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契約社員、正社員に言い寄る最大のチャンス到来!少女のような初老の恋 完結編-2 R企業その11

それでも恋は恋

さて、とうとう恋に破れてしまったプチ初老ころん。
もうアール株式会社に思い残すことなど何もない。

………

………が、

もう少しだけ、わたしとわたしの好きだったあの人との、ちょっとしたエピソードをお届けしよう。

バレンタインにあの人にチョコレートを渡した、その年の二カ月後、4月の出来事だったと記憶しております。

当然のごとく、わたしはあの人にたいする気持ちはあきらめていたし、それ以上何もするつもりはありませんでした。

そんなとき、京都で大々的に社内研修が行われることになったのです。
全国から社員が集まる、といっても総勢50人程度だったかな。

その後、ワンマン常務発信で、懇親会を開こうということになった。
ナガイ部長に、ころんさん、懇親会どうする?って聞かれて、まーめったとない機会だし、普段、会えない人が集まるし、ってことで参加することにした。

しかしふたを開けてどっこい!
何と参加人数が10人にも満たなかったのである!
結局いつもの京都メンバーの飲み会だった…。

どんだけケチケチケーチ社長、人望がないんだろうね。
ワンマン常務も人望がないんだろうね。

しかも参加しているメンバーはほとんどが管理職で、契約社員はわたしだけという…。
ものすごく場違いだった…。

が、人数が少ないことが幸いして、何とわたしは、わたしのあの人の隣の席をゲットしたのである!

やったー!

しかも逆の隣はアトム部長。

つまりイケメンふたりに囲まれたホストクラブ席だったというわけ。

ただし!
目の前にいたのは、ケチケチケーチ社長だった…

ガーン…!!

で、このケチ社長。
前から気がついていたことをさらにこの日、確信したことには、びっくりするほどケチ社長の話はつまらんのだ。

実はわたしの務めるアール企業は、わたしが入社する数年前に、誰もが知っている大企業に買収された。
今ではその大企業に持ち株全て握られた、子会社ではなく、さらにその下の孫会社である。

ケチ社長はその大企業で使えないから、左遷と天下りをかねて、アール企業にやってきたというわけ。

そんなケチ社長の話はつまらな過ぎて、途中で何を言ってるのか分からなくなってくる。
で、わたしはケチ社長の話の途中で、何を言ってるか分からなくなり、魂がどこかへ飛んでいってしまいました…。

その中で、わたしの隣の席のあの人は、上手にケチ社長の話を聞いて、ときどき突っ込んだり笑ったりして上手く盛り上げておりました。

こんなつまらん話に笑えるなんて、あの人すげーな、優しいな、頭がいいんだなーとわたしは感心したものである。
あの人、素敵ってまた思ってしまいました…。

ナガイ部長も、笑いながら社長と喋っておった。

男の人の上をたてる力ってのはすごいな。
あたしゃ無理だわさ。
無理だから正社員にはなれず、契約社員なのでしょうか。

これからこのケチ社長のつまらない話をえんえんと聞かないといけないのか、と絶望したのですが、そうはなりませんでした。

なぜかケチ社長は隣の席の人と話が盛り上がっているようで、わたしは、わたしの好きなあの人と、二人っきりでお話するチャンス到来!

やったー!
ラッキー!

で、フツーに無難な話を二人でしておりました。
楽しかったー。幸せでした。

よく覚えてないけど、一人暮らしのあの人に、ごはんどうしてるんですかーとか聞いたかな。
たいてい外食って言ってた。

で過去の恋愛の話をしてくれて、二人の女性に取り合われた話とかね。
やっぱり、あの人モテるー。

大学生の頃、何か一人の女性が、あの人がある女性と喋るのがイヤだとか言い出したそうな。
で、その女性と、あの人と、あの人と喋るのがイヤだと言われたある女性と、三人で修羅場になった。

その後、あの人は修羅場に耐えかねて、男性の友人を呼んだ。
結局その二人の女性のうちの一人は、あの人と付き合って、もう一人はその場に来てくれた友人の男性と付き合ったとか、そんな話。

「何それー。」ってわたしがキャッキャウフフと笑ってあの人も
「何それって話やなー。」と答えたそんなたわいもない会話。

しかしそのたわいもない会話が、好きな人とだとどれだけ楽しいか。

それから、あの人の職場の同僚のある女性の話になった。
実は入社時にいろいろあって、その女性はあの人を嫌っているのだとか。

「えー、吉川さん(あの人は吉川晃司似なので吉川さんね)を嫌いな人なんていないでしょー。」
と、わたしはテケトーに持ち上げておいた。

それから浮気の話になって、わたしがある男性に、何で浮気するの、と聞いた。
するとその男性は、

「好きな食べ物何や?」

って聞いてきた。

という話をするとあの人は

「それ、毎日同じもの食べれないっていう意味やろ?」

と答えたので、

「何で分かるんですかー?!
やっぱり浮気する側の人間ですね。」

とわたしは言った。

要約すると、わたしに好きな食べ物を聞く。
例えば焼き肉でも何でもいいから答えるとしよう。

すると「焼き肉毎日食べれるけ?」と話は続くわけです。

つまり男が浮気するのは、毎日同じ食べもの(女)では飽きるので、たまには違う食べ物(女)を食べたくなるという理屈だそうだ。

その理屈が通るなら、女だって浮気オッケーだよね。
毎日同じ男ばっかりじゃー飽きるわい。

そのようにちょいと過去の恋愛話や下ネタも入りながら、和気あいあいとお話しておりました。

が、真面目な人だと思っていたあの人が、ぐいぐいと下ネタ話を押してくるようになったのです。

あの人の真意やこれいかに?

 

続く

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