正社員がウツになって逃げ出し、パートが介護のため逃げ出すような、ブラックな企業に投げ込まれたプチ初老ころん。
派遣なのに、正社員とパートが二人でしていた膨大な仕事を抱え込まされることになる。
だーれもわたしを助けてくれない…。
と、わたしに頼れる人がいなかったかというと、当初はおりませんでした。
直属の男性の係長がいたのですが、事務的なことは何も分からない人だよ、とウツ子さんに言われていたのです。
事務的なことができない上司はすでに乞食部長で経験済み。
いくら事務的なことが分からなくても、さすがに乞食は越えないだろうと当時は思っていたが、上には上がいる。
この係長は、どうやったら人間こんなに性格が悪くなるんだろうというぐらい、性格が悪かった。
なので、性悪係長と名付けよう。
似顔絵描いたよ。
これは下書きで、アイキャッチに使っているのが清書。
性格悪そうな雰囲気がよく出てるね。
年はわたしと同じ年齢で既婚者。
つまりロスジェネ世代ということになるね。
そしてわたしの大嫌いな高卒でA型の男性だった。
わたしがコイツ嫌いと思った男性は、だいたいA型。だいたい高卒。
わたしの前職のアール企業乞食部長も性格は悪かった。
しかし乞食は性格が悪いこともあるが、さらに救いようのないぐらい頭が悪かった。
ちなみにバブル姫も性格が悪いというより頭が悪い。
性格が悪くても、頭がよければ上手に性格が悪いことを隠したり、自分の闇をコントロールすることができる。
しかし頭が悪いと、本性むきだしになってしまって、負の面が隠せずに、より一層性格が悪く見えちゃうんだよね。
よって乞食やバブル姫は性格が悪いから嫌われているように思われるが、実のところ、絶望的に頭が悪いのである。
乞食やバブル姫と違って、この性悪係長は嫌われている一面もあるが、一部の上からの受けはよかった。
こういうのを、下いびりの上へつらいって言うんだってさ。
下の者につらくあたる者ほど権威に弱く、自分より上の者に対しては媚びたり、機嫌をとったりするものだという意味でーす。
同義語 下を切り捨て上見て過ごす。
まさに一番タチが悪いタイプなのです。
最初にこの性悪係長に不信な気持ちを持ったのは、入社して二日目のことである。
ウツさんより、「メールアドレスの設定をしてください。」というメモと、設定の方法が書かれたマニュアルが残されていた。
そこでメールアドレスの設定をしようとしたが、自分のアドレスが分からない。
で、隣の席の性悪係長に聞いてみる。
すると自由に自分で考えて設定していいとのことであった。
こんな大きな会社で、メールアドレスを自由に考えていいなんて、何だかヘンだなとわたしは思った。
しかし係長が言うのだからと、メールアドレスの設定を始める。
しかし方法がよく分からず、社内のヘルプデスクのホームページを探す。
するとそのホームページに、自分のメールアドレスの確認方法が記載されていた!
やっぱりメールアドレスあるやん!
ちゃんと支給されてるやん!
自分で自由に設定するなんて嘘っぱちやん!
性悪係長に文句の一つでも言ってやりたいところだが、まだ勤務二日目なのでぐっと耐えて、黙って自分のアドレスを調べて設定した。
そして入社二日目にして性悪係長にこのような印象を持つ。
何て頼りにならない係長だ!
何て無責任な係長だ!
何ていいがけんな係長だ!
何て常識のない係長だ!
なんて仕事を分かっていない係長だ!
そしてしばらく後、さらにわたしの不信な気持ちをあおる出来事がある。
わたしがこのP企業でするメインの仕事は、専門的な資格を活かして、ある資料を作ることである。
大量に作成はするが、何パターンかあるだけなので、ある程度数をこなせばできるようになる。
つまりルーチンワークであり、それほど難しい仕事でもない。
だから別に専門的な資格なくても作れるんやけどね。
実際その書類を作っていたパートさんは資格はなかったし。
大量の資料を作るから、大量に廃棄される資料もあるわけである。
そしてそれは機密資料ということで、しばらく倉庫にしまっておいて、ある程度たまったら、専門の廃棄業者が処分しにくる。
その倉庫のある場所もわたしは聞いていた。
しかし後から後悔するのだが、やはり自分でその場所をきちんと見に行くか、誰かに案内を頼むべきだったのである。
というのはある日、性悪係長に、そろそろ倉庫がいっぱいだから、廃棄業者を呼んでくれと頼まれたのである。
で、呼んだ翌日に来てくれることになった。
そしてその日、廃棄業者が来てくれたのだが、性悪係長は留守であった。
当然わたしが対応することになったのだが、聞いていた倉庫の場所に行ってみると…。
何と倉庫が三つもあった!
どの倉庫か分からない…。
どうちよう…。
で、倉庫の鍵がどこにあるかも知らない。
しょうがないから当然、性悪係長に電話する。
電話に出てくれて、事情を説明して、鍵の在りかを聞く。
そしたら性悪係長の引きだしに多分入っているってことだった。
で、続いてわたしは倉庫がどれか分からない話もしたかったのに、めっちゃ冷たい声で
「もう電話、切っていい?」
って言われたわ。
わたしが、そんな言い方ある?と思って
「えっ?」
と聞き返したときには、もう切られてた。
えぇ~っっ!!!
突然したこともない仕事をさせられて、わたし今、かなりパニック状態なんですけどー。
しかも機密資料廃棄業者も待たせている状態なんですけどー。
あんたしか頼れる人もいないんですけどー。
新人にたいして、あまりに冷たくないですか?
しかし、そういう言い方されたら、派遣社員の立場としては、もうこの性悪おじさんには頼れないわな。
で、性悪係長の引きだしを探すものの、鍵がいっぱいあって、どれがどれだか…。
廃棄業者さんには待ってもらってるし…。
わたしは待たされるのが嫌いな代わりに、相手を待たせるのも嫌い。
その業者さんも
「いつも女の人(ウツ子さんのこと)がしてくださってますが、あの方は?」と催促してくるし…。
あの女の人がいなくなったから、わたしなんですけどー。
結局、倉庫とカギの管理といういたって簡単な仕事ですが、ウツ子さんしか知っている人がいなかったみたい。
まだP企業に入社して一週間も経っていないのに、誰も助けてくれず、一人途方にくれる哀れな派遣社員なのであった。
今思えば、ウツ子さんに電話して聞けばよかったんだね。
そこまで知恵はまわらなかった。
明日へ続けよ