「キチガイ女の映画やぁー。」
とは亡き父の感想でした。
欲望という名の電車
1951年 アメリカ映画
監督 エリア・カザン
原作 テネシー・ウィリアムズ
出演 ヴィヴィアン・リー(アカデミー主演女優賞)
マーロン・ブランド
キム・ハンター(アカデミー助演女優賞)
カール・マルデン(アカデミー助演男優賞)
父にとって
「欲望という名の電車」という映画は
一言で言うと
キチガイ女の話らしい。
この一言のせいで
わたしはこの映画を
観る前に父の一言によって
ネタバレされてしまいました…。
この作品、有名な舞台作品なんで
日本でもよく舞台化されてるよね。
「オールアバウトマイマザー」
って映画の中で使われてて
一度観てみたかったんだぁ。
オールアバウトマイマザーも
とっても面白い映画です。
泣けます。
さて、話を
「欲望という名の電車」に戻そう。
まずはあらすじ
舞台はアメリカニューオリンズ。
本当に
欲望っていう名の電車が
あるんだね。
その
欲望という名の電車を
乗り継いで
ヴィヴィアン・リー演じる主人公が
妹の嫁ぎ先を訪ねる。
白黒映画なんで
イマイチ設定が分からない。
どうも
妹の嫁ぎ先は
猥雑な下町という設定みたい。
白黒だとあんまり猥雑さが
伝わってこなかったわ。
だってアメリカの家って
貧乏設定でも
日本のフツーの家より
豪華だったりするやん。
「8マイル」という映画みたいに
家がなくて
バスに住んでるぐらいの設定でないと
貧乏設定が伝わってこないわ。
ヴィヴィアン演じるブランチは
スマートで美人で上品な奥様って感じ。
ちなみにヴィヴィアン・リーって
大地真央に似てるよね。
ブランチは
妹ステラの住む下町に
やってきたものの
その猥雑さに顔をしかめる。
妹の夫は
マーロン・ブランド演じるスタンリー。
男前だねぇ。
端整な顔立ちなのに
役柄は粗野で乱暴者って
キャラだった。
いちようこの姉妹は
没落した名家出身らしい。
妹は自分を連れ去ってくれるような
スタンリーの
野生的な魅力に惹かれたらしい。
よくある優等生な女の子が
不良に惹かれるってヤツ?
しかし
いつまでもお嬢様気取りの姉と
野蛮なスタンリーが合うはずもない。
いつも妹は
間に入って苦しむことになる。
妹が気の毒で気の毒で
仕方なかったわ。
姉は居候なんだからもっと
妹と妹婿に気をつかえよって感じ。
すげーわがまま。
婿も婿で荒くれ者過ぎるんだけどね。
姉が妹を頼ってきたのは
どうやら財産を
使い果たしたかららしい。
我が父のように
「キチガイ」とまでは言わないけど
姉はちょっとヘンなんだよね。
一方的に喋って
人の話を聞かなかったり。
やたら神経質で
お風呂に何度も入ったり。
自分の年齢を気にして
ひた隠しにしたり。
そして男を見ると
なんだか色めきたつ。
このブランチの年齢なんだけど
正確には明らかにされてない。
とりあえず30歳は過ぎてるって設定で
妹は気を使って2
5歳ぐらいに扱ってあげてた。
本当に心優しい妹だったよ。
この映画一番のソンな役。
姉の年齢だけど
痩せて目がくぼんだ感じから
わたしはアラフォーなんじゃない?
って思った。
外国人って日本人より老けてるから
つかめないけど
アラフォーぐらいの貫禄があった。
アメリカで
当時のアラフォー女性の扱いが
どんなだか分からないけど
日本と同じで年取った女性は
魅力がないみたいな表現だった。
それがブランチが年齢を気にして
ひた隠しにしてる理由だったみたい。
年齢をひた隠しにしながらも
ブランチは何とか
新しい男性ミッチを見つけ
彼との幸せに望みをかける。
だが
ブランチには悲しくも
おぞましい秘密があった・・・?
ここからはネタバレ。
ブランチは
夫を自殺で失くした
悲しい未亡人だった。
そこまではいい。
夫を亡くしてからのブランチは
さみしさのあまり
行きずりの男に
身をゆだねるようになった。
淫乱と地元では
有名になっちゃったんだね。
タイトル通り欲望に身をまかせる。
欲望という名の電車に乗って
どこまでも堕ちていくわけです。
教師であるブランチは
とうとう教え子にまで
ちょっかいを出して
街にいられなくなって
妹のもとへ逃げてくると。
最終的にはそれがばれて
スタンリーやミッチに
ののしられ笑われ
責められるというわけです。
しかもミッチ。
あれほど大切に
ブランチのことを扱ってたくせに
淫乱と分かるやいなや
扱いも乱暴になる。
男が本当に好きな人とは
時間をかけるけど
どうでもいい女は
簡単にやれるってのが
露骨に描かれている。
ミッチも本来は
いい人なんだけどね。
いい人ほど
裏切られると怖いんですなっ。
ブランチが気の毒すぎたわ。
だって夫を自殺で亡くしたんだよ。
おかしくなって
さびしさから逃れるために
そこらへんの男と
寝るようになったからって
誰が彼女を責められる。
無理もないことだよ。
わたしはそう思ったね。
ミッチは最後には
「汚れた女を家にあげられない。」
とか言うんだよ。
ひどいよね。
言葉の暴力ハンパないわ。
言ってはいけないことが
あるざんしょ。
いくら毒舌ころんでも
そこまで相手を
罵ったことはないわ。
これが殿方による
淫乱アラフォー女の扱いか。
汚れてるってどういうのをいうの。
やりまくったら女は汚れていくのか。
わたしは確かに
お金に困ってもないのに
体でお金を稼ぐような女性を
汚れてるとは思う。
でもさみしさから
淫乱になってしまった人を
汚れてるなんて思わないよ。
強姦されても女は
汚れるのですか。
男はやりまくっても
汚れることはないのですか。
汚れてるという
目に見えない概念を
誰か分かるように
ころんに説明しておくれよ。
そしてミッチに捨てらた上に
ひどい暴言を浴びせられたブランチは
妄想の世界に逃げ込むようになる。
よくある
プライドの高い人間がふられると
ふったことにしてしまうというヤツね。
バブル姫なんて
まさにそう。
そしてブランチは
独り言つ。
「ミッチとわたしとは
しょせん育ちが違うからあわない。
豚に真珠を与えるところだった。
わたしにはすばらしい教養がある。
教養のある女は男を豊かにする。
肉体的美しさは一時のものだけど
心の美しさや豊かさは年々増すの。
わたしにはそれがある。」
ころんが結婚相談所で
マリッジカウンセラーをしていた頃、
似たようなことを言われたことがある。
35歳ぐらいの女性だったかな。
わたしは年々いい女になってるし
20代の頃より
今の自分が好きだし魅力的だと思う。
なのに男は若い女を選ぶ。
こんなことを言われても
わたしにはどうすることも
できませんでしたよ。
実際男が若いほうにいくのは
事実なわけだし。
「そんな男性ばかりじゃないですよ。」
とは言ったものの
同じ条件の女性がいれば
男は若い方を選ぶだろう。
女が金持ちを選ぶように。
というより
ロリコンは日本の文化です。
源氏物語を読んで
そう思った。
この映画の主人公ブランチは
男にすがって
生きていくしかないくせに
プライドだけは高く
劣化した自分を認めたくない
アラフォー女の
なれの果てなんですなぁ。
女とは
哀しい生き物でござんすなぁ。
欲望という名の電車に乗って
ブランチが
たどり着いた最後の場所とは?
後は映画でね。
もうほぼネタバレしちゃったけどね。
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