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ときめきトゥナイト展(京都高島屋) 蘭世編 原画とカラーイラストの紹介と解説

漫画

京都高島屋のときめきトゥナイト展は、10月30日で閉幕してしまいました…。

次回は12月22日から富山大和で開催されます。

ときめきトゥナイト展観賞以来、再び胸に少女の頃のときめきと夢やロマン、憧れと情熱が沸き上がってきた初老ころん。

ころんのときめきトゥナイトは終わることはありません。

この伝説の少女漫画の主人公、江藤蘭世は非常に感情豊かなため、共感しやすく応援したくなるヒロインです。

ときめきトゥナイト展の原画を紹介しながら、蘭世になりきって、物語のときめきを追体験しようではありませんか。

 

1stDoor Memoriies of Ranzze 1982-1987

1982年少女雑誌りぼん7月号より幕を開けた「ときめきトゥナイト」。

長い黒髪が印象的なキュートな魔界人江藤蘭世は、人間界の中学校に通い始めます。
そして蘭世は、転校初日に隣の席の真壁俊にひとめぼれ。

ここから蘭世のありそうでなさそうな日常、ときめき☆学園ラブコメディーとして物語は展開してゆきます。

 

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魔界人(エトランゼ)の秘密

ときめきトゥナイトの初代ヒロイン江藤蘭世という名前は、フランス語の「エトランゼ」が由来です。
エトランゼとは、見知らぬ人、という意味で、江藤家は人間ではなく魔界人、モンスターです。

しかも父親のモーリは吸血鬼、母親のシーラは狼女という魔界でも珍しい異種間の夫婦です。
異種族の間に生まれた蘭世は、吸血鬼の変身能力、弟の鈴世には狼人間の能力が芽生えます。

人間界では当然、「魔界人」の存在は認知されていませんからこのことはトップシークレット。
魔界人として不思議な能力を持ちながら、人間と何ら変わらない仲の良い家族の日常も、この作品のみどころとなっています。

 

原画1 一話-1 バッググランド

伝説の始まりである第一話の、二色カラー原稿ですね。

このたった2ページで、蘭世の家族構成とペット、恋の相手等バッググランドが全て網羅されていて素晴らしいです!

特にハートいっぱいの3コマ目は、蘭世のときめきと幸せが表情からも伝わってきますね。

吹き出しもハートで囲まれているのが、とってもキュートでのおしゃれですし、真壁くんを好きで好きでたまらないラブリーなシーンです。

わたしは左ページの5コマ目、横抜きのシルエットを使った表現に心奪われ二度見してしまいました。

シルエットだけでどのキャラクターか分かるようにするというのは、漫画の定石です。

満月の夜の風景が、魔界人のミステリアスさを表現しながらも、動きを感じるコミカルな絵です。

小さな単行本でなら、さらっと見逃してしまいそうな魅力のあるコマを、原画の大きさならまざまざと楽しむことができます。

 

原画2 1話-2 蘭世の魔界能力発動

蘭世の恋のライバル神谷陽子との初対決シーンです。

直接殴り合いしているのが、今のコンプライアンスからはありえませんが、カッとなった蘭世が魔界人の血に目覚める重要なシーンです。

噛みついた相手に変身し、くしゃみをすると元の姿に戻るという蘭世の吸血鬼の能力が開花してゆきます。

非常に動きのある緊迫したシーンですが、コミカルさも忘れないのがときめきトィナイトの魅力です。

 

原画3、4 2話-1、2 蘭世の変身能力開花

 

魔界人の変身能力に目覚めた蘭世は、やがてこの能力をフルに使って物語を牽引してゆきます。

猫になって片思いの男性に接近するなんて、日本全国恋する乙女の憧れの能力。

誰でも自分と違う何かになりたいと一度は思うもの。

誰でも魔法が使えたらなんて一度は願うもの。

この変身能力は、少女たちが蘭世に憧れ、なりたいと思う一つの重要な要素です。

またこんな素晴らしい能力を持ちながら、蘭世はどちらかというとちょっぴりドジでいたってフツーの女の子。

このフツーの女の子というのが、憧れだけではなく親近感を芽生えさせる魅力です。

さて、この頃の絵柄ですが、少女漫画の愛らしさをたもちながらもシンプルな線で描かれており、非常にコミカルさとおしゃれさを兼ね備えたイラストテイストが特徴です。

ほとんどトーンが使われておらず、白を活かした二色のアナログ絵ですがメリハリはちゃんとあります。

非常に絵のセンスが高い漫画なんですね。

わたしはトーンを使わなくても、シンプルな線でこれだけの画面を作れるんだととても感動しました。

漫画描くのって本当に時間がかかるんですよ。

でもこういう絵柄を確立すれば、わたしももう一度、時間をかけずに漫画が作れるのではないかとひらめいてしまいました。

それにいま、昭和レトロでこういう絵の方がうけそうな気さえします。

この頃の絵は、ほぼアシスタントなしで描けてるんじゃないでしょうか。

ちなみにわたしの絵の原点はときめきトィナイトです。

少女の頃、ときめきトィナイトの絵に憧れて、よく蘭世の絵を描いてました。

わたしの描いた漫画はこのブログに載せてます。

よかったらコチラから
漫画 | ころんのコロコロ★スロウな老婚講義 (koron5791.com)

 

カラー原画-1 魔界人である蘭世

蘭世の魔界人の一面を描くカラーイラストです。

左端は、吸血鬼のモーリがこうもり傘になっている絵、とてもユニークです。

真ん中は同じくモーリの吸血鬼の姿。
赤をベースとした中世の街並みのような背景も素敵ですね。
蘭世の金髪がアクセントになっています。

右端は、狼に変身する鈴世を、マジック風にみせています。

ただの恋愛漫画ではない、ときめきトゥナイトのモンスターの一面が描かれています。

画材は水彩のようにも思えますが、コピックでしょうか。
少女漫画らしいパステルカラーがきれいですね。

 

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恋する乙女と個性豊かな仲間たち

ときめきトゥナイトのベースは、蘭世の真壁くんへの恋模様、そして物語一の存在感を誇る強力なライバル神谷陽子の三角関係です。

さらに人間と人外である魔界人の恋を反対する母親、蘭世に恋する男性の登場等、様々な障害の中でひたむきに真壁君を思う蘭世が生き生きと描かれてゆきます。

魔界人や人間の個性豊かなキャラクターたちの活躍もまた、物語を彩ってゆきます。

 

原画5 2話-3 恋の三角関係

積極的に恋を成就させようとする蘭世に、つれないながらもふとした優しさをみせるの真壁くん。
真壁君の一挙一動に素直な好意や喜びをしめす蘭世がかわいくて応援したくなります。

そして蘭世に強力な敵意をむき出しにする恋のライバル神谷陽子。
この三角関係が見事に2ページにつまっています。

 

原画6 2話-4 支配的な母親の恋の反対

 

蘭世の真壁くんとの幸せな夢の中に入ってくる過干渉母親シーラ。

夢を覗かれたことより、良いところで夢が切れてしまったことを怒る蘭世が何ともコミカルです。
怒ると狼の耳が生える狼女シーラのキャラクターもよく立っています。

 

原画7 9話-1 少女漫画とは思えない表情の崩壊

中学三年生のクラス変えで、真壁くんと蘭世は同じクラス、別のクラスになった神谷陽子の怒りが炸裂するシーンです。

二コマ目の表情もなかなかですが、最後の大ゴマの陽子の顔ときたら、伝説の少女漫画どころか、伝説のギャグ漫画の間違いかと思うほど。

「ぐわ~っ」という叫びも、まことちゃんかって突っ込みたくなります。

陽子の怒りと悲しみがひしひしと伝わってきますね。

モーリやシーラ、サンドの表情もなかなかのもの。

これほどコメディ色の強いのにときめきもきちんとある少女漫画がほかにあるのでしょうか。

 

原画8、9 11話-1、2 第三の恋のライバル

まっすぐに真壁くんを思う蘭世の気持ちが伝わったのか、二人は少しずつ距離を縮めてゆきます。

しかしそこに強力なライバルが現れ、蘭世の恋はもはや風前の灯!

と思ったものの、実はこのライバルは、蘭世に恋するアロンが使わせた夢魔サリでした。

夢魔はサキュバスともいい、夢の中に入って異性を誘惑します。

ときめきトゥナイトでは、夢魔サリは相棒の魔界羊・ルルと強力して夢を使って真壁くんの気持ちをコントロールします。

父親モーリの助言でこのことに気がついた蘭世は、本来の真壁くんを取り戻し、サリとも打ち解けるのでした。

サリの出現で、ライバル同士の蘭世と陽子が一時的に仲良くなるもの女子力高くていいですね。

敵の敵は味方。

本来同じ男性に恋する二人は同士でもありますからね。

魔界人というぶっとんだ能力を持ちながら、人間らしい感情の起伏を持つ蘭世は、非常に親しみやすく共感しやすいヒロインです。

 

原画10 10話 蘭世の親族たち

江藤家の地下室に眠っている蘭世の親族たちです。

江藤家のピンチに呼び起こし、ここぞという活躍をみせます。

蘭世の母、椎羅が厳しい分、画像の眼鏡の女性羅々おばあちゃまは、いつも蘭世に寄り添って優しいアドバイスをくれます。

原画11、12 蘭世の弟鈴世と後のヒロイン市橋なるみ

蘭世の弟、鈴世は狼女の母シーラの血を濃く受け継ぎ、走ると狼に変身します。

変身の瞬間を偶然市橋なるみという女の子に見られてしまいます。

なるみと意気投合した鈴世ですが、彼女は間もなく命を終える運命にありました。

なるみちゃんの命を奪いにきた死神ジョルジュを蘭世と鈴世は説得し、なるみの命は救われます。

後に市橋なるみは、ときめきトィナイト第二部のヒロインとなるわけです。

カラー原画-2 蘭世編中期

第12回 扉絵

物語初期のカラーイラストです。
淡いパステルカラーとイラスト風のテイストが、80年代少女漫画らしいレトロな味わいを残しつつもおしゃれですね。

当時の少女漫画のふんわりとしたピュアなスピリットがそのまま絵に出ています。

第25回 扉絵 7巻表紙

蘭世編中盤ぐらいのカラーイラストです。
ときめきトゥナイトは恋愛漫画ですから、当時の恋愛模様がこの一枚の絵の中で表現されているわけですね。

ウエディングという華やかで美しいシーンでありながら、どこかコミカルさが漂うのもときめきトゥナイトという漫画ならでは。

わたしの大好きなイラストの一枚です。

第31回 扉絵 9巻表紙

蘭世と真壁くんはおしゃれでポップなのに、それを見つめるダーク・カルロが影を帯びて不穏な様子。
物語の新たな展開をミステリアスに示唆しています。

この物語中期では、蘭世と真壁くんは両想いが確定しています。
しかし不器用な真壁君が気持ちをはっきり言葉にしなかったり、恋のライバルが横連破が入ったりと、一筋縄でいかない二人の恋が見事に表現されています。

第39回 扉絵

物語は後期に差し掛かる頃でしょうか。

絵が完成されてきてロマンティックですねぇ。
前世でも夫婦であった蘭世と真壁くんの深い愛と幸せな関係が、伝わってくるようなイラストです。

モノクロの色彩の中に、クールでありながら発光するような柔らかさもあって不思議なテイストの絵ですね。

第52回 扉絵

蘭世と真壁くんの安定した、平凡だけど幸せなひとときを描いたカラーイラストです。

蘭世の幸せそうな笑顔と、真壁くんの優しいまなざしが何とも言えません。
こういうデートって、一番幸せで素敵ですよね。
わたしもこんなデートがしたいわ。

蘭世編もいよいよクライマックスに差し掛かり、絵も完成形をむかえています。

ときめきトゥナイトってコミカルに描かれてはいるものの、何度も殺されそうになったっり魔界や人間界が冥界王にのっとられそうになったり、少年アドベンチャー漫画並みのハードなストーリーなんです。

そのような苦難を乗り越えた二人の、しみじみとした幸せが伝わってくる牧歌的な雰囲気が美しいですね。

 

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毎日がときめきトゥナイト

この記事ではときめきトゥナイト展の初代ヒロイン蘭世編前半部のイラストと原画を紹介しました。

わたしの中では、蘭世編でときめきトィナイトは完結していたのですが、何と蘭世編もその後の物語があるというではないですか。

 

で、アマゾンで三冊も購入しちゃった。

「真壁くんの事情」に関しては、本当は紙媒体でほしかったんだけどなかったので、Kindle版で購入しました。

そしたらほかの2冊も安く購入できたので、大人買い?でもないけど、買っちゃった。

 

ネタバレ

この三冊では、真壁くんの蘭世にたいする気持ちや、本編終了後の二人のストーリーが描かれています。

わたしがときめきトゥナイトで一番好きだったのは、何があっても揺らがない蘭世の気持ちです。
報われるかも分からない恋に一生懸命になり、並みいるイケメンたちの求愛をものともせず、真壁くんにまっしぐらの蘭世が好きだったんです。

蘭世のようにかわいい女の子に、一途に想いを寄せたら誰でも情に打たれて彼女を愛さずにはいられない。

一匹狼として硬派で女性をシャットアウトしていた真壁くんが、蘭世の一途な想いにだんだんほだされて、彼女を愛するようになる段階がドキドキしたんですよ。

ボクシングに一途で硬派な真壁くんが、ときどきチラっと蘭世へ好意を見せるチラリズムに胸がときめいたんですよ。

少しづつ少しづつ、蘭世の想いが報われ二人の距離がゆらゆらと近づいていく様子に胸が高鳴ったのです!

なのにどうだろう。

この三冊を読んだら、最初から真壁くんも蘭世が好きだったという、運命の完成された恋人同士みたいな設定になっているではないですか。

本編途中でも、神谷陽子という強力なライバルがありながら、蘭世と真壁くんは実は前世でも結ばれていた相思相愛運命のパートナーでした~、みたいな展開になってから、あんまりときめかんなぁと思ってたんだ。

だってそれならば神谷陽子は何のために存在する?
当て馬にもならん、ただのピエロ要員か。

もしも願いが叶うなら、真壁くんは当初蘭世なんて目もくれてなかったけど、彼女のひたむきでピュアな愛に打たれて、だんだん好きになっていった、という物語のままにしてほしかった。

だって最初から完成された相思相愛の二人より、努力すれば片思いって叶うんだという方が、夢があるじゃないですか。

ときめきトゥナイトにはまったほとんどの少女たちは、王子様と庶民という身分差を乗り越えて、前世から結ばれた運命の恋人という設定に心がときめいていたのかもしれません。

だがわたしは違うね!

アラフィフも近づいてくるとね、あるかどうかも分からん前世や来世などどうでもいい!
現世を生きるのに必死じゃ!
前世も来世もいらんから、今の幸せをおくれよ!
王子様ではなく、そこらへんのおやじ様でいいんだからさ!
学があって金があったらなおよし!

例えばわたしが綾瀬はるかみたいにかわいければ、ふられてワーンと泣くこともなかったのかな。

とか
例えばわたしが蘭世みたいに、ひたむきに愛をそそげていれば、彼はわたしにふりむいてくれたのかな、

とか思う夜もあるでしょう。
半世紀も生きてきたのならね。

だけど二人は前世から結ばれていた運命の恋人!という設定だと、努力とか自分磨きとか愛とか許しとかあんまり関係なくない?

と、ときめきトゥナイト展に感涙でむせびなきながらも、どこかしらけた気持ちを表現せずにはいられない少女のような初老、今年も一人ぽっちのお正月なのでした。

 

でも大丈夫!

今夜もときめきトゥナイト読みながら、一人ぽっちでときめいちゃうもんね~。

 

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