちがやってきて、家宅捜査に入ります。
奇跡のしわ取りクリームを失って、イライラしているのかビベカはケンカ腰。
「赤い八角形の容器を見つけたら金一封がもらえるという訳なの?」
と警察に噛みつくビベカは余計なこと言っちゃってますね。
警官に「落ち着いてください。」とたしなめられるほどです。
毒ヅタのありか
そこへ大きなバッグを持ったコロンボがやってきます。
やっかいな事件でした。
とコロンボが過去形で言ったということは、彼の中では解決したのでしょうか。
部下の刑事にコロンボは毒ヅタが見つかったことを伝えます。
毒ヅタはカールの家のファイルだなの引き出しの底にあり、鍵がかかっていたそうです。
その見つけた毒ヅタの入った袋をコロンボはバッグから取り出します。
ビベカに
まだ毒ヅタにこだわっているんですよ。
あんたも気になるでしょ。
とほのめかすコロンボ。
否定するビベカに、コロンボは
でもこの2~3日手袋をはめてその上からポリポリやってましたよ。
と、彼女が毒ヅタでかぶれたことを指摘します。
コロンボのトラップ
ビベカが自分が毒ヅタにかぶれたかどうかも分からないと言うとコロンボは
医者に見せれば分かります。
と答えます。
さらにビベカが、仮に毒ヅタでかぶれていたとしても、カール殺しとは関係ないと言い張ります。
「その瓶には触ってないんですから。」
と、ビベカがコロンボが持ち出した毒ヅタの入っている袋を指して言います。
あなたを殺人容疑で逮捕します。
と、コロンボはいよいよビベカに王手をかけました。
そして人払いをして、ビベカと二人きりになるのです。
うちのカミさん-7 おいのジョージ
コロンボはかばんの中から凶器となった顕微鏡を取り出します。
そしてこの顕微鏡を見たときから、何か足りないと不安な気持ちがしていたとビベカに説明します。
実はジョージがね。
これはカミさんのきょうだいなんだがメキシコから帰ったんです。
帰る早々にね旅行の写真を見ろって言うんです。
と、最後のカミさん登場です。
ジョージは旅行のスライドをコロンボに渡し、
「我が生涯の最高のスライドだ。」
と言ったのだとか。
それですよ。
スライド。
それで分かった。
コロンボは顕微鏡にスライドがついてなかったことに、違和感を覚えていたのでした。
ビベカがカールを顕微鏡で殴ったとき、スライドガラスが割れて散らばってしまいました。
そのスライドガラスには、毒ヅタの成分が付着しており、ビベカはうっかり触って指を切っています。
コロンボもまた床にかがんだとき割れたスライドガラスに触り、付着した毒ヅタで指がかぶれてしまったのでした。
ビベカのかぶれは、奇跡のしわ取りクリーム試作品のせいではありませんでした。
がっくりと肩を落とすビベカ。
しかし覚悟を決めて
「お見事ですわ。コロンボさん。」
と敗北を認めます。
そしてビベカは自らコロンボの部下たちを呼んで、いさぎよく逮捕されてゆくのでした。
「ああ、ジョージさんとかにおっしゃってくださらない。
『最高のスライドでしょ』って。」
という言葉を残して…。
ビベカのファッションチェック-5 ベージュのレザージャケット
ラストシーンのビベカのファッションは、コロンボと色をそろえたのか、ベージュで統一したスタイルです。
レザーっぽい生地が高級感とカジュアル感をあわせもつ働く女性のスタイルにぴったりですね。
コロンボの王手
今回のコロンボの王手はちょっと分かりにくかったですね。
顕微鏡のスライドガラスに付着した毒ヅタで、コロンボもビベカもかぶれたというのが決定的証拠です。
ですがいくらでも言い逃れできそうな証拠でした。
ビベカがラスト近くに、コロンボの用意した袋に入った毒ヅタを試作品の瓶と勘違いしたのも、自白になるんでしょうかね。
勝手にビベカは、赤い六角形の瓶の中に毒ヅタの入ったクリームが入っていると勘違いしました。
瓶に毒ヅタクリームが入っていることを知っているのは盗んだ犯人だけということでしょうか。
今作品は、早い段階でコロンボが犯人に当たりをつけることができました。
そのためか、しつこく犯人に付きまとう時間が長くなってしまい、コロンボのいやらしさが際立つ作品になってしまいましたね。
同じく早い段階で犯人が分かった作品には、わたしも一押しの「指輪の爪あと」があります。
でもこちらの作品は、コミカルな要素が多く、逆にコロンボのしつこさが笑えました。
衝動的殺人ということもあり、ミステリ作品としては今一つですが、代わりにマーチンソン博士やスパイのシャーリーの野心など、脇役が際立つ物語が楽しめました。
この作品の脇役は、皆個性豊かでキャラが立っていて好きです。
うちのカミさんというセリフは、7回登場しました。
そのうち2回は医者のおい、1回はカミさんの甥のジョージの話題でした。
ですから正確には6回でしょうかね。
もう一つだけは、これだけしつこいコロンボだったのに、意外なことに一度しか登場しませんでした。
ではまた、刑事コロンボでお会いしましょう。
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