大学卒業後、ずっと郵便局でかんぽの営業をしているセーブタさんとお見合い中のプチ初老ころん。
何度か転職しているわたしは、一つの企業しか知らないセーブタさんの考えが狭いなと思いつつ、
「ずっと同じ会社で働き続けるなんて立派ですねー。」
とテキトーにおだてておいた。
まあ、転職したことのない男性には、こう言ってほめるしかないわな。
男性に気に入られる恋愛テクニックの基本は、5分に一回相手をほめることだからな。
とりあえずそこまで関心のない男でも、褒めれそうなところは褒めておいて、その気にさせるのはセオリーだわな。
男をその気にさせれば、女は優位に立ち、選択する権利を与えられるんだからさ。
この男を受け入れるか、断るか、という選択権をわたしがにぎることができる。
そしてころんの思惑通り、「一つの仕事を20年間続けることはすごい。」って言われてセーブタさんは、自分はすごいのだと思いこみ自信を持つことができる。
わたしのような美女に尊敬される素晴らしい男だと思いこむことができて、気分もアゲアゲ。
逆に転職を繰り返しても、最後には成功した男性には、ころんはこうやってほめる。
「華麗なる決断力の勝利ですね!何でもできはるんですね!バイタリティーがあるんですね!」とかね。
つまりセーブタさんには、決断力もないし、かんぽの営業以外何もできないし、バイタリティーがないってことになるね。
また転職を繰り返して給料が落ちた男には、ほめようがないので、
「そんなこともありますよね。人生って練習できなくて何が起こるか分かりませんから。」
とか
「でもお給料下がっても自分の時間ができたとか、やりがいのある仕事に出会ったなら、その方が絶対いいですよね!」
と慰めるしかないわな。
このように、殿方に合わせて言っていることをコロコロ替えて、ほめちぎる。
このぐらいのテクニック、結婚している女なら、皆できるたやすいことであるわな。
「一つの仕事を続けるなんてご立派ですねー。」
ところんが心にもないテケトーなお世辞を言ったもんだから、当然セーブタさんに転職経験を聞かれる流れになるわな。
で、
「何回ぐらい転職されてるんですか?」
と聞きれたもんだから、そんなもん、いちいち数えてないわと、
「えー、いっぱい…。」
とわたしは返事した。
転職した数なんて、覚えてない。
多分4~5回ぐらい?
アルバイト入れたらもっと多くなるわ。
付き合った男の数もいちいち数えてない。
多分4~5人ぐらい?
2~3回デートしただけの男をいれるともっと多くなるね。
それからわたしが派遣社員であるということに、セーブタさんは、ちょっと驚いておった。
「わたし、紹介書にちゃんと企業名書いてますけど?」
と言ってやった。
するとどうやら無知なセーブタさんは、その企業名に聞き覚えがあったので、勝手に大きな会社の正社員だと思ったみたい。
いやいやいや…。
明らかに有名な、誰でも知ってるような業界一位二位ぐらいの派遣会社ですけど。
CMもバンバン流してますけど。
しかも年収も記載してるんだから、派遣の収入って分かると思うんだけど。
まあ、セーブタさんとしては、きちんと正社員で働いている女性を望んでたってことだろう。
まるでわたしが騙くらかして、一流企業のキャリアウーマンぶる経歴詐称女みたいに、勝手に解釈しやがって、責められてもよー。
お前が無知で愚鈍なだけやんか。
会話というのは、お互いの常識がマッチして、スムーズに流れていくものである。
だからこのようにお互いの常識がズレていると、会話がかみ合わなかったなんて、印象を残すのである。
で、このときかどうか忘れたけど、わたしはどうやら、お風呂に毎日2時間入るって話をしたんだと思う。
すでに記憶があいまいなお見合いであったが、覚えているのはこのような会話でした。
で、お見合いが終了した後は、仲人さんに、お返事どうされますかって聞かれる流れになる。
わたしは
「何だか、話が噛み合わなくて…。」と答えた。
今までお見合いした男性の中で、話がかみ合わないと感じた人はいなかった。
話が盛り上がらないとかはあるけどね。
仲人さんは続けて
「お断りしますか?」と聞いてきたので
「いい人なんですけどね…。」とわたしはつぶやきました。
このときは断ろうと思ってました。
すると仲人さんは、
「人が良さそうなのが顔に出てましたね。」
というもんだから、確かになー、お地蔵さんみたいな顔だったもんなー、そんな人の良さそうな人を、無碍に断っていいものだろうか、とわたしの中に迷いが生まれる。
すでにこの相談所に入会して七カ月。
その中で交際まですすんだ男性は、二人いたが、いずれも三回で終わっている。
その男性たちについてはコチラから
写真と違う男性とのお見合いでころんが感じたこと ドトールさんその1
結婚相談所でお見合いした男性が思いがけず普通の人だった!? ねずさんその1
もう少し、男性への許容度をあげていった方がいいのだろうか。
そしてわたしはさらに
「お見合いが成立した時点で、わたしの希望にマッチングした人ではあるんですけどね…。」
迷いを口にする。
ここで仲人さんがさらに一押し。
「一応課長代理という役職にもついていらっしゃいますからね。
お勤め先も安定してるし。」
多分、これが決定打だったんだろうな。
それでもわたしははっきりした答えを出すことができず
「一日考えます。」とその場を後にした。
お見合いのお返事の期限は、翌日までなのです。
翌日、仲人さんからお返事の催促メールが届いた。
「こんにちは。
昨日お見合いされましたセーブタさんから、再見合希望の良いお返事が来ました。
ころん様は如何でしょうか?
昨日は悩まれてましたけれど・・・
お返事をおまちしています。」
このメールを読んで、まあ、向こうが会いたいって言ってくれてるんだから、もう一回ぐらい会ってみるか、という気になったのです。
そしてもう一度会うことになったのです。
続く