どうしても許せないマンガ、ドラマ、映画の悪役といえば?と聞かれたら…。
やはり悪役に魅力があった方が作品が輝くので、どうしても許せないっという問いは難しい。
最近は悪役に肩入れする人も増えてるようで。
悪役の背景もきちんと描くのが主流らしく、なぜそのような悪役が生まれたのかあきらかにされると作品に深みも出ますね。
もはや悪役こそが物語りを引っ張っているといっても過言ではない。
どうしても許せない・・・と聞かれてぱっと思いつくのは萩尾望都の漫画作品『残酷な神が支配する』のグレッグ・ローランド。
グレッグは一見中年の英国紳士なんだが、これでもかっていうぐらいひどい。
変態でホモで、ホモというか両刀でロリータでサドで、つまりDV男なのか、縛るプレイが好きな人のことなんていうの?
縛るプレイする人で、親子丼で(なんと相手は義理だけど母と息子・近親相姦?)
もうとにかくこれがひどい性癖だっていうのを全部集めたような人なんだよ。
そうそうお車でのプレイもございましたね。
何かよう分からんけど仮面もかぶったりしてたね。
首もしめられてたっけ?
もうあんまり覚えてない。
とりあえずわたしはこの作品のおかげでホモはワセリンを使うということを知りました。
一応少女漫画なんだけどね・・・。
もうこの作品はね、かつて東京都で可決されたんだっけ?
漫画規制法案、「青少年健全育成条例の改正案」にほとんど引っかかるような内容なんだよ。
テーマとしては、性的虐待を受けた少年の心の傷の癒し方とか再生なんだと思う。
しかしあまりに傷が深すぎて結局傷が深すぎて再生までは至らないというか、心の傷が深すぎて周りも傷ついてみんな人生狂ったというか、それでもラストはちょっとだけマシになったみたいな終わり方だったのかなぁ。
このお話の悪役グレッグの憎たらしいことと言ったら。
好みの少年ジェルミ(このお話の主役)を手に入れるためにあの手この手で羽交い絞め。
とりあえずはジェルミの母親サンドラを落とすことから始める。
ジェルミは心の弱い母を楯にとられて言いなりにされちゃうんだね。
だからこの母親サンドラも頼りなくてムカつくんだよ。
母親というより女の要素が強い人なのかな。
子供を守るのではなくて、子供に守られるような女性です。
それから性的虐待を知っても自分を守るため、見て見ぬふりするグレッグの元妻の姉とかね。
そんな無責任で残酷な大人たちのせいで深く傷ついた子供たちの物語です。
だから物語の重要な一つの要素として、子供は親の生贄だみたいなテーマもあったのかな。
グレッグにひどいことされるジェルミがもう気の毒で気の毒で・・・。
ワセリン使われたり縛られたり、ムチで打たれたり、卵まで産まされとったからね。
「君は卵を産むんだ!」ていうセリフが耳に焼き付いて離れない・・・。
耳の場合は焼きつくって言わないのか?
目に焼きつくか?
どっちでもいいけど。
1巻読んだときちょっと夜うなされたわ。
夢に出てきたわ。
夢の中でわたしはグレッグからジェルミを助けようとしていたよ。
わたしってば、何とまあ心優しい初老なんざんしょ。
だから本当にグレッグが憎たらしくて憎たらしくて。
舞台がまたイギリスっていうのも・・・。
イギリスってホモと変態が多いイメージがある。
大きな大きなお金持ちの古いお屋敷、イギリスだとお屋敷というかもはやお城?の一室で誰にも気づかれずに性的虐待を受けるジェレミ。
最後は性的虐待の苦しみから逃れるために、薬に頼らざるを得なくなるかわいそうなジェレミ。
ジェレミも作品中でだんだん人相が変わってくるんだよ。
そら夜な夜なあんな虐待を受けてたら顔つきも変わるわ。
そして思いつめたジェレミがおこした行動とは?
これは物語の冒頭で出てくるからね。
刑事コロンボと同じ、いわゆる倒叙形式というヤツです。
グレッグのお葬式からお話は始まる。
つまりジェレミはグレッグを殺したんだね。
悪役が殺されたところから始まるなんて斬新な作り。
そしてなぜ殺さないといけなかったのかという回想シーン。
ジェレミの受けたひどい虐待をきちんと描かれているので、わたしたちはとてもジェレミに共感し何とか彼が救われるのを応援したくなるよ。
だがジェレミの心の傷はあまりに深く、もはや傷というより破壊といったほうがふさわしいかも。
一人の人間として人格も肉体も破壊されたジェレミの悲しい悲しい物語。
彼が生きる残酷で苦しみと悲しみに満ちた世界に救いはあるのか・・・。
そのようなジェレミの苦しみもきちんと描かれ、虐待された子供たちがどのようにすさんでいくのかも刺さるほどに伝わってくるよ。
そのへんの心の機微の繊細な描き方はやはり少女漫画ならでは。
良作です。
こんな表現力に優れた作品が規制されていく世の中なんて腐っとりますなぁ。
やはり優れた作品ってのは、登場人物の心情をどれだけ深く掘り下げられたかにもかかってくるのではないでしょうか。
心情を掘り下げて描いていくと、やはり心の闇をどれだけ描ききったかってことであって結局漫画規制ってそのような闇の部分を葬りたいわけでしょ。
それは誰でも排泄するのに、 排泄物なんて見たくない、私は排泄なんてしない、という偽善社会ですよ。
自分も排泄をすることを認めて、じゃあその排泄物とどう折り合いをつけていくかってのも人生の一つのテーマではないでしょうか。
社会主義や共産主義は、結局を見て見ぬふりする社会だからうまくいかないんだね。
なんだか悪役から話がそれちゃったけど、やはり一番許せない悪役ってのは罪もない子供たちにひどいことする大人かな。
そんな腐った世の中の腐った大人のお話。
ちなみにもしこのお話が実写化されたら、グレッグはハンニバル・レクター博士とかに不気味ないやらしさを演じてほしい。
ジェレミは子役時代の可愛さ輝くイライジャ・ウッドとか・・・。
ヤダー。
レクター博士に虐待される世にも可愛いホビット族なんてもはやホラーだよ。
おぞましすぎて見てられないわ。
漫画で十分です・・・。
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