理不尽な派遣切りが他の社員たちの心にさざ波を立てる?派遣社員の立派な最期 P企業28 完結

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P企業の派遣契約を終了することになった、ロスジェネ世代のプチ初老ころん。
わたしが直接退職することを伝えたのは、同じ派遣元の派遣仲間と、理子さんをはじめとする同じ部署の人たち。
そしてこちらの記事の北野主任だけ。

わが闘争 ヒトラーを暗殺するために刃物を持ち歩く営業社員 P企業12

北野主任も同じ月に退職すると聞いたので、早めに言っておこうと、「実はわたしもなんです。」と伝えた。
すると北野主任は、「え?結婚か?」と言ってくださいました。

ほほほ、アラフォーのデブに結婚の話があると思ってもらえただけありがたいわ。

北野主任が周囲に漏らしたのかどうなのか、やがてわたしの退職のウワサが広がり始めた。

あるとき、お手洗いで営業補佐の50歳前後の女性とばったり一緒になった。


その女性が

「ころんさん、今月で辞めるんだって。
えー、何で!!

最初すごく元気だったのに、最近元気なかったから…。」

とすごく驚いたように話しかけてきた。

この頃のわたしときたら、随分吹っ切れており、自虐的に自分の退職を面白おかしく言ってやったつもりだった。

「何かその元気なのがよくなかったみたい。

おとなしくするなら置いてやるって言われたんですけど、そこまでしていたくもなかったので、辞めることにしました!」

わたしはこういう言い方をしたことを、後でちょっとだけ後悔することになる。

この営業補佐の女性も一見明るいムードメーカーで、さばさばした人かとわたしは思っていた。
だが実はとても繊細で、周囲に気を配る人だったのである。
だからたいそうわたしの退職と、退職理由にショックを受けてたみたい。

「えー!?
なんでー!?

ころんさん頑張ってたのになんでー!?」

とまあ、わたしの退職に納得できない様子だった。

わたしといえば、本当に性根が冷たい人間だなぁと思うのだが、こんな感想。
そんなに仲良くしてたわけでもないのに、何でこんなにも心配してくれるんだろうと、不思議な気持ちだったのです。

わたしが退職した後、この営業補佐さんも退職したと聞く。
何でも本社にヒトラー所長の行いをさんざんうったえてから辞めていったらしい。

もともとヒトラーのやり方に不満を持っていたところに、わたしの退職が原因で、さらに不信感がつのったなら、わたしは本当に申し訳ないことをしたなって後になって思うのです。
この営業補佐の女性は、北野主任とも仲良くしていたみたいだしね。

次から次へとヒトラーが、気に入らない人を退職に追い込み、営業所はいつもピリピリギスギスと張りつめた空気になっていた。
そんなヒトラー独裁体制に、繊細な営業補佐さんは耐えられなかったのかも。

わたしが面白おかしく言ったつもりの
「おとなしくするなら置いてやるって言われました。」って発言。
それが、何かしら営業補佐さんの心にざわめきを与えたなら、不用意な発言で申し訳なかったなって後になってちょっとだけ思うのです。

さて、わたしは何でも決まったことは、さっさと終わらせていまいたいタイプ。
で、あるとき有給消化中に、結婚相談所で知り合って、結婚を前提としてお付き合いを始めた男と、USJに行ったのね。

その男については、次のシリーズで綴りたいと思っています。
で、USJでいいかと思って、退職時に配るお菓子を買った。
ハリーポッターのキャラメルバウムです。

それを見た性悪係長が、「USJは、彼氏と行ったん?」と聞いてきた。
え、コイツ、わたしのプライベートにそんな関心あるのか、最後までよく分からん男だなと思いながら、

「ええ…、まあ…。」と答えた。

まあ、結婚を前提として付き合ってるんだから、彼氏で間違いないわな。
もう退職してP企業とは縁が切れるから、彼氏がいるとかいないとか、どう思われてもいいけどな。

それからP企業では、その日の朝礼の司会をする朝礼当番というのが順番にまわってくる。
ちょうど退職を1~2日残したぐらいの日にまわってきたので、その日に挨拶もすませておいた。
お得意のきれいごとのおためごかしと、知性と教養のあるふりをかまして、以下のように言った。

………………

ちょうど一年前のこの日に派遣され、今年の同じ日に派遣期間を終えることになりました。

ノーベル賞作家の、サミュエル・バケットの言葉で、「All’s well that ends」という言葉があります。
意味は、「終わりのあることは、すべて良いことだ」です。

私のここでの主な仕事は、完了資料を作り、書類上業務を終わらせることでした。
終わりのない仕事の方が怖いので、終わりがあるのは良いことだと、わたしは思います。

まだ書類上、業務が終わっていないファイルが、あそこに並べられていますが、終わらせることができなかったことが、心残りです。

一年間、いたらないところもありましたが、たいへんお世話になりました。
ここで学ばせていただいたことを宝物に、新しい世界に活かせるよう努力してゆきます。

たいへんお世話になり、ありがとうございました。

………………

ここでわたしは、深々と、地面につきそうなぐらい頭を下げる。

それから数える。

1…2…3…。

3秒ぐらいでいいかって思って、頭をあげた。

以前の職場で退職の挨拶をしたとき、相手がふかぶかと頭を下げてくれたことがあった。
わたしはとてもいねいな人だなぁと好印象を受け、感心したことがある。

だから、わたしも礼儀正しく丁寧な人という印象を与えようと、まねして深々と頭を下げてみました。

完璧です。
わたしの退職の挨拶、完璧。

ヒトラー所長や性悪係長に理不尽な扱いを受けたけれども、わたしは、正々堂々と誇り高く別れの挨拶をしてやったわ。

その後、同じく今月で退職する派遣仲間も挨拶をしにきた。

「ころんさんみたいに、お話が上手じゃないんですけど…。」

というもんだから、きれいごとで包み込んでとカシコのふりをして挨拶した自分がちょっとだけ恥ずかしくなりました。
カシコってのは、関西弁で「賢い人」って意味ね。

その派遣仲間は、派遣なのに正社員より仕事が多く、いつも20時ぐらいまで残業していた。

で、

「よくぞここまで続いたなと、自分では思ってます。」

と挨拶していた。

まあ、遠巻きにP企業をディスってるってことですね。
こき使われましたって言ってるんだからね。

このように、3人いたわたしたち派遣仲間は皆、P企業に絶望して辞めていったのです。

それからわたしの退職を知らなかったある男性営業の人が話しかけてきた。

「派遣期間が最初っから一年って決まってたんですか?」

わたしは、

「派遣切りです。ウフフフフ…。」

とヘラヘラしながら言ってやった。

で、外にある倉庫で機密書類の整理をしていたら、違うフロアで働いているお互い名前も知らないおっちゃんが手伝ってくれた。
「性悪係長は、女の子にこんな力仕事をさせて、怒っておいてやるわ!

だからアイツの下の女の子は続かへんねん!」

と言うものだから、わたしは、やっぱり性悪の下はなかなか事務員が続かないんだ~と腑に落ちた。
だから便乗して

「わたしも今月で辞めるんですけどね~。」

と言ってみた。

何で辞めるの?とおっちゃんがびっくりしてるので、性悪係長に辞めさせられるって言ってやった。
だって本当のことだもんね。

するとおっちゃんは怒っておった。

「性悪に言うておいてやるわ!

女の子辞めさすなってな。

あいつの下はホンマ続かん。

怒っておいてやるわ!」

てブツブツ言ってた。

怒ってやって。怒ってやって。
やっぱり性悪って悪名高いんだね~。

まあ、ころん一年間よくぞ耐えたってとこかな。

わたしは数人にベラベラと、「性悪さんのパワハラにもう耐えられません!」と言いふらして辞めてやった。

ある女性は、「私も性悪さん、嫌い。意地悪だよね~。」と同意してくれた。

口が過ぎると性悪係長に毛虫のように嫌われたころん。
最期までその口を使って、性悪にちょっとした復讐をしていくことは、忘れませんでした。
全くもって、執念深い女だのー。

また驚いたことには、わたしの送別会を開催する話が持ち上がったという。

理子さんが提案してくれたみたい。

しかし開催されたとして、わたしは行かないでと内心思っていた。
性悪にして並々ならぬ気持ちがあるのに、のこのこ送別会なんか行くか!

性悪が来ないなら行くね。

しかもさー、派遣切られて、一年しかいなかった派遣社員にわざわざ送別会する必要ある?

案の定、わたしの送別会をするかどうかで内乱が起ったらしい。

「ケンカになるから送別会はごめんね!」

て理子さんに言われた。

いや、だから送別会なんていらないって最初っから言ってるやん。
だけどどのようにケンカになりそうになったのか、気になるなぁ。

とりあえず性悪はどのツラさげてわたしの送別会に来るんだって話だから、ヤツが反対したことは間違いないだろう。

で、結局送別の贈り物をするから何かほしいものを言ってと理子さんに聞かれた。

そんなもん、いらないわいと断ったんだけど、結局くれた。
性悪もお金払ってくれたんだって。

どんな気持ちで自分が辞めさせた派遣の餞別費用を払ったんだろうね。
仕方なく払ったのか、同情して払ったのか、多分いやいや払ったんだろうな。

わたしがほしいものを言わなかったので、理子さんセレクトでくれたこのかばん。

わたしの趣味じゃないので、母にあげた。

どうせくれるんだったら、やっぱりほしいもの言っておけばよかったな。

しょーもない意地はっちゃった。
本当はわたし、ドライヤーがほしかったんだー。

そのようなことで、最後まで、トラブルメーカーのころんなのでした。

 

P企業編 完結

 

※このコンテンツはフィクションです。
登場する人物、団体は実在のものとは一切関係ありません。

 

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