死んだ魚みたいな目をしやがって!最強パワハラ大魔王から逃げ散らかしたヘタレ  R企業20

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「何や、その目は!!
死んだ魚みたいな目をしやがって!!」

 

ワンマン常務が、部下の失態を叱責する声が、オフィス中に響き渡った。

 

「死んだ魚みたいな目―、しやがって!」

 

と、ワンマン常務はもう一度同じことを繰り返した。

 

死んだ魚みたいな目をしやがって

この物言いはもはや叱咤レベルをこえた立派なパワーハラスメントである。

聞かされているわたしたちも、重く沈んだ気持ちになる。
つまり聞かされている方にたいしても、パワーハラスメントをしているということだ。

聞くに堪えかねたわたしは思わず「会議室でやってもらえませんか?」って言ってやろうかと思った。
が、一介の契約社員に言えるはずもない。

ワンマン常務に怒鳴られていた部下を、ヘタレ部長、後にヘタレ課長に降格、としよう。
名前の理由はものすごくヘタレだから。

といってもヘタレはわたしより少し年上で、当時40歳を越えていて、結婚もしており子供も2.3人いたと記憶している。

典型的な腰ぎんちゃくタイプ。
で、ワンマン常務に目をかけられて、部長まであげてもらったもののあまりに体たらくだった。
常務は自分がヘタレを部長にした以上、しっかりしてもらわないと困るので、頻繁に見せしめのように怒鳴りつけていた。

それはある人間にたいする人権侵害、人格否定。

ヘタレではあるけれど、気のいいお調子者だったヘタレ部長は、頻繁に怒鳴りつけられるうちに、人相が変わっていった。
人相が変わったばかりではなく、ワンマン常務のように傲慢な一面を見せるようになっていった。

そしてとうとう、ヘタレ部長はありえないぐらいの失敗をしてしまった。
よく覚えてないけど、とれるはずの入札が、他社と同時金額になったんだっけな。
結果その場で再入札。
それでパニクって、赤字まで入札金額を引き下げて、落札した。

普通は再入札になったときに、官公庁から上司に電話して金額を相談する時間を与えてもらえるらしい。

ヘタレ部長は、それをせず自分の独断で再入札金額を決めたんだとさ。
まー、部長なんで入札金額を決める権限はあるんだけどねー。

だからワンマン常務が叱ったことには、

「ナガイ部長でも、こういう場合はオレに電話一本入れて来よるぞ!!」

だった。

よく意味が分からんが、部長としてヘタレよりも格も経験も上のナガイ部長でも、常務の許可はとるっていう意味なのか。

やがて長―い長い説教も終わる。
説教というか、まるで見せしめの制裁。
もはや八つ当たりのいじめみたいやったわ。

で、ヘタレ部長が去ろうとすると、さらに追い打ちをかけるようにワンマン常務は怒鳴りつける。

「ありがとうございましたは!?

紙袋さんでもお礼を言ってから行きよるぞ!!」

つまりご指導いただき、ありがとうございましたって言えってことだと思う。

ヘタレ部長は、もう一度ワンマン常務のもとにもどり、ボソッと、お礼を言って去っていった。

オフィス全体に何とも言えない重苦しい雰囲気が漂う。

死んだ魚みたいな目をしやがって!

昭和のドラマに出てきそうなセリフやわな。

本当に死んだ魚みたいな目なのか、のぞいて見てやろうかと思ったぐらい。
さすがにそれはできなかったけど、紙袋さんは、ちらっと見たらしい。
すると本当に死んだ魚みたな目だったんだって!

わたしがこんなこと言われたら、絶対パワハラで訴えるなー。
だって100%勝てるもん!

その後しばらくしてヘタレ部長は会社に来なくなってしまった。
病気のため、一か月休職するらしい。
とーぜんのごとく、心の方の病だわな。

そしてヘタレは部長から課長に降格。
ワンマン常務も、ヘタレをうつ病まで追い詰めた処分として、確か一つ降格したみたい。
乞食部長が嬉しそうに、教えてくれた。

ヘタレ部長の折れっぷりときたら、人間ってこんなに見事にポキッと折れることができるんだーというお手本みたいに見事だった。

実にワンマン常務に、部長にあげてもらってから、半年も経っていなかった。
結局、部長になるには時期尚早、まだまだ力不足で器もなかったってことです。
なのにワンマン常務が、自分の勢力に一層の勢いをつけるために、部下であるヘタレをムリくり部長まで押し上げたのです。

ヘタレは復職してからもニ度と京都のオフィスに来ることはなかった。
それは共産主義の前社長のはからいだった。

共産主義ゆえ、皆が幸せに、弱いものを助けたいという方針で全員社員にするという大改革を行った前社長を、今さらだが左翼副社長と名付けよう。

ちなみにこの左翼社長が、社長を降格し、天下りケチが社長になった。
それと同時に左翼社長は、副社長になった。

この左翼産副社長のはからいにより、ヘタレ課長はワンマン常務の元を離れ、副社長の直属の部下となった。

左翼副社長の言うことには、ヘタレ課長は営業職だから、無理に会社に来なくてもいい。
取引先にさえきちんと行って営業活動を行えれば良いということで、京都のオフィスには行かなくてもいいと言われたそうだ。

そこでヘタレは自宅待機だったり、時々自宅近くの大阪のオフィスに身を寄せながら、ワンマン常務と決して顔を会わせないようにしていた。

しかし副社長も、しばらく気持ちが落ち着くまでは無理して京都オフィスに行く必要はない、程度の気持ちだったと思う。
なのに副社長の許可を隠れ蓑に、その後ヘタレが何年も京都を訪れることがないとは、思ってもみなかっただろうね!

いつまでもいつまでもヘタレが、ワンマン常務から逃げ散らかして京都にこないものだから、皆あきれておったわ。

ワンマン常務からしたら、部長まであげてやったヘタレに裏切られて、恩を仇で返された、飼い犬に手をかまれた気分だろうね。

左翼副社長とワンマン常務は、対立関係にあった。
かつてヘタレ課長はワンマン常務と一緒になって、左翼副社長を猛攻撃していたらしい。
が、その猛攻撃していた相手に助けてもらうなんてね。

ワンマン常務とこういう関係になってしまったからには、ヘタレは会社を辞めるしかないというところまで追い詰められていたが、右翼副社長が救いの手を差しのべてくれたみたいよ。

だから今は、左翼副社長の腰ぎんちゃく。
典型的な小物、虎の威を借る狐キャラだわな。

で、あるときヘタレは自分の部下のパートの女の子に、京都の置きっぱなしになっている自分の荷物を全部大阪に送るように指示をした。
まるで夜逃げみたいだねってわたしはその女の子に言った。

アトム部長も飽きれていたわ。
二十代そこそこの女の子に、夜逃げの手伝いをさせるなんて、男として恥を知れってこってす。

ちなみにヘタレが逃げ散らかすようになって、一番被害をこうむっているのはアトム部長です。

またあるとき、当時は滋賀営業所にいてこの「死んだ魚の目事件」を知らなかったナガイ部長にわたしは伝えた。

「ヘタレ課長ね、ワンマン常務に『死んだ魚みたいな目をしやがって!!』って言われはったんですよ!」

するとナガイ部長は

「あ~、アイツ、たまにそんな目しよるわ~。」

て言うもんだから、わたしは大笑いしてしまった。

ピドイ…。
こんなひどいこと言われて、人格攻撃を受けたヘタレを誰もかばってくれない!

ナガイ部長や営業部のベテランじーさんが言うには、そこまで言われても仕方ないぐらいの失敗をヘタレはしたらしいよ。

わたしはやはり下っ端なんで、ヘタレ課長に同情的なのであるが、上司やベテランたちからは、また違った角度でものごとが見えるものなんだね。

ただこのベテラン二人が言うことには、ワンマン常務の言うことは間違ってはいないけれども、ある程度メンツのある管理職を、しつこくさらし者のように怒鳴り続けるのはよくないってことだった。

例え怒鳴るにしても、触りだけにして、後は人のいない会議室でやるべきだって言ってた。
またワンマン常務は、説教しているうちにどんどん自分の言うことに酔ってきて、とまらなくなるからタチが悪いってさ。

そしてまた何と、実は、ヘタレが上司からパワハラで逃げ出すのは、三度目だという。

 

続く

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