作品情報
刑事コロンボ:ピーター・フォーク(小池朝雄)
殺人犯:往年の大女優ノーラ・チャンドラー/アン・バクスター(藤波京子)
被害者:ノーラの秘書ジーン・デイヴィス/ピッパ・スコット(牧野和子)
芸能リポーター:ジェリー・パークス/メル・ファーラー(小山田宗徳)
ファロン/フランク・コンバース(西山連)
大資本家:フランク・シモンズ/ケビン・マッカーシー(家弓家正)
演出:リチャード・クワイン
脚本:ジャクソン・ギリス
殺害の動機と人物関係
殺人犯役はオスカー女優のアン・バクスター
今回のゲストスターである殺人犯は、1946年の『剃刀の刃』という映画でアカデミー助演女優賞を受賞したアン・バクスターです。
また1951年の映画「イブの総て」ではアカデミー主演女優賞にノミネートされています。
この画像は「イブの総て」の1シーンで、左からアン・バクスター、ベティ・デイヴィス、無名時代のマリリン・モンローですね。
おっさんは誰か知らん。
「イブの総て」でアン・バクスターは、大女優の付き人からのし上がる女優を演じました。
今回のコロンボ作品「偶像のレクエイム」では、この「イブの総て」をモチーフにして大女優のキャラクターを作ったそうですよ。
ちなみにわたしは「イブの総て」は観たことないのですが、同じ1951年にアカデミー賞を争った映画「サンセット大通り」は大好きな作品です。
このサンセット通りも落ちぶれた元大女優が主役でした。
サンセット大通りのような素晴らしい作品を押しのけて、多くのアカデミー賞を受賞した「イブの総て」という映画、すごく気になってたんですよね。
1973年のコロンボ作品で、アン・バクスターは、子役から活躍する往年の大女優を演じます。
しかしその大女優も落ちぶれて、テレビに活躍の場を移してゆくのです。
ちなみに説明するまでもありませんが、アメリカでは映画俳優とテレビ俳優がぱっくり別れています。
もちろん映画俳優の方が格上で、ピークが過ぎて落ちぶれるとテレビ俳優になります。
1960年代後半から1970年代前半は、ハリウッド映画は全盛期を終えてしまい、大きく変化してゆく頃でしょうか。
まさにこの刑事コロンボでアン・バクスターが演じる昔とった杵柄の輝きをたもちながらも落ちぶれてゆく女優は、本人の人生とも重なることろがあるようです。
殺害までの流れとバッググラウンド
ノーラの撮影所
物語は、女性がバスルームへ向かい誰かを銃で撃ち殺すところから始まります。
と思ったらこれはドラマの撮影で、銃を持った女性は落ち目の元大女優ノーラ・チャンドラーです。
この撮影スタジオはかつてはノーラが所有していたようで、近くに彼女のバンガローもあります。
ノーラは秘書のジーン・デイヴィスを探すために、撮影中の住まいであるバンガローに向かいます。
ところがジーンは、芸能リポーターのジェリー・パークスといちゃついています。
ジェリー・パークスの誕生日の約束
ジェリー・パークスはゴシップ記事のリポーターで、新しい本の宣伝のためニューヨークから帰ったばかりです。
今夜はジェリーの誕生日で、本屋でサイン会があります。
ノーラの秘書ジーンはパークスがサイン会を開いている間、彼の家で料理を作り、その後誕生日祝いをする約束をします。
ノーラはその約束を盗み聞きするのです。
ジェリー・パークスが嗅ぎつけたノーラの秘密
ノーラはジーンが席を外させた後、お酒を飲み始め、パークスに何をしに来たのか尋ねます。
パークスはノーラのイタリアで撮影した映画の赤字について口にします。
ノーラは帳簿をごまかして、自身の200万ドルの損害を撮影所に押し付けていたのです。
この口止め料としてパークスは暗にノーラに金銭を要求します。
ノーラはこの要求を飲んだように見えます。
パークスが帰った後に、オーラはお酒を一気に飲みほします。
ノーラの秘書ジーンへの疑い
ノーラは秘書のジーンが、パークスに秘密を漏らしたのではないかと疑って責めます。
そしてパークスは恐喝専門のインチキ記者で、ジーンに愛はなく利用しようとして近づいたのだと言いはなつのです。
思わず感情的に怒りをあらわにするジーンですが、すぐに冷静さを取り戻し、パークスと結婚の約束をしていると告白するのです。
ノーラもジーンに言い過ぎたことを詫びて、クリーニングに出していたドレスを取りに行ってくれるように頼みます。
ジーンは以前に、今夜は8時からドロシーと音楽会に行くとノーラに伝えていたようでした。
しかしこの音楽会の約束をキャンセルして、ノーラのお使いを引き受けることにしました。
ですがついさっき、ジーンは今夜誕生日のパークスと過ごすことを約束しています。
つまりジーンはノーラに嘘をついていることになりますね。
またジーンとパークスの会話を盗み聞いていたノーラも、この嘘に気がついています。
ノーラが爆死させたのは誰?
お使いに出かけたジーンを追って、ノーラはパークスのサイン会が行われる本屋へと向かいます。
ジーンとパークスが落ち合ったのを確認して、ノーラは先にパークスの自宅へと向かいます。
そしてガソリンをまいて、パークス邸にやってきた車が爆発するように仕向けるのです。
その後ノーラはパトロンで資産家でもあるフランク・シモンズとの約束通り食事をします。
すると警察とジェリー・パークスがやってきて、秘書のジーン・デイビスが爆死したことをノーラに伝えるのです。
ショックで気を失うノーラ。
ここでわたしを含め、視聴者は混乱します。
わたしは当初、ノーラは口封じのためにパークス一人か、あるいはパークスとジーンの二人を殺害したいのだと解釈していました。
しかし亡くなってしまったのは秘書のジーン・デイビス一人です。
これだとパークスが、もしかして自分がノーラに狙われたと気がついてしまう、最悪のパターンになるんじゃないかってね。
ここはこの物語の重要なファクターなので、しっかり頭に入れておきましょう。
物語開始約12分コロンボ登場
うちのカミさん-1 新車を使ってる
物語開始約12分で刑事コロンボ登場です。
撮影所にやってきたコロンボの車があまりに汚いので、守衛にスタント用に破壊するための車だと勘違いされています。
いつものごとく、刑事コロンボが刑事だと思われないお約束のシーンですね。
コロンボが警察を名乗り、車に警察のステッカーが貼ってあると説明するのですが、ステッカーはありません。

誰かが取りやがった。
今朝あったんだがな。
と嘆くコロンボ。
守衛に車のボロさを指摘され、交換するように勧められます。

ああ、新車はあるんだがね…。
カミさんが使ってるんでね。
まあ動きゃあ、それでいいんだよ。
と、一度目のうちのカミさんですね。
ホント、登場からコロンボは笑かせてくれますよね。
コロンボは大女優のノーラ・チャンドラーのバンガローに向かいます。
うちのカミさん-2 電話でひと言
コロンボは憧れの大女優に会う前ですから、ノーラのバンガローの入り口で身なりを整えます。
服装を正し、髪を整え、爪をチェックします。
それでもコロンボは刑事とは思ってもらえないようです。
ノーラを目の前にして、緊張し深呼吸をするコロンボ。
心配したノーラに

アタシは夢みたいな気分なんですよ。
とその感動を伝えます。

お願いがあるんですが、うちのカミさんに電話してひと言言って下されば喜ぶと思うんです。
と、二回目のうちのカミさん登場ですね。
コロンボのカミさんは、ノーラの映画を子供の頃から残らず観ているそうです。
コロンボは本当にカミさん思いですね。
カミさんに電話をかけて

ほんの一分だけ。
飛びあがりますよ。
と、喜びをノーラに伝えるコロンボ。
結局カミさんは魚を買いに出かけていて、電話に出たのは弟のジョージでした。
ノーラとジョージを会話させて喜ぶコロンボは、本当に永遠のいたずらっ子ですね。
さて、このジョージ、ここでは弟として登場してますが、第5話「ホリスター将軍のコレクション/ DEAD WEIGHT」では、釣りの好きな兄として登場しています。
兄なのか、弟なのか、どっちなの?!って思いましたが、おそらく英語では「Brother ブラザー」なので、日本語に訳すときに弟が兄なのか分からないでしょうね。
ですから訳者がその都度、「兄」か「弟」でテキトーに訳してるんでしょうね。
そう思うと、比較的簡単な言語とされる英語ってやはり荒いなって思いますし、日本語は難しい分、とても親切な言語ですね。
ホリスター将軍の記事についてはコチラから。
刑事コロンボ#5-1 ホリスター将軍のコレクション/ DEAD WEIGHT あらすじとネタバレ(前半) コロンボが大阪弁をしゃべる?
刑事コロンボ#5-2 ホリスター将軍のコレクション/ DEAD WEIGHT あらすじとネタバレ(後半) 将軍の口説き文句を婚活男子は見習え!!
ノーラの夫アル・カンバランド
コロンボはノーラに、ジーンの事故は放火の可能性もあり捜査している際中だと伝えます。
そしてふと壁に飾られたノーラの夫アル・カンバランドの写真に目をやります。
写真からアル・カンバランドは、ノーラと同じぐらいの身長の小柄な男性で、Tクラブの会員の証である指輪をしています。
これはアルが亡くなる前日に撮影された写真だそうです。
Tクラブとは?
Tクラブとは、シュライン(Shriners)という1870年に作られたフリーメイソンの内組織のことらしいです。
フリーメーソンはわたしの知識では説明が難しいのですが、世界的な歴史ある秘密結社です。
ある程度優秀でお金持ちの男性でないと入会できないのですって。
アメリカ大統領や日本の総理大臣などがメンバーに名をつらねているそうです。
基本、上流階級が犯人の刑事コロンボにいかにも登場しそうな団体ですね。
うちのカミさん-3 Tクラブのバンドメンバーの叔父
コロンボのおじは、Tクラブのバンドでヘタなバグパイプを吹いていたそうです。
コロンボはよく家族の話をするので、ここではおじ、もうちのカミさんとして数えています。
うちのカミさん-4(3) 灰皿を盗む
コロンボは続いてノーラのバンガローにある見事なお庭に目をやります。
ノーラが映画の撮影に使った噴水も飾られていますが、水は出ていないようです。

花頂けますか?
カミさんにやりたいんで。
記念品が好きでね。
と言って、コロンボはノーラに庭の花を摘む許可を得ます。

カミさんレストランに行くたんびに灰皿盗むんでこまっちゃうんですよ。
アタシの職業柄ね。
というコロンボ。
ちょっとカミさん、手癖悪過ぎやしませんか?

カミさんが捕まっちゃやっぱりマズイですよ。
とまあ、今日はカミさんがよく出てくる日です。
コロンボにかかってきた電話で、ノーラは彼が殺人課だということを知ります。
そしてコロンボとノーラは、本署へ向かうことになります。
間違えられた殺人?
コロンボの疑惑-1 ジーンの車のパンク
コロンボは車にノーラを乗せて、本署の駐車場へと向かいます。
そこにあったのは、爆発で丸焦げになった、亡くなったジーンが最後に乗っていた車でした。
その車を見てショックを受ける(ふり?をする)ノーラを、コロンボは支えます。
実は爆発した車は、ジーンではなく恋人パークスのものでした。
ジーンが自分の車で本屋からパークス邸に向かおうとしたところ、タイヤがパンクしていたのです。
そこでジーンはパークスの車に乗って先に出発し、誕生日パーティーの用意を整えて待っているはずでした。
その間にパークスは、サイン会を開いた本屋でジーンの車のタイヤの交換を頼みます。
そして後からその車でジーンを追いかけるのです。
ここでコロンボが推理したことは、殺人犯がねらったのは秘書のジーンではなかったということです。
恨みをかう可能性が高いゴシップ記者のジェリー・パークスをねらったのに、タイヤのパンクというハプニングにより、彼の車に乗っていたのはジーンでした。
ここでノーラは、パークスとジーンが恋人同士だったことを知らないふりをしています。
わたしたち視聴者はさらに混乱します。
このジーンの車のタイヤのパンクは、ノーラにとっても想定外だったのか、それとも彼女が仕組んだことだったのでしょうか。
確かにノーラも、あの晩、ジーンを追ってパークスがサイン会を行った本屋へ向かっています。
そしてそこで一度車から降りて、パークスとジーンが落ち合ったことを確認しています。
しかしタイヤをパンクさせたシーンは出てきてません。
ここで新たな謎が生まれるわけです。
しかしコロンボ、憧れの大女優とはいえ、ちょっとノーラにベタベタし過ぎじゃないでしょうかね…。
コロンボの疑惑-2 ジーンの死は放火殺人
コロンボはパークス邸を訪れます。
そしてゴシップ記者のジェリー・パークスに、ジーンの死は放火殺人であったことを伝えます。
なぜならガソリン缶が二つもパークス邸近辺から見つかり、ガソリンが撒かれた跡があること。
また車は最初にタンクが爆発したのではなく、外部の底から焼けていることから、外から燃え上がったということになります。
ウチのカミさん-5 コロンボの疑惑-3 本を1~2冊持っている。
コロンボは電話を借りたいと言って、まんまとパークス邸に入り込みます。
そしてマリリン・モンローの直筆サイン入りの写真を見つけて、それに気を取られたふりをして、いつものごとく、上手いことパークスを質問責めにします。

アタシの義弟が(パークスの本を)1~2冊持ってましてね。
一体どうやってあの有名人たちの事を調べ上げるんでしょう。
と、コロンボの定番セリフ、家族の話をよくするが登場です。
義弟も家族の話ということで、うちのカミさんゼリフとして数えています。
パークスはコロンボに、うわさや聞き耳を立てて有名人の記事を書くのだ答えます。

じゃあ我々のやり方と同じですな。
密告者の話聞いたり召使を買収したり使用人と親しくなったり…。
とまあ、コロンボはとぼけたふりして、どんどん核心をついていくのが本当に上手い!
パークスもこれには少し気を悪くします。
コロンボがノーラのスキャンダルを調べるために、パークスが秘書ジーンに近づいたと疑っていると思ったからです。
つまりコロンボの疑惑は、ノーラがパークスに秘密を握られたため殺そうとして、間違えてジーンを殺した可能性ですね。
ノーラの夫アル・カンバランド
コロンボはパークスに言います。

もしノーラさんに関する資料をお持ちなら見せてくれとは申しません。
その時は令状取ってきますから。
パークスが現時点で、ノーラについて調べているのかを確認したかったのですね。
パークスはその資料をコロンボに見せてもいいといいますが、一般的に知られたことばかりで、特に真新しい情報はありませんでした。
パークスがコロンボに伝えたのは、13年も前に亡くなったノーラの夫アル・カンバランドについてです。
ノーラと夫アル・カンバランドは、ハリウッドの理想的夫婦として知られていたが実際はケンカが絶えなかったこと。
アルの新人にコーチするキャステングコーチは有名であったこと。
これは詳しくは説明されていませんが、大物が新人女優にエロいことするアレのことでしょうかね。
コロンボは品のある作品の上、アメリカのテレビ映画ですからね。
アメリカのテレビは日本より規制が厳しいので、あまりエロいことはおおやけに放送できないのです。
そしてアルは13年前の夏にマリブに釣りに出かけ、夕焼けの海に永遠に消えたこと。
パークスは、落ち目の女優であるノーラの記事を書いても今はあまり意味がないと、彼女の新しいスキャンダルを握っていることを否定するのです。

でも(ノーラは)テレビでは大活躍してますよ。
それに深夜劇場でね。
あの人のは必ず見てます。
まあしかしそれはそれとして安心しました。
と、コロンボはノーラをかばい、彼女がパークスを殺害しなければならないような理由がないことに胸をなでおろすのです。

アタシにとって彼女の名はまさに青春のシンボルだったんです。
あの人が17の時を見てますがね。
タイトルはわすれちゃったけど、ティーンエイジャーでね。
花の17歳。
とまあ、ノーラに対する思い入れがハンパない。
何度も、ノーラに犯人の疑いがわかなくて安心したと繰り返します。
ノーラへの疑いを視野に入れつつ、彼女が犯人だと思いたくないってところなんでしょうか。
この時点ではね。
コロンボの疑惑-3 犯人と間違い電話の性別
ノーラからパークスに電話がかかってきました。
コロンボに電話を聞かれたくなかったパークスは
「ああ、あいにくですが番号違いのようですな。かけ直して頂けませんか?いやいやどういたしまして。」
と電話を切ります。
コロンボは、パークスをねらった犯人がもう一度殺人をくわだてる可能性があるとほのめかします。
「彼がまたやるって言うの?ナンセンスだ。」と否定するパークス。

なぜ「彼」って言うんです?
ゆうべの犯人のことですよ。
と、突っ込むコロンボ。
パークスは、殺人犯といえば男と思うのは自然の成り行きじゃないかと答えます。

今かかった電話はご婦人でしょ。
男から番号違いがかかった時は「違いますよ」ぐらいで済ませちゃうもんだが相手が女となると自然と丁寧になるもんですよね。
と、さらに突っ込むコロンボ。
パークスもコロンボの鋭さに少々うんざりして、忙しいと言ってコロンボを追い返そうとします。
うちのカミさん-6 電話をかけようと思った
帰ろうとしたコロンボですが、パークスが「電話かけるんじゃないの?」と、聞いてあげます。

カミさんにかけようと思ったんですが、どうせ出てるだろうから。
とコロンボは言って立ち去ります。
定番セリフうちのカミさんですね。
コロンボがいなくなった後、パークスはノーラに折り返しの電話をかけます。
パークスとノーラはこの後、会う約束をします。
さあ、パークスはジーンを殺したのがノーラだと薄々気がついていますね。
そしてコロンボも、パークスにかかってきた電話の相手がノーラだと気がついたのではないでしょうか。
パークスが犯人は男だと言ったことは、本当にパークスの思い込みなのか、コロンボの目を女であるノーラからそらせるためなのか。
あるいはコロンボが、「犯人は女性の可能性もある。」と言ったことが、パークスを駆り立てたのか。
コロンボ、ノーラ、パークスの化かし合い、駆け引きが始まったわけです。
ノーラの謎-1 口止め料を断固拒否
ゴシップ記者ジェリー・パークスはノーラ・チャンドラーをレストランに呼び出しますが、彼女は人目を避けて、川べりの木陰へと誘います。
パークスを追いかけてきたコロンボは、レストラン前に駐車しているノーラの車を見つけてしまいました。
ノーラはパークスに警察に何を話したかと尋ねますが、彼は何も話していないとのこと。
パークスは、ノーラの帳簿隠しの秘密を握っている自分には、口封じのために狙われた動機があることをほのめかすのです。
そしてパークスは以前の10倍の口止め料を、ノーラに要求します。
しかしノーラはこの要求を毅然として突っぱねます。
代わりにパークスが爆死した恋人ジーンに送った手紙のコピーを、証拠品として見せます。
色男パークスは別れた妻たちから金銭を要求され、恋人のジーンは貯金を切り崩して、彼のために用立てていたのです。
つまりノーラは、パークスにもジーンを殺す目的があったし、車の細工も簡単にできたはずど、逆に脅かすのです。
ジーン殺しの犯人はノーラだとわたしたち視聴者は知っていますから、この女優、開き直ってとんでもない言いがかりをつけ始めたと驚くことばかり。
まあコロンボのゲストスター犯人役は、このぐらいのタフさんがないと、ラストのカタルシスが半減しますからね。
ここでコロンボ登場。
ノーラとパークスは、一番見られたくない相手にちょっとした修羅場を見られてしまいましたね~。
コロンボは何でもよーく見てますよ。
コロンボの疑惑-4 パークス邸で目撃された車
コロンボがつけてきたことをパークスは責めます。

いいでとんでもない。つけるなんて…。
うちの刑事があなたが大急ぎで外出したと言ってきたんで…。
さっきお仕事で忙しいと言われたのに…。
とまあ、コロンボってホントにやわらかーくやさしーく、まるで被害者のような顔をして、こっちは悪くない!そっちが矛盾したことを言うからだって、ほのめかすのが上手いですよね~。
あ~、わたしはコロンボになりたい。
コロンボは、ジーン爆死後にパークス邸から車が飛び出してきて、危うくひかれそうになった近所の人が発見されたことを彼に伝えます。
ですからこのジーンの爆死事件は、やはりパークスに恨みを持つ人物の犯行だとコロンボは言います。
その車に乗っていたのは当然ノーラですから、彼女はどんな車かをそれとなくコロンボに聞きます。
ノーラが乗るような高級車ではなくどこにでもある黒っぽい小型車で、ドライバーの顔も分からないとコロンボは説明します。
コロンボの疑惑-5 ノーラとパークスの不仲
そしてコロンボは、ノーラとパークスが険悪な雰囲気だったことを指摘します。
ノーラは「映画界をご存知ないからよ。」と、映画界で痛烈にやりあうのが普通のことだとコロンボに説明し、パークスと仲の良いふりのため頬にキスをします。
ノーラは、今ハリウッドは立て直しに必死で忙しいからと言って、去ってゆきます。
そしてパークスも
「不景気なんでね。彼女の旦那も墓の中でさぞ気をもんでるでしょう。
もし墓があればね。」
と意味深なことを言います。
ノーラの夫アル・カンバランドは、マリブの海で行方不明になりましたから、当然遺体もなくお墓もないということでしょうか。
何だか死んだノーラの夫が、よく登場しますね。
さて、ノーラを見つけた一般人たちが、サインをねだりに彼女を追いかけます。
コロンボは

ほらやっぱりね。
まだまだすごい人気ですよ。
と、ご満悦。
崩れた殺害の動機
ノーラの謎-2 撮影の不調
女優ノーラ・チャンドラーは、この物語冒頭と同じ衣装を来て、テレビドラマの撮影をしています。
どうやらノーラがで撃ち殺した男性は、彼女の夫のようで、警察に夫殺しを疑われているシーンです。
しかしどうもノーラは調子が乗らないようで、何度もNGを出してしまいました。
そこにコロンボがやってきて、うっかり音をたててしまうもんですから、ノーラの集中力はますます途切れ、撮影は休憩することになりました。
ノーラに話しかけるコロンボ。

映画のスタジオへ来たのはこれが初めてなんです。
と、映画の都ハリウッドのあるロスに14年いながら、映画のスタジオに来たのは初めてとのこと。」と。
嘘ですね!
コロンボは、第一話「殺人処方箋/Prescription:Murder」で、犯人の共犯者である女優と会うために、撮影所を訪れてますね!
詳しくはコチラで。「刑事コロンボ#1-3」に詳しいです。
コロンボの疑惑-6 パークスの恐喝相手
ノーラはコロンボに、ジーン殺しの捜査が進んでいるかを尋ねます。
コロンボは、パークスの評判が悪く、弱みを握られ恐喝されていた人がいれば、筋が通ると説明します。
まさにノーラのことなのですが、彼女は笑い飛ばして撮影に戻ろうとします。
コロンボの疑惑-7 ジーンの車は点検直後だった
撮影に戻るノーラを引き留めてコロンボはパンクしたジーンの車のタイヤについて語ります。
実はジーンは爆死した日に、車を点検に出しているのです。
点検したばかりの車がパンクするなんておかしいし、パンクした理由も分からないようです。
コロンボの疑惑-8 もう一つ-1 放火後、目撃された車
撮影が再開されそうなので、スタッフがノーラを呼びました。
向かおうとしたノーラの腕をつかんでからの

それにもう一つ分かったことがあります。
の、コロンボの定番セリフ「もう一つ」が登場です。
ジーンが爆死した後、パークス邸から飛び出してきた車と同じ型が、この撮影所に20台もあったのです。
サウンドステージのそばに駐車するときはキーを差しておくという規則があるため、スタッフなら誰でも車を動かすことができます。
つまり撮影所の人間が、犯人候補にあがってきたというわけですね。
ノーラの謎-3 きついときだけお酒を飲む
撮影が再開されるので、メークさんに、「こりゃひどい汗だ。」と言われながらノーラは化粧直しをします。
またスタッフに頼んで、専用の魔法瓶に入ったお酒を飲んだようです。
コロンボがそのスタッフに尋ねると、ノーラは普段はお酒を飲まないが、耐えられなくなったきつい状況のときだけ飲むのだそう。
ノーラが現在耐えられない状況とは、コロンボに追い詰められつつあるからでしょうか。
それとも、テレビドラマの夫を殺した女性役を上手く演じることができないからでしょうか。
ノーラの不思議-4 土地を売らない
ノーラが撮影に戻ったため、コロンボは撮影所の所長に話を聞きます。
ノーラが撮影所ともめていることを気にしたコロンボですが、所長によるといつものことらしいです。
夫アル・カンバランドが残した莫大な遺産を、ノーラは全て映画につぎ込んだものの失敗続きで、赤字でした。
映画界は斜陽となり破産寸前なのに、ノーラは決して自分のバンガローがある土地を売らないのです。
せめて使わないあの噴水がある庭先だけでもと、撮影所が必至に頼んでも、お金がないはずなのにノーラは土地を売らないのです。
さあ、そろそろコロンボは完全にノーラを疑い始めてますね。
憧れの大スターだったのでかばいたい気持ちがあったようですが、もうかばいきれない事情が出過ぎてしまったようです。
伝説のデザイナーイーディス・ヘッド登場!
コロンボはノーラに、伝説のデザイナー、イーディス・ヘッドのオフィスに呼ばれます。
イーディス・ヘッド(Edith Head, 本名: Edith Claire Posener, 1897年10月28日 – 1981年10月24日)は、アカデミー衣装デザイン賞を8つも持ってる、伝説の衣装デザイナーなのですって。
ちなみにアカデミー賞ノミネートは何と、35回!
これを越える衣装デザイナーはもう現れないんじゃないでしょうか…。
「イブの総て」という今回のゲストスター、アン・バクスターがオスカーを獲った映画で、イーディス・ヘッドもまたオスカーを手にしています。
そんな縁からか二人の親交は深く、イーディスはアンの娘の名付け親にもなったそうです。
今回はその古き良きハリウッドを華やかに彩った立役者、イーディス・ヘッドが本人役で登場です。
アン・バクスターが演じる元ハリウッド女優ノーラ・チャンドラーは、イーディスの衣装合わせ中です。
アンはいつも同じネクタイをしているコロンボのために、しゃれたネクタイをみつくろってくれるよう、イーディスに頼むのです。

あの人が衣装のボスですか?
とアンに尋ねるコロンボ。
イーディスの名を聞いて、コロンボは彼女が、有名な映画衣装デザイナーであることに気がつくのです。
イーディスのオフィスに並べられたオスカー像は、数えてみると7つでした。
イーディスは8つのアカデミー賞の受賞しているはずなのに、一つ足りない…。
彼女が最後にオスカーを獲得した映画は、1973年の「スティング」。
今回の刑事コロンボは、1973年1月21日に放送された作品ですから、このときはまだ8つ目のオスカーは獲得していなかったのかもしれませんね。
ノーラの謎-5 コロンボへ自分の秘密の暴露
ノーラはコロンボに新しいネクタイをみつくろいながら、ジェリー・パークスとの関係を打ち明けるのです。
コロンボの推理通り、ノーラはジェリーに秘密をにぎられていて、調査書類が彼の事務所にあるとのこと。
殺されたジーン・デイヴィスのためにも、捜査令状を取って、その調査書類を調べてほしいとコロンボに頼むのです。
うちのカミさん-7 結婚記念日
捜査令状を取って、ジェリー・パークスの事務所を調査する約束をしたコロンボとノーラ。
新しいネクタイをノーラに結んでもらったコロンボは言います。

明日結婚記念日なんでネクタイ返してもらえませんかね?
うるさいもんで。
7回目のうちのカミさん登場ですね。
ノーラの謎-6 帳簿隠し以外にもう一つ秘密が?!
刑事コロンボとノーラ・チャンドラー、彼女のパトロンで資本家のフランク・シモンズは、ジェリー・パークスのオフィスに捜査に入ります。
ノーラはパークスに、イタリア映画での大赤字を、撮影所に押し付けた調査書類を提出するように、強く要求します。
このスキャンダルはノーラの身を滅ぼしかねないので、躊躇するパークス。
コロンボに促され、しぶしぶ調査書類を提出するのです。
しかしパークスが、ノーラが一番知られたくないだろうと踏んでいた、パトロンのシモンズが、この調査書類を破り捨て、ゴミ箱に捨ててしまいます。
撮影所の所有者であるシモンズが、ノーラの帳簿隠しで一番損をしたはずなのに、実はこのことを10日も前に彼は知っていたのです。
つまりパークスは、ノーラの帳簿隠しをシモンズにばらすぞと口止め料を要求したのに、これは最初から意味のない脅迫だったということになります。
さあ、これでノーラに秘密なんてないことが分かりました。
ですがわたしたち視聴者もびっくりです!
ノーラはこの秘密の口封じのために、パークスを殺そうとしたんじゃないの!?
パークスもシモンズが帳簿隠しを知っていたことに驚いています。
しかし、パークスはヤケクソなのかもう一つ、ノーラの秘密を握っているようなことを口にし始めました。
コロンボ、ノーラ、シモンズに、知っていることは全て出すように言われるパークスですが
「単なる疑惑なんでね。」
とただただほのめかすのみ。
ここでノーラがお酒を飲もうとします。
ノーラは、精神的に追い詰められたときだけ、お酒を飲むんですよね。
ということは、パークスが握っている秘密に何か心当たりでもあるのでしょうか…。
それでもパークスに
「空っぽのくせにあんたって人はホントのダニだわ。」
と捨てゼリフを吐いて、去ってゆきます。
シモンズもパークスに
「君は軽蔑にも値しない人間だ。」と言います。
パークスは全くこたえた風もなく、ニヤニヤしてますよ。
さらにシモンズはコロンボに
「君のその態度を愛想がいいととる向きもあるだろうが、私は違う。分かるか?」
と、クギをさします。

イエス。(はいよく。)
ノーラには秘密はなくパークスを殺す動機もないとシモンズは言います。

イエス。(はい)
「今後彼女(ノーラ)を煩わせたら、君(コロンボ)の責任問題として追及する。」
と、シモンズはコロンボに警告するのです。

イエス。(分かりました。)
シモンズが破り捨てたノーラの帳簿隠し資料の入ったごみ箱を持ったまま、何度も「イエス」と繰り返すコロンボがおかしいです。
ちなみに吹き替えでは、三度の連続イエスは、「はい、よく。」「はい。」「分かりました。」と訳がついてますが、英語では全て「イエス」ですね。
さあ、ノーラのパークス殺害の動機がくずれてしまいました。
ここから彼女の本当の目的を、コロンボとともに明らかにしてゆきましょう。
ノーラの本当の目的と秘密
うちのカミさん-8 ノーラの映画を教えてくれる
性懲りもなくまたノーラのバンガローを訪れるコロンボ。
新しく仕入れた情報をノーラに知らせたいとのこと。
ノーラが支度を整えている間、電話をかりてコロンボは家に電話します。
カミさんにかけたかったようですが、また買い物で、出たのは弟のジョージでしょうか。
一体コロンボは、親戚中で同じ家に住んでるんでしょうかね…。

今アタシがどこにいると思う?
笑わせるね。
ノーラ・チャンドラーのバンガローだぜ。
ジョージは今テレビでノーラの古い映画を放送していると教えてくれました。
コロンボのひらめき-1 男装したノーラの映画
弟ジョージに教えてもらったノーラの映画を観るため早速テレビをつけるコロンボ。
ノーラは男性の帽子とコートを着て、男装しています。
「ねえ私彼のコートと帽子着たから。
誰かに見られても辺りは暗いし 分かりっこないわ。」
というノーラのセリフがあります。
するとコロンボが何かに気付きつつあるようで、キョロキョロして、ノーラと亡き夫の写真アル・カンバランドの写真に目をやります。
このコロンボの一人芝居のシーン、いいですね。
まるでコロンボの頭の中の小さなストーリーを覗いているようです。
そこへ支度を終えたノーラが、コロンボに声をかけます。
コロンボが見ている自分の映画を、ノーラは、ひどい映画できらいだと言います。
何でこの映画、嫌いなのでしょうか。
コロンボのひらめき-2 人違い殺人ではなかった
ノーラが忙しいというので、撮影所まで歩きながらコロンボと話をすることになりました。
ノーラは、パークスをねらった犯人の心当たりについて尋ねますが、コロンボは

(ジーンの車の)パンクしたタイヤの方が問題なんでして。
と、伝えます。
ジーンの修理点検したばかりの車のタイヤは、どこも悪いところはなく、意図的にパンクさせられたものだとコロンボは言います。
つまり自分の車が使えなくなったジーンが、パークスの車を使うように仕向けられたのです。
パークスの車を狙った殺人と見せかけて、犯人の本当の狙いはノーラの秘書ジーン・デイヴィスだったのです。

とにかくアタシの黒星ですよ。
これで振り出しに戻っちまった。
と、自分のひらめきを絶賛するコロンボなのでした。
コロンボのひらめき-3 もう一つ-2 犯人はジーンを認識できた

それにもう一つ。
と、コロンボは定番セリフ、「もう一つ」を口にします。
パークス邸放火の後に、犯人とおぼしき人物が乗った車が飛び出してきました。
その車の主が殺人目的で放火したなら、爆発した車に乗っていたのがジーンだと認識できる距離にいたのではないかと、コロンボは説明するのです。
私には分からない、というノーラに

そうアタシの黒星。大黒星です。
うちの署長でさえ目的はジーンさんだったと認めています。
とコロンボは、はっきりと断言するのです。
コロンボのひらめき-4 パークスは敵が多いので利用された

上手く考えましたね。
敵の多いパークス氏の捜査の目を向けさせるとこが。
と、コロンボはもはや、ノーラの総てをお見通しですね。
忙しいと言って逃げようとするノーラに怒涛のたたみかけです。

今やあなただけが頼りなんです。
ジーンさんの事を本当に知ってる人はあなたしかいない。
あなただけです。

あの晩ジーンだんがどこに行くか知っていた人物もあなた以外にいません。
そうでしょう?
とまあ、これ、お前が犯人だろ、ってもう言ったも同然ですね。
それでもノーラは、
「ジーンは人違いで殺されたんです。」
と一歩も譲りませんでした。
とうとうわたしたちも、ノーラが本当に殺したかったのはパークスではなくジーンだったことにコロンボと一緒にたどり着きました。
その計画通り、見事ジーンを殺害したノーラの本当の動機は何だったのでしょうか。
コロンボが解き明かします。
いえもう、すでに解き明かしているのかもしれません。
ノーラのアリバイ作り 再びパークスをねらう
ノーラは撮影の合間を抜け出して、パークスがサイン会を開いている本屋に向かいます。
そしてパークスを車で轢き殺そうとするのです。
幸いパークスはかすり傷で、念のための検査を受けるために、病院へ向かいました。
つまり犯人ノーラは、本当にパークスを殺すつもりだったのではなく、彼が狙われているという既成事実を作りたかっただけなんですね。
コロンボのトラップ Tクラブ会員の指輪探し
パークスひき逃げ事件の現場に駆け付けたコロンボは、何を思ったか、急にTクラブ会員を探し始めます。
ノーラの亡き夫アル・カンバランドがTクラブの会員で、指輪をつけた写真が残されていましたね。
そしてコロンボは、撮影中のノーラのもとへと向かいます。
スタッフに撮影中だと止められるのに

警察。

緊急緊急。
とまあ、マイペースな男です。
緊迫感を演出したかったのでしょうか。
そしてノーラに、パークスが車にひかれて頭を打って重体だって大嘘を伝えますよ。
本当にコロンボは悪いヤツです。
ノーラが、やはり狙われたのはジーンではなくパークスだったというようなことを口にします。

アタシはもう五里霧中でね。
あなたを当てにしてきたんです。
とノーラに伝えるコロンボ。
コロンボはどこからか調達してきたTクラブの指輪を、パークスの内ポケットから出てきたと、ノーラにさらに大嘘をつきます。
パークスのオフィスを捜査したとき、彼はノーラの秘密をにぎっているかもしれないとほのめかしました。
その秘密の証拠が「N.C」とノーラのイニシャルが書かれた封筒に入っていたTクラブの指輪だとコロンボは言います。
自分の指輪じゃないというノーラに

残念。
ご存知かと思ったんですがね。
この上こんなものを抱え込んじゃ 手も足も出ませんよ。
と、うなだれたフリをするコロンボ。
が、心配したシモンズに声をかけられて

いやもう失礼するとこでした。
そいじゃ。
はぁ~失礼しました。
じゃあ。
失礼。
と、あっさり帰ってゆきます。
コロンボのトラップはもう仕掛け終わりましたからね。
そうですね。
このまで来たらもう、勘の良いコロンボファンなら、ノーラが本当に隠したかった秘密に気がついたのではないでしょうか。
ノーラはシモンズの誘いを後回しにし、撮影も気分が悪いといって延期にし、自分のバンガローへと急いで走ってゆくのです。
ノーラが隠したかった本当の秘密
自宅代わりのバンガローに急いで戻り、暗い中、電気もつけず、窓を開け庭の噴水を確認しようとしたノーラ。
突然部屋の明かりがつきます。
もちろん待ち受けていたコロンボが電気をつけたんですね。

ジーンさんを殺しましたね。
と、とうとうコロンボはその罪を、ノーラに突き付けます。
「今までは面白い方と思っていたけれど度が過ぎるわ。」
とまあ、簡単には罪を認めないノーラ。
コロンボは腑に落ちない点を次々とあげてゆきます。
コロンボの疑い-1 パンクしないタイヤ
コロンボはノーラが、タイヤの空気を意図的に抜いて車を交換させたことを指摘します。
追い詰められたノーラはコロンボに、変えるよううながしますが、コロンボはとうとう

ジーン殺しの容疑で逮捕に来たんです。
と、伝家の宝刀を抜きました。
コロンボの疑い-2 パークスのほのめかしにお酒に逃げようとした
コロンボはパークスのオフィスを調査したとき、帳簿隠し以外のノーラの秘密を握っているかのようなそぶりをパークスは見せました。
そのとき普段は飲まないお酒を飲もうとしたことから、コロンボはノーラの心の動揺に気がついたのです。
パークスの言うように、ノーラにはまだ決して知られたくない秘密があることを。
コロンボの疑い-3 愛するジーンの殺害理由
「は!ご冗談でしょう。なぜ私がジーンを?親友だったのに。」とまだ罪を認めないノーラ。

そこが一番の難関でした。
というコロンボ。
ジーン殺しの動機は、ノーラの秘密を握っていたからです。
そしてその秘密を、ジーンが結婚予定のパークスに漏らすのを恐れたためでした。
コロンボの疑い-4、5 水の出ない噴水と売らない土地
ノーラの秘密の鍵は水の出ない噴水でした。

なぜ水が出ないのか。それが問題。
そう。これが引っ掛かったんだ。
みんな水の音が好きですよ。
アタシも。
というコロンボに、「私は(水の音が)嫌い!」と言い放つノーラ。
コロンボはカミさんのために、ノーラのバンガローの庭で花をつむときに、ちゃっかり噴水に記載された番号を見ていました。
そして資材部に行って、噴水番号から注文日を調べたのです。
1960年9月16日。
そしてその前日の9月15日にノーラの夫アル・カンバランドは失踪したのです。
噴水の水が出る用に水道の配管をするには、芝生を掘り返す必要があります。
しかしノーラにはどうしても芝生を掘り返すことができない事情があった。
つまりノーラは夫を殺害して庭に埋め、その上に噴水を備え付けて遺体が出てこないようにしたということですね。
そして遺体が埋まった土地ですから、決して売ることはできませんよね。
これがノーラが隠したかった最大の秘密でした。
まあ確かに、夫を殺したことと比べたら、帳簿隠しなんてたいした罪ではありませんね。
コロンボに追い詰められ、ノーラは罪を認める覚悟ができたようです。
心を落ち着かせるためにお酒を飲むのに、コロンボも誘います。
コロンボの疑い-6 夫に変装して失踪をねつ造
コロンボは、弟ジョージに教えられたノーラの映画を見て、夫殺しのトリックに気がついたことを伝えます。
その映画の中のノーラが演じるヒロインは、自分を隠すために男性の扮装をします。
ノーラもまた同じように夫の洋服を着て変装してから釣りに出かけ、失踪したように見せかけたのです。
コロンボは夫アル・カンバランドとノーラの身長がさほど変わらないことを、写真で見てこのトリックに気がついたのです。
ノーラ夫殺しの動機
ノーラとアルが結婚後、夫は絶え間なく浮気しました。
このことは有名でパークスの調査にも出てきますね。
ノーラはつらいながらも夫の浮気に耐えていたのですが、ある日、アルは女性を家に連れてきたのです。
そこで大喧嘩になり、ノーラは瓶で夫を殴ってしまい、アルは亡くなってしまいました。
怖くなったノーラは庭に夫の遺体を埋めたのです。
そして13年前のこの出来事を、18年の付き合いであるジーン・デイヴィスは知っていたというわけでした。
覚悟を決めたノーラは、コロンボと一緒に本署に向かうのでした。
コロンボの王手
今回のコロンボの王手は、ノーラの夫のTクラブの指輪を見つけたように偽装して、トラップを仕掛けて行動を見るというものでした。
証拠のねつ造ともいえますね。
前回の「ロンドンの傘」も証拠ねつ造が王手だったので、同じようなトラップが続くのはちょっと興ざめです。
しかし今回の作品は、殺人犯は分かっているものの、本当は誰を殺したかったのかと、真に隠された秘密が最後まで分かりませんでした。
しかしヒントとしてコロンボ登場間もなく、ノーラのバンガローに飾られた夫の写真についての話が登場します。
わたしもなぜ、当初の殺人に関係のない夫の話がこんなに出てくるのだろうと少し疑問に思いましたが、これが親切で丁寧な伏線だったということです。
また物語冒頭、ジーンとパークスが恋仲にあることを知ったノーラは、かなりの勢いでお酒をあおっています。
精神がつらいときにしか飲まないノーラが、相当な動揺状態であったことがうかがえますね。
最初、ノーラとパークスが深い仲で、ジーンに乗り変えられたからこんなに怒っているのかなって思ってしまいましたもの。
軽蔑するスキャンダル専門の記者と、絶対に知られたくない殺人という秘密を握っている秘書が結婚しちゃうなんて、ものすごい恐怖だったでしょうね~。
そりゃあ、お酒も進む進む!
そう考えると芸術的ともいえるぐらい、見事に伏線がはられ、最後にこれまた鋭い観察力で、見事に伏線を回収たコロンボに脱帽ですね。
よく練られた深みのある作品で、登場人物もいつものごとくキャラが立った見ごたえのあるお話でした。
定番セリフ「うちのカミさん」は、4回登場しましたが、三度繰り返すシーンと、結婚記念日というセリフが出てきます。
1 カミさんが新車を使ってる
2 カミさんに電話でひとこと言ってほしい
3 カミさんが記念品が好きなので花をやりたい
4 カミさんが灰皿を盗む
5 カミさんが捕まっちゃマズイ
6 カミさんに電話をかけようと思った
7 結婚記念日
全て足して7回と数えましょうか。
また家族の話ということで、叔父がTクラブの会員であること、弟がパークスの本を持っていることが出てきますので、9回と数えてもいいかもしれません。
定番せりふ「もう一つ」は2回登場しました。
REQUIEM FOR A FALLING STAR
「偶像のレクイエム」の原題は「REQUIEM FOR A FALLING STAR」です。
意味は、「落ちぶれたスターの葬送曲」と言ったところでしょうか。
「偶像」を日本語では「アイドル」とも言いますので、当時はアイドルとスターは似たような意味での邦題だったのかもしれません。
あるいは深読みすると、コロンボにとっての大スターであるノーラが、実は殺人者で、憧れは偶像に過ぎなかったというところでしょうか。
ちなみにわたしはとても美しい人を実在の人物であげるとき、「オードリー・ヘップバーン」をよく使います。
例え見た目をオードリー・ヘップバーンにしてあげると言われても、イヤだ、とかそういう使い方です。
この作品でゲストスターのノーラにダニ呼ばわりされていたゴシップ記者のジェリー・パークス。
演じたのはメル・ファーラーですが何と彼は、オードリー・ヘップバーンの最初の夫だったのですって!
ニヤニヤしてイヤな感じの記者でしたが、確かに背だけは高くてかっこよかったわ。
この画像は実際のメルとオードリーの結婚写真ですが、本当に映画の中のワンシーンのように美しいですね。
ではまた、刑事コロンボでお会いしましょう!
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